熱交換器とは、温度の異なる流体の間で熱を移し、加熱や冷却、蒸発や凝縮に利用する機器です。工場では、金属の板や管を隔てて流体を流す間接式が広く使われています。
伝熱能力を求める基本は、面積と温度差から考える式と、流体が受け渡した熱から考える式です。両方を同じ単位で結ぶと、必要な伝熱面積や運転中の能力を計算できます。
熱交換器とは?
熱交換器の役割は、温度の高い側から低い側へ熱を渡すための通り道をつくることです。温水で薬液を加熱する場合も、冷却水で作動油を冷やす場合も、同じ熱移動を利用しています。
間接式では、一方の流体が板や管の片側に触れ、もう一方が反対側に触れる構造になります。流体そのものを混ぜずに熱を渡せるため、製品と冷却水を別々の系統で扱えます。
冷蔵庫やエアコンでは冷媒と空気の間で熱を移し、給湯設備では水を必要な温度へ加熱します。工場では反応器の温調、蒸気の凝縮、原料の予熱など、工程に合わせた使い方があります。
排熱回収では、捨てる予定だった高温流体を使い、別の流体の予熱に必要な熱をまかないます。ボイラー排ガスで給水を温めるエコノマイザも、この仕組みを利用する機器です。
熱交換器があっても、使える熱の温度が用途に足りなければ、希望する出口温度には達しません。回収できる熱量に加え、その熱をどの温度まで利用できるかが設備計画の出発点になります。
なお、熱交換器には流体を直接接触させる方式や、蓄熱体を介して交互に熱を渡す方式もあります。ここでは板や管の隔壁を使う代表的な間接式を中心に、構造と計算を整理します。
熱交換器の種類
代表的な構造として、プレート式、シェル&チューブ型、フィンチューブ型の3つがあります。ほかに二重管式やスパイラル式などもあり、この3つは主な構造の例です。
方式を見分けるには、熱を通す面の形と、その両側にどの流体が流れるかを追うと分かりやすくなります。温度や圧力の条件、汚れの性質、洗浄の方法も形式を選ぶ軸になります。

プレート式熱交換器
プレート式は、薄い金属板の間に高温側と低温側の流路を交互につくる構造です。板の表面に波形を設けることで流れを乱し、熱を伝えやすくする工夫が使われています。
ガスケット形は、伝熱板とシール材をフレームの間に重ね、ボルトで締めて流路を形成します。分解して板の状態を見られるため、汚れの除去やガスケットの交換を計画に組み込めます。
図1:プレートの両側へ交互に流す
開いて見せた流路の模式図。実機では板とシール材を締め付ける。
流路の交互配置を示すため板間を広げた図。ポート、ガスケット、マニホールドは省略。
板を追加できる構造では、伝熱面積の増加と、並列流路を増やす影響を合わせて評価します。同じ総流量でも1流路の流量や流速が変わり、熱伝達率と圧力損失も変わるためです。
プレート式には、ろう付け形や溶接形など、板の接合方法が異なるものもあります。分解の可否、シール材の耐熱性、流体との適合性は構造ごとに異なり、使用条件に合わせて選びます。
液体同士の温調などで小さくまとめやすい一方、狭い流路に固形分が詰まると運転を妨げます。入口の異物対策や通路幅、洗浄方法を含めて計画することが、必要な能力の維持につながります。
日阪製作所の公式動画では、プレートを重ねた流路と流体の流れを確認できます。板式の伝熱計算をさらに追う場合は、プレート式熱交換器のU値も参考になります。
シェル&チューブ型熱交換器
シェル&チューブ型は、太い胴の中に多数の伝熱管を収め、管内と管外へ別の流体を流す構造です。管束を胴で包む形から多管式とも呼ばれ、加熱器や冷却器、凝縮器に使われます。
管の端は管板に固定され、管側とシェル側の流体を分離します。シェル内のバッフルは管を支持するとともに流れを導き、管束を横切る流れをつくる役割を担います。
図2:管板で管内と胴内を分ける
直管・1パスの模式断面。胴内の流れはバッフルの開口を交互に通る。
バッフルの交互開口と管の位置を概念化した図。温度や圧力の高低で管側を固定していない。
高温側を管内にするか管外にするかは、温度だけでなく、圧力や腐食性、汚れ、洗浄性で決まります。粘度や流量も流速と圧損に影響するため、両側の条件を合わせて割り当てます。
例えば、高粘度流体では流れにくさと熱伝達の両方が課題となり、必要な流路断面や流し方を検討します。「粘度が高ければ必ずシェル側」という一条件だけでは、最適な構造を決められません。
