瞬時流量は、その時点の単位時間当たりに流れる量で、積算流量は、一定期間に流れた総量です。瞬時流量はkg/hやL/min、積算流量はkgやLで表し、管理する目的に応じて使い分けます。
冷却水が十分に流れているかを監視する場面では、今の流れの大きさが必要です。一方、1日分の水や蒸気の使用量を集計する場面では、その間に流れた量を合計します。
この記事では、二つの流量の意味、単位と信号の違い、パルスや瞬時値から積算量を求める方法を解説します。PLCやDCSへ取り込むときの設定と、日量が合わないときの確認点も整理します。
瞬時流量とは
瞬時流量とは、その時点で流れている流体の量を、単位時間当たりで表した値です。例えば10L/minは、その流れが1分間続けば10Lが通過する大きさの流れを示します。
質量流量ならkg/hやt/h、体積流量ならL/minやm³/hなどを使います。数値の後ろに時間が付いていることが、総量を表す積算流量との分かりやすい違いです。
図1:同じ流れを「今の大きさ」と「通過した量」で見る
説明用に10m³/hの一定流量を仮定すると、30分で5m³が通過します。
図は横にスクロールできます。
表示と配管は概念図で、特定の計器の仕様や接続端子を表すものではありません。
工場では、冷却水の不足、原料の供給量、ポンプ運転中の流れなどを瞬時流量で監視します。制御では設定値と測定値を比べ、弁やポンプを操作して目標の流量へ近づけます。
実際の流量計は、検出した値を一定の周期で演算し、応答や平均化の設定を通して表示します。脈動がある配管では表示の揺れ方も変わるので、静流水と脈動水の違いも測定の前提になります。
4-20mAは瞬時値を伝える代表的な方法
瞬時流量を制御盤へ送る方法の一つが、流量の大きさに電流値を対応させる4-20mA信号です。受信側では、4mAと20mAがそれぞれどの流量を表すかを設定して数値へ換算します。
例えば、0〜20m³/hを4〜20mAに対応させた仮定では、12mAは流量範囲の中央に当たります。線形出力を前提にすれば、次の式で10m³/hへ換算できます。
受信側のレンジが0〜10m³/hなら、同じ12mAでも5m³/hと表示してしまいます。電気信号の基礎と測定方法は、4-20mAとは何かで確認できます。
2線式・4線式は電源と信号の構成の違い
2線式は、電源の供給と電流信号を共通のループで扱う構成です。4線式は、電源用と信号用の配線を分ける構成で、選定時には計器の電源条件や受信回路も合わせます。
これは電源と出力回路の構成を示す区分で、瞬時か積算かを直接決める区分ではありません。2線式の機器にも積算表示やパルス出力機能があり、具体的な端子と回路は機種の仕様に従います。
例えば横河電機のAXRは「2線式電磁流量計」ですが、電源・電流出力用のSUPPLY端子とは別にDO端子を備えます。一般形のパルス出力には3芯・4芯ケーブルの配線例があり、機器名の「2線式」が全出力を2本で取り出せる意味ではありません。
図2:瞬時値の電流出力と、単位量ごとのパルス出力の構成例
同じ流量計でも、出力に割り付ける情報と受信側の処理を分けて考えます。


図中のtonは質量のトンを表し、本文ではtと表記します。出力と用途の代表例であり、配線本数や出力方式を一意に決める図ではありません。
積算流量とは
積算流量とは、測定開始から、または決めた期間の中で流れた量の合計です。質量ならkgやt、体積ならLやm³で表し、単位の後ろに毎時や毎分は付きません。
空気、水、蒸気などを1日でどれだけ使用したか調べるときに役立ちます。水道メータのように累積値を持つ計器では、期間の終わりと始まりの指示差から、その期間の使用量を求めます。
表示が0m³/hになっても、すでに流れた積算値は通常そのまま残ります。瞬時値が今の状態を表すのに対し、積算値はそれまでの流れの履歴を量として保存しているためです。
100kgごとに1パルスなら10回で1,000kg
積算量を外へ送る方法の一つが、一定量が通過するたびに発信する積算パルスです。1パルスに相当する量をパルスウェイトなどと呼び、送信側と受信側で同じ値にそろえます。
100kg流れたら1パルスを出す設定なら、1,000kgの通過で10パルスとなります。受け手は数えたパルス数へ100kgを掛けることで、通過した質量を積算表示できます。
図3:パルスの回数に単位量を掛けると積算量になる
100kg/pulseの設定で10回を数えた例です。パルスの高さを10倍へするのではなく、発信回数を数えます。
図は横にスクロールできます。
パルス間隔は説明のためそろえています。実際の間隔は流量で変わり、幅や電気的な出力形式は機種の仕様で決まります。
