静電容量式流量計の原理は?電磁流量計との違い・低導電率の条件と注意点

直管部に設置した電磁流量計の外観イメージ

静電容量式流量計は、流体中に生じる起電力を、測定管壁の静電容量を介して検出する電磁流量計です。電磁誘導を使う基本原理は同じで、液体へ触れない位置に検出電極を配置する点が特徴です。

電極が液体に触れないため、電極面への絶縁物の付着や、粒子が電極に当たることで生じる問題を減らせます。測定管や接地部品は液体に触れるので、流量計全体が配管の外にある方式とは区別します。

動画1:00付近の「導電性のある素材」は、正しくは容量結合に使う絶縁性の測定管です。1:14と2:50付近も、電荷量や静電容量そのものを測るのではなく、電磁誘導で生じる起電力を検出する説明へ訂正します。

1:39付近の説明と異なり、高入力インピーダンスだけで総合精度が上がるわけではありません。2:02付近の低導電率への適性も、精度の高さだけによらず、シールド・励磁・信号処理を組み合わせて実現します。

2:42付近の「周波数を上げればよい」「超純水は測れない」という説明にも条件が必要です。周波数変更は万能ではなく、超純水も名称だけで除外せず、機種・口径・導電率・流速の範囲で判断します。

目次

静電容量式流量計とは?

容量式電磁流量計とも呼ばれ、導電性液体の流速を電磁誘導で検出する方式です。液体が磁界を横切って流れると起電力が生じ、その大きさと測定管の断面積から体積流量を求めます。

接液電極式の電磁流量計では、管の内面に露出した電極を通して信号を取り出します。容量式では電極を絶縁性の管壁の外側へ置き、管壁を隔てて信号を取り出すため、検出電極が液体へ接しません。

流れ・磁界・起電力は互いに直角

管壁外の面電極絶縁性の測定管磁界 B流れ v は手前へ−+左右に起電力 E管軸に沿って流れ、管壁を介して左右の電位差を検出

断面方向から見た原理模式図。符号は図の磁界・流向の組合せに対する例で、端子の極性を示す配線図ではありません。

磁界の向きと流体の流れる向きが直交すると、その両方に直角な方向へ起電力が生じます。図は管の断面から見ており、手前へ流れる液体と下向きの磁界に対し、左右で電位差を検出する構成です。

磁界を作る励磁コイルと、起電力を検出する電極は、別の役割を持つ部品です。磁界と磁力線の基本を押さえると、電極だけを外側へ移しても電磁誘導の原理は変わらないことが分かります。

ここでの静電容量は、絶縁体を挟んだ導体間で電荷を蓄えられる性質を表します。管壁を隔てた液体と面電極が容量結合を作り、時間的に変化する電気信号を検出回路へ伝えます。

静電容量があることと、管壁に直流電流が自由に流れることは異なります。セラミックの管壁を導電性の通り道として説明せず、絶縁体を挟んで信号を取り出す構造として理解することが大切です。

絶縁体の性質と容量の関係は、誘電率と比誘電率で詳しく説明しています。ただし、容量式電磁流量計は液体の誘電率だけを読み取って流量へ換算する機器ではありません。

管壁の容量を介して、起電力を取り出す

+−液体内の起電力測定管壁の容量高入力インピーダンス回路信号処理へ検出の考え方を示す等価図。実機の詳細回路は省略

測る中心は流速に対応する起電力。液体の量による静電容量の変化を測るレベル計とは異なります。

容量結合を通して微小な信号を取り出すため、入力回路には高いインピーダンスが求められます。検出回路へ信号を取り込む際の負荷を小さくする工夫であり、それだけで機器の総合精度が決まるわけではありません。

周囲の配線との間にできる浮遊容量なども、信号の検出へ影響する要因です。高インピーダンスの回路と、電極周辺のシールド、励磁や信号処理を組み合わせて、安定した測定を成立させます。

配線や接地を検討するときは、シールド線の役割と接地も関係します。シールドがあればどこへ接続してもよいとせず、使用する流量計の結線図と施工条件に従います。

静電容量式レベル計は、液面の変化に伴う容量の変化を利用して高さなどを検出します。本記事の流量計では電磁誘導による起電力を検出しているため、名前に静電容量が含まれていても、測定対象と使い方が異なります。

一様磁界と電気的に均質な液体、管軸に対称な流れを仮定すると、起電力は磁束密度、管内径、平均流速の積です。円管の体積流量は断面積と平均流速の積なので、検出した流速を流量へ換算できます。

一様磁界・円管の原理モデル
E = BDv
Q = πD24v
E:起電力[V] B:磁束密度[T] D:測定管の内径[m] v:平均流速[m/s] Q:体積流量[m3/s]。実機の校正特性や誤差を表す式ではありません。

例えば磁束密度を0.10 T、管内径を25 mm、平均流速を2.0 m/sと仮定します。起電力は5.0 mV、体積流量は約58.9 L/minとなり、流速を電気信号へ変換する基本的な関係が分かります。