固定管板式、U字管式、遊動頭式などは、熱による伸びへの対応や管束を抜けるかという点が異なります。入口と出口の温度差が大きい設備では、伝熱だけでなく熱膨張も設計の対象になります。
発電設備の復水器や、蒸気でボイラー給水を温める給水加熱器にも、管を介した熱交換が使われています。用途の名前と内部構造の名前を分けると、機器の役割を整理できます。
神威産業の公式会社案内動画では、熱交換器の製作や管を使った機器の外観が紹介されています。構造を図面で確認する際は、胴側と管側の入口から出口までをそれぞれ追うと読みやすくなります。
フィンチューブ型熱交換器
フィンチューブ型は、管の外側に金属のひれを取り付け、空気などに触れる表面積を広げた構造です。一般に気体側は熱を伝えにくいため、面積を増やす工夫が能力の確保に役立ちます。
管内に水や冷媒を流し、外側に空気を通す形は、エアコンや自動車のラジエータなどで見られます。加熱用では蒸気や温水が管内を流れ、管とフィンを通して外側の空気へ熱が伝わります。
図3:空気側へフィンを広げる
管内流体と管外空気は混ざらず、フィンが管外の伝熱面を増やす。
青矢印は管の手前・奥を通る空気を投影したもの。管内が高温になる加熱用途の例で、冷却用途では熱の移動方向が逆になる。
空気を冷やす用途では管内に低温流体を流し、空気から管側へ熱を移します。フィンという名称は、流体の温度や流れの方向ではなく、伝熱面積を増やす構造を表しています。
フィンの間隔を狭めると面積は増えますが、空気の通り道も狭くなり、汚れや目詰まりの影響を受けます。送風機の能力や風量、圧力損失を含めて、必要な空気の流れを確保する設計が必要です。
フィンには根元から先端へ温度分布が生じ、表面全体の伝熱量は根元の温度を一様に保つ場合より小さくなります。精密な計算ではフィン効率や管との接触状態を考慮し、有効な伝熱面積を評価します。
ボイラーの空気予熱器にも、排ガスの熱を空気へ渡す方式があります。空気を何℃上げるかと風量から必要な熱量を出す手順は、空気の比熱を使う加熱計算で整理できます。
熱交換器の原理
自然な熱移動は温度の高い側から低い側へ向かい、間接式熱交換器では流体と隔壁を順に通ります。流体のエネルギー量そのものの大小ではなく、接する場所の温度差が熱の向きを決めます。
熱が通る経路は、高温流体から壁面への対流熱伝達、壁内部の熱伝導、壁面から低温流体への対流熱伝達です。3つが直列につながるので、途中に熱を通しにくい箇所があると全体の能力が下がります。
対流熱伝達は、流体の流れや混合と、壁近くの熱伝導を含む熱の受け渡しです。熱伝導は温度分布によって物質中を熱が移る現象であり、「異物質間」と「同物質内」だけで区別するものではありません。
流体がよく混ざっていても、壁面の近くには流れが遅い領域があり、そこで熱を通す抵抗が生じます。流速や粘度が変わるとこの抵抗も変わるため、同じ金属板でも運転条件で能力が変わります。
図4:流体・壁・流体の3つの熱抵抗
同じ伝熱面を通る熱に対し、各区間の抵抗に応じた温度差がつく。
平板・同一面積・汚れなしの概念図。温度線の傾きは実測値ではなく、各抵抗の存在を示す。
両側の流体が同じ温度になれば、その場所で温度差による正味の熱移動はなくなります。大きな面積を用意しても、出口で温度差が小さくなるほど、追加の熱を渡すために面積が必要になります。
同じ流体で比熱が一定なら、流量が少ないほど単位時間当たりの熱量が小さくても温度は大きく変わります。相手との温度差も変わるため、入口だけでなく出口までの温度分布を合わせて評価します。
同じ温度差の条件でも、温める対象が液体か空気かで必要な面積は変わります。熱の通りやすさを一つの係数へまとめ、機器全体の計算に使うのが、次の総括伝熱係数です。
熱交換器の伝熱能力①
伝熱面から能力を見る基本式は、総括伝熱係数と面積、代表温度差を掛け合わせた式です。熱交換器の入口から出口まで温度差が変化する場合には、その変化を表す平均温度差を使います。
ここでQは、1秒間に何Jの熱を渡すかという伝熱速度であり、累計の熱量とは区別します。1Wは1J/s、1000Wは1kWなので、時間当たりの能力として機器仕様に使われます。