出力の電気的な形式には、接点やトランジスタのオープンコレクタなどがあります。無電圧接点と有電圧接点の違いを含め、受信側の入力仕様に対応させます。
パルス入力は、流れている間ずっとONを維持する運転信号とは処理が異なります。信号の数え方は、パルス信号とステータス信号を分けることで整理できます。
パルスウェイトと流量で発信間隔が変わる
同じ瞬時流量でも、1パルスに割り当てる量が大きければ、次の発信まで長く待つことになります。パルスを数える受信側の積算表示が階段状に増えるのは、単位量に達したときだけ数値が増えるためです。
例えば3,600kg/h、すなわち1kg/sが一定で流れる例を考えます。100kg/pulseなら100秒に1回、10kg/pulseなら10秒に1回の発信となり、受信側での更新の細かさが変わります。
パルスウェイトを小さくすると高流量時の周波数も上がるため、入力の計数能力とパルス幅の確認が必要です。受信回路と処理周期の考え方は、DI/DO・AI/AO・PI/POで整理できます。
瞬時流量と積算流量の使い分け
瞬時流量を使うのは、今の流れを監視し、設定値へ制御したいときです。積算流量を使うのは、バッチ投入量、日量や月量、製品当たりの使用量などを管理したいときです。
図4:目的と単位を先に決めてから信号を選ぶ
瞬時値と積算値は同じ計器で扱える場合もあり、出力方式とは別の区分です。
| 項目 | 瞬時流量 | 積算流量 |
|---|---|---|
| 知りたいこと | 今どれだけ流れているか | 期間中にどれだけ流れたか |
| 単位の例 | kg/h、t/h、L/min、m³/h | kg、t、L、m³ |
| 主な用途 | 流量制御、冷却水不足の監視 | 投入量、使用量、原単位 |
| 代表的な伝送方法 | 電流値、通信値、パルス周波数等 | 単位量パルス、通信の積算値等 |
| 記録の要点 | 流量レンジ、周期、応答設定 | 開始終了時刻、単位量、リセット/逆流の扱い |
家庭の水道メータで請求期間の使用量を読むのは積算の利用例です。工場で冷却水の不足警報を出す場合は瞬時値を監視し、同じ系統の日量も取りたい場合は両方を記録します。
計測原理と表示機能も別の区分なので、必要な出力があるかを仕様で選びます。静電容量式(非接液電極形)の電磁流量計、コリオリ式、容積式流量計などの原理ごとに、流体や用途への適合を整理できます。
瞬時流量を時間で積分すると積算量になる
瞬時流量から積算量を求める基本は、流量を時間にわたって積分することです。一定流量なら流量に経過時間を掛け、変動する流れは短い時間へ区切って、それぞれの量を足します。
例として、最初の15分は2m³/h、次の30分は4m³/h、最後の15分は停止したと仮定します。1時間の使用量は、各区間の流量と時間を掛けた量の合計で2.5m³となります。
図5:流量と時間で囲まれた面積を足す
段階的に変わる流量を仮定した計算例です。縦軸は瞬時流量、色付き面積が各区間の通過体積です。
図は横にスクロールできます。
PLCで秒周期の値を足す場合は、m³/hの流量に経過秒数を掛け、3,600で割ってm³へ直します。流量値をそのまま足しただけでは体積にならないので、演算周期と時間単位の両方をそろえます。
こうした演算はDCSやPLCでも行えます。変動が速い場合は計測周期や平均化の影響が出るため、記録した値が瞬時サンプルか区間平均かを決めて積算します。
積算量を生産量で割ると原単位になる
積算流量を使うと、生産量当たりに消費したユーティリティ量を計算できます。例えば同じ期間に水2.5m³を使い500個を生産したなら、水の原単位は1個当たり5Lです。
単価を掛ければ費用の原単位にもできますが、蒸気や空気では計量した量の基準もそろえます。改善前後の比較は、工場の省エネとエネルギー管理の中で継続して行います。
積算流量が合わないときの確認点

現場の積算表示と制御盤の日量が違う場合は、先に二つが集計している範囲をそろえます。同じ計器を見ていても、開始時刻、リセットの有無、逆方向の扱いが違えば、表示する量は変わります。
集計時刻・リセット・桁あふれをそろえる
累積値から日量を求めるなら、同じ基準時刻に読んだ終了値と開始値を引きます。例えば開始1,250m³、終了1,310m³なら60m³ですが、途中にリセットがあると単純な差では求められません。
日ごとにリセットする値と、リセットしない累積値は、記録項目の名前も分けておくと扱いやすくなります。計器の桁が一周する場合や交換時は、切替時刻と指示値を記録して期間の量をつなぎます。
停電や通信断の間に何を保持するかも、計器と上位側で整理します。機器内の積算値が残っても、上位側が欠測時間を0として計算すれば、通信復帰後に二つの集計が一致しなくなります。