架空条件を代入した計算例
E = 0.10 × 0.025 × 2.0 = 0.0050 V = 5.0 mV
Q = π × 0.02524 × 2.0 ≒ 0.0009817 m3/s
Q ≒ 0.0009817 × 1000 × 60 ≒ 58.9 L/min
25 mm=0.025 m、1 m3=1000 L。数値は説明用の仮定で、メーカーの励磁条件や保証性能を示しません。

同じ流速から、起電力と流量へ分けて計算

条件内径25 mm・流速2 m/s磁束密度0.10 Tを仮定。まず内径を0.025 mへそろえる。
起電力BDv → 5.0 mV流体の流れで生じる起電力。変換器の外部出力電圧ではない。
体積流量断面積×流速 → 58.9 L/min0.0009817 m³/sをL/minへ換算。質量流量とは区別する。

式の結果を、容量電極からそのまま取り出せる電圧や表示の保証精度と混同しないことが大切です。

変換器は、この微小な起電力を増幅・処理して、流量表示や電流・パルスの信号へ変換します。原理式で得るミリボルトの電圧と、外部へ出力する4–20 mA信号は別のものです。

ここで求めたのは、その瞬間に単位時間あたり流れる体積の流量です。積算値との違いは瞬時流量と積算流量に整理しており、表示の単位がL/minかLかによって、比較する量も変わります。

電磁式と超音波式の大きな違いは、超音波式と電磁式の流量計の違いも参照してください。容量式は電極が非接液でも電磁式の一種であり、配管の外へ取り付ける超音波式と同じ構造ではありません。

静電容量式流量計のメリットは?

接液電極式と比較した大きな利点は、金属電極が直接液体にさらされないことです。液体による電極の腐食や、固形物が電極へ接触して生じる電気的なノイズを避ける構造にできます。

粒子や付着物が、検出電極へ直接触れない

接液電極式容量電極式電極が管内へ露出面電極は管壁の外側電極面に付着・粒子接触管壁には液体や付着物が接触

電極が非接液でも、測定管の摩耗・付着・材質適合の確認は必要です。付着の影響は性質や状態によって異なります。

接液電極の表面が絶縁性の膜で覆われると、電気的な接続に影響して信号が不安定になることがあります。容量電極では検出の経路が異なるため、絶縁物が付着する流体へ対応しやすい製品が用意されています。

スラリーの固形物が電極へ衝突して生じるノイズも、電極を管外へ置けば直接接触を避けられます。これは粒子を流路から取り除くという意味ではなく、信号を検出する場所の構造による利点です。

一方、セラミック管そのものやガスケット、接地デバイスは流体に接します。腐食性のある液体へ使う場合は、非接液電極という言葉だけで判断せず、残る接液部材の材質適合も確かめます。

管内へ羽根車などを置かない貫通構造なら、可動部の摩耗やその部分への詰まりを避けられます。流路に絞りを作る方式との比較では圧力損失を小さくできますが、配管全体の摩擦損失がなくなるという意味ではありません。

粘度や密度は、原理式に直接の変換係数としては現れません。ただし、高粘度流体の流れ方、沈殿や付着、相分離などが実測へ影響する場合があるため、原理の特徴と実際の適用条件を分けて評価します。

低導電率の流体へ適用できることも、容量電極方式の特徴の一つです。容量電極だけでなく、高インピーダンスの入力回路や励磁・信号処理を組み合わせることで、微小な起電力を検出します。

純水やアルコールを含む液体なども、名称だけで接液電極式は不可、容量式は可と分類することはできません。実際の導電率と測定条件を取得し、採用する機種の仕様へ照らして判断します。

例えば、横河電機の現行CAシリーズ一般仕様では、口径15〜100 mmで0.01 μS/cm以上という導電率が示されています。同じシリーズでも口径150・200 mmは1 μS/cm以上であり、方式全体の共通下限としては使えません。

100 mm以下で0.1 μS/cm以下の流体では、スパン誤差が生じる場合があるため、メーカーへの相談が指定されています。流速との使用可能範囲も照合し、最低導電率の数字だけで要求精度を満たすとは判断しません。

食品や薬液を扱う設備では、洗浄条件と温度変化、接液材の適合も選定条件になります。イオン交換水や糖液などの用途例を、そのまま別の濃度や温度の工程へ転用せず、実液の条件を示して確認します。

交換を検討するときは、既設機器でどの問題が起きているのかを先に整理します。電極への絶縁物付着が問題なのか、満水不足や気泡が問題なのかによって、方式変更で改善できる範囲が変わります。

静電容量式流量計のデメリットは?

最初に確認するのは、対象液体の導電率と、運転中に取り得る流速の範囲です。電極が非接液でも電磁式であることは変わらず、気体や、導電率が仕様を満たさない油などへ、そのまま適用できる方式ではありません。

同じ純水ラインでも、水質の管理状態や温度によって導電率の条件は変わります。超純水という名称だけで一律に除外せず、最低導電率と実測の範囲を、温度条件とともにメーカーへ提示します。

薬液の混合前後や洗浄工