Aは熱が通る面の広さで、据付面積や装置外観の面積とは異なります。多管式なら管の内面と外面で面積が違い、フィン付きならフィンを含む面と管だけの面でも違いが出ます。
UとAは、必ず同じ面積を基準にした組合せで使います。例えば外面基準のUへ内面積を掛けると、係数と面積の対応が崩れ、見かけの計算値だけが変わってしまいます。
ΔTは、高温側の入口と出口の差をそのまま入れる記号ではありません。両流体が接する場所ごとの温度差を代表させた値であり、流体自身の温度変化とは意味が異なります。
総括伝熱係数U値
総括伝熱係数Uは、熱が高温側の流体から低温側へ届くまでの通りやすさを表す係数です。壁の材質だけでなく、両側の流れや粘度、伝熱面の汚れも、まとめて評価する対象になります。
汚れのない平板を通る一次元の熱移動で、両側の伝熱面積を同じと扱う場合、次の式で表せます。各区間の熱抵抗を足したものが、全体の通りやすさUの逆数に当たります。
熱伝達率hは流体から壁面への熱の渡しやすさで、流速や流れの状態によって変わります。一方の熱伝導率λは壁材の性質を表すため、同じ「熱の通りやすさ」でも単位と役割が異なります。
計算例として、両側の熱伝達率を2000と1000W/(m²·K)、壁厚を1mm、熱伝導率を15W/(m·K)と仮定します。これは抵抗の合成を説明する設例であり、全ての水用機器に使える標準値ではありません。
この例では壁材の抵抗よりも、両側の流体と壁面の熱抵抗が大きな割合を占めています。壁を薄くするだけで全体の抵抗が消えるわけではなく、支配的な区間から改善の効果を考えます。
表面へスケールや油膜が付くと、汚れの層が新しい熱抵抗となり、同じ温度条件でも伝熱が弱まります。同一面積基準の汚れ抵抗を用いる場合には、基本式の右辺へ両側の抵抗を加えます。
円管では内外の面積比と管壁の円筒形状、フィンではその効率などを含めた計算が必要になります。平板の式で考え方をつかんだ後に、実際の形状に対応した面積基準へそろえます。
流速を上げると熱伝達が改善する場合がありますが、同時に圧損や振動、摩耗への影響も増えます。熱と流れを一緒に見る考え方は、配管の流速と圧力損失の関係にも共通します。
Uを求める基礎となる2つの係数は、熱伝導率と熱伝達率の違いで詳しく整理しています。資料から数値を読むときは、流体、温度、流量、清浄時か汚れ込みかを一組として扱います。
対数平均温度差LMTD
熱交換中は高温側が冷え、低温側が温まるため、両側の温度差は流路に沿って変化します。この変化を伝熱計算に合う形で平均化したものが、対数平均温度差、略してLMTDです。
基本的な並流や向流では、同じ物理的な端で向かい合う高温側と低温側の温度を引き算します。両端の温度差をΔTa、ΔTbとして、次の対数を含む式に代入します。
並流は2つの流体が同じ方向へ流れ、向流は反対方向へ流れる配置です。直交流は流れが交差する配置であり、向流の両端差を使うだけで、そのまま全形式を計算できるわけではありません。
以下では、温水が90℃から60℃へ冷え、冷水が20℃から40℃へ温まる向流を考えます。温水入口側では90−40、温水出口側では60−20となり、両端の差は50Kと40Kです。
図5:向流の端温度差は、同じ端同士で引く
温水入口側は90−40=50K、温水出口側は60−20=40K。
端の対応を示す図で、内部の温度変化を直線近似したグラフではない。
両端差が同じときには表示式が0を0で割る形になりますが、その極限値は共通の温度差です。計算ソフトや表計算でも、同じ値の場合の分岐を設けて、その温度差を使います。
多パスや直交流では、構造に応じた温度差補正係数Fを用いる方法などがあります。補正が必要な構造でFを省くと有効な温度差を大きく見積もり、必要面積を小さく算定するおそれがあります。
出口温度が未知なら、欲しい値を4つの端温度へ自由に置いて、面積式だけで決めることはできません。熱収支と伝熱の式を同時に解くか、温度効率とNTUを使う方法などで整合する温度を求めます。
向流と並流の温度の組合せや、等端温度差の扱いは、対数平均温度差の計算例で追えます。限界まで熱を渡せる量との関係は、熱交換器の最大交換熱量も合わせて読むと理解できます。
熱交換器の伝熱能力②