単位量・入力応答・未発信分を分ける
パルス方式では、送信側の100kg/pulseと受信側の換算値が一致しているかを見ます。受信側で10kg/pulseとしていた場合は、同じ10パルスでも100kgと計算され、実際の設定量の10分の1になります。
単位量に届いていない端数は、次のパルスが出るまで受信側の整数カウントへ反映されません。100kg/pulseの設定で60kgが流れた時点なら、出力の位相や端数保持の条件により、まだ新しいパルスが出ない状態があります。
入力側では、出力パルスの幅や最大周波数、電気的な形式を受けられるかを調べます。普通の入力を毎スキャン読む構成と、高速カウンタで取り込む構成では、短いパルスを扱う能力が変わります。
余分に数える場合は接点のチャタリングやノイズを調べ、表示倍率のずれはプリスケール設定も確認します。ノイズ対策の基本を踏まえ、入力の応答と実際の信号を組み合わせて調べます。
逆流・低流量カット・補正基準を合わせる
正方向と逆方向を別に積算する設定や、正味の量を差し引いて示す設定では、同じ配管でも結果の意味が違います。流体が戻る工程では、どの値を使用量とするかを運用側で決めます。
低流量カットは、設定した小さな流れをゼロ扱いする機能です。表示と積算のどちらへ適用するかを含めて機種の仕様を読み、漏れ量の監視に使う場合は、その設定が目的に合うかを整理します。
気体の体積は温度と圧力で変わるので、実際の体積と標準状態へ換算した体積も区別します。Nm³とm³の違いをそろえずに二つの積算値を比べると、基準の差を計器誤差と取り違えます。
蒸気でも、検出原理と出力する量に応じて温度・圧力などの補正を組み合わせます。質量流量と体積流量の基準は、蒸気流量計の補正と合わせて確認できます。
瞬時流量と積算流量のよくある質問
瞬時流量が0なら積算流量も0になりますか?
瞬時流量が0になっても、それまでの積算値は通常そのまま残ります。流れが止まれば以降の加算が止まり、積算値を0へ戻す場合は別にリセット操作や日次リセットの設定を使います。
パルス出力から瞬時流量も求められますか?
一定時間のパルス数やパルス間隔と、1パルス当たりの量から、その区間の平均流量を求めて瞬時値として表示できます。低流量や大きなパルスウェイトでは発信間隔が長くなるため、更新周期と分解能を合わせて選びます。
4-20mAの瞬時値から日量を出せますか?
電流を流量へ換算し、その値を時間で積分すれば日量を求められます。流量レンジ、時間単位、演算周期、欠測時の処理をそろえ、計器内の積算値と同じ条件で比較します。
積算流量を使うには必ず4線式が必要ですか?
線数は電源と出力回路の構成で決まり、積算という量の種類だけでは決まりません。2線式にも積算表示やパルス機能を持つ機器があり、使用する出力の端子と受信回路を仕様書で対応させます。
L/minとLをそのまま比較できますか?
L/minは単位時間当たりの流れ、Lは通過した体積なので、時間を使って対応させます。例えば10L/minが3分続く条件なら30Lとなり、変動する場合は区間ごとの量を足します。
まとめ
瞬時流量は今の単位時間当たりの量、積算流量はある期間に通過した総量です。流量を制御・監視する目的と、使用量や投入量を管理する目的を分けると、必要な表示と記録が決まります。
- kg/h・L/minなどの瞬時流量と、kg・Lなどの積算量を単位で見分ける
- 100kg/pulseなら10パルスで1,000kg。パルスウェイトを送受信でそろえる
- 瞬時値からの積算は時間積分。流量と時間の単位をそろえる
- 電流・パルス・通信と、2線・4線の区分を測定量の種類と分ける
- 日量比較では集計時刻、リセット、逆流、欠測、補正基準を合わせる
出典
出典・参考資料(8件)を開く
- キーエンス:瞬時流量と積算流量 — 定義、単位、使用例。
- キーエンス:流量計の選定の流れ — 測定目的、出力と通信。
- YOKOGAWA:積算パルスと周波数設定のFAQ — 流量と単位量から周波数への換算。
- YOKOGAWA:AXR 2線式電磁流量計 一般仕様書 — 瞬時・積算表示とパルス出力の構成例。
- OMRON:1パルスで複数カウントする場合のFAQ — チャタリング、ノイズ、プリスケール設定。
- キーエンス:冷却水の流量計測 — パルスからの瞬時・積算値の記録。
- OMRON:PLCの用語解説 — I/Oリフレッシュと短い入力パルスの取りこぼし。
- キーエンス:体積流量と質量流量 — 温度・圧力と体積、質量への換算。
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