もう一つの求め方は、流体の質量流量と比熱、入口と出口の温度差から熱の受け渡しを求める方法です。相変化を伴わず、比熱を一定として扱える範囲では、次の式で計算できます。
ここでのΔTは、一方の流体が何℃変わったかを示しており、LMTDのΔTとは別の量です。高温側なら入口温度から出口温度を引き、低温側なら出口から入口を引いて、熱量の大きさをそろえます。
mの意味を質量とすると単位はkgですが、連続運転する機器の能力計算にはkg/hなどの質量流量を使います。記号の見た目よりも単位を追うと、時間の積算量と能力を取り違えずに済みます。
定常運転で機器への蓄熱と外への放熱を無視すると、高温側が失った熱と低温側が得た熱は等しくなります。この一致は同じ温度まで変わるという意味ではなく、流量と比熱を含む熱量の一致です。
先ほどの温水を2kg/s、冷水を3kg/sとし、両側の比熱を説明用に4.18kJ/(kg·K)と置きます。温水の温度変化は30K、冷水は20Kですが、両側の受け渡しは同じ250.8kWになります。
流量計が体積流量を示す場合は、その温度での密度を使って質量流量へ換算します。粘度の高い液体や混合液では水と同じ密度や比熱を使わず、組成と温度に対応する値を用います。
蒸気の凝縮や冷媒の蒸発では、熱を渡しても温度変化が小さい区間があるため、比熱と温度差だけでは表せません。この場合は入口と出口の比エンタルピーの差を使い、相変化の潜熱を含めて求めます。
例えば、吸収式冷凍機での蒸気の利用では、蒸気が凝縮して熱源となる点が重要です。温度が変わらないから交換熱量もゼロだと考えず、状態の変化から使う式を選びます。
運転中の高温側と低温側で計算値が合わないときは、時刻や流量、温度、物性値をそろえて点検します。起動時の蓄熱や外部放熱も関係するため、差を全て熱交換器内部の不具合と決めつけません。
設備全体で熱の出入りを整理する場合は、機器のどこを計算の境界とするかを先に決めます。ヒートバランスの考え方を使うと、熱交換器の能力と周辺配管の損失を分けて評価できます。
熱交換器の伝熱面積計算方法
必要な面積は、流体の熱収支から求めたQを、Uと有効な平均温度差で割ることで求めます。熱収支の式と伝熱面の式が同じ熱の受け渡しを表すため、両者を等しく結べます。
ただし、式を結ぶ前に単位をそろえる必要があり、kJ/hをWへそのまま代入してはいけません。1時間は3600秒なので、250.8kWは902880kJ/hに相当します。
同じ向流例で、Uを一定の600W/(m²·K)、補正係数を1と仮定して必要な面積を求めます。Uは前の抵抗計算例と別に置いた説明用の仮定値であり、標準値や実機の保証値ではありません。
図6:流体条件から面積までの計算を一つにつなぐ
熱収支と端温度差を先に整え、Uと面積基準を合わせて面積へ進む。
| 段階 | 今回の向流例 | 計算結果 |
|---|---|---|
| 熱収支 | 温水2kg/s、90→60℃、比熱4.18kJ/(kg·K) | 250.8kW |
| 低温側との一致 | 冷水3kg/s、20→40℃、同じ比熱 | 250.8kW |
| 両端の対応 | 90−40、60−20 | 50K、40K |
| 温度差の平均 | (50−40)/ln(50/40) | 44.8142K |
| 係数と単位 | U600W/(m²·K)、F1、Q250800W | 同一面積基準へ |
| 必要面積 | 250800/(600×1×44.8142) | 約9.33m² |
仮定に基づく熱設計の例。流路数・伝熱板枚数・外形・圧力損失まで確定した機種選定ではない。
選定資料にそろえる条件
メーカーへ条件を渡すときは、両流体の入口温度と要求出口温度、流量、物性値をまとめます。同時に、許容圧力損失や使用圧力、腐食性、固形分、洗浄条件も設計へ反映します。
| 比べる項目 | プレート式 | シェル&チューブ型 | フィンチューブ型 |
|---|---|---|---|
| 主な伝熱面 | 積層した金属板 | 管束の管壁 | 管壁と管外フィン |
| 流路を見る点 | 板間の交互流路とポート | 胴側/管側とパス数 | 管内とフィン側の気流 |
| 保全で見る点 | 接合方式、分解可否、シール | 管束の抜出し、管内/胴内洗浄 | フィンの汚れ、通風、管との接触 |
| 面積計算の注意 | 有効な伝熱板面積 | 管内面/外面の基準 | フィン効率を含む有効面積 |
運転パターンが複数ある場合は、必要な面積が最も大きくなる条件を各ケースで調べます。最大流量のときだけでなく、冷却水温が高い場合や最低流量時のUの低下も、必要に応じて検討します。
余裕を見る際も、面積を増やすと流速や流路数が変わるので、Uを固定したまま際限なく大きくする設計はできません。伝熱と圧損を繰り返し計算し、制御性や洗浄性を含めて構造を決めます。
機器の設置面積に加え、管束や伝熱板を引き抜く空間、配管を外す作業空間も必要になります。定期的な洗浄を予定していても、現場で分解できなければ、計画した保全を実行しにくくなります。
運転後に能力が落ちた場合は、同じ条件でのQとLMTDからUAを求め、過去の値と比較できます。ただし流量や物性、流れ方が変わる場合はUも変わるため、温度計の値だけで汚れ量を決めることはできません。
既知の面積から出口温度を求める場合には、熱収支で温度を結び、LMTDとの整合を反復して解きます。具体的な手順は、熱交換器の伝熱面積と出口温度の計算で数値を追えます。
周囲へ逃げる熱が無視できない設備では、保温も含めて機器の境界を決め直します。保温厚みと放熱量を考慮することで、熱源の必要量と流体が受け取った熱を分けて把握できます。
熱交換器のよくある質問
熱交換器は熱をつくる装置ですか?
熱交換器の基本的な役割は、別の流体から熱を受け取り、必要な流体へ渡すことです。電気ヒーターなどを組み込んだ設備では、熱源の入力と、隔壁を通して渡す熱を分けて考えます。
熱交換器の大きさはkWだけで選べますか?
同じkWでも、両流体の温度差やUが小さい条件では必要な面積が大きくなります。流量や許容圧損も合わせて選定し、電熱設備の入力との違いはワット数と伝熱能力の関係で整理します。
対数平均温度差と流体の温度差は同じですか?
LMTDは高温流体と低温流体の間の差を代表する値で、比熱の式の温度差は一つの流体の入口と出口の差です。例ではLMTDが44.81K、温水の温度変化が30K、冷水は20Kになります。
熱交換器を洗浄すれば必ず元の能力に戻りますか?
付着した汚れが主因なら洗浄によって伝熱が改善しますが、流量低下や空気滞留、流路の変形なども能力に影響します。点検は停止・冷却・減圧・隔離を含む設備の作業手順に沿い、原因に対応した方法で進めます。
暖房用の放熱面積をそのまま伝熱面積に使えますか?
暖房機器の相当放熱面積は、定めた条件での能力を表す換算指標です。実際の熱交換面積とは区別し、オイルヒーターの消費電力も含め、面積と能力の単位を確かめて使います。
まとめ
- 代表的な間接式には、プレート式、多管式、フィンチューブ型がある
- 流体から壁、壁内部、壁から流体の熱抵抗を合わせてUで表す
- 伝熱面の式Q=UAΔTと、流体の熱収支を同じ単位で結ぶ
- 相変化のない向流例では250.8kW、LMTD44.81K、仮定U600で面積約9.33m²
- 機種選定では汚れ・圧力損失・物性・運転条件・保全空間も合わせて評価する
計算を始めるときは、まず両流体の条件を一枚に並べ、どの熱を機器の境界内で受け渡すかを決めます。熱収支と温度差の整合を確かめれば、面積の式を使う目的も明確になります。
出典
出典・参考資料(9件)を開く出典・参考資料を閉じる
- 日阪製作所:プレート式熱交換器(流路と構造)
- 日阪製作所:多管式熱交換器(管板・管束と構造区分)
- 日阪製作所:フィンチューブ(気体側の面積拡大)
- Alfa Laval:熱交換器とは(熱移動と間接式)
- Spirax Sarco:Heat Transfer(熱抵抗・汚れ・熱収支)
- NPTEL:Heat Exchangers, Lecture 35(温度分布とLMTD補正)
- NPTEL:Heat Exchangers, Lecture 37(熱設計・圧力損失と反復計算)
- 日阪製作所:構造・製造工程と特徴(メーカー公式動画)
- 神威産業公式サイト(メーカー公式チャンネルへの案内)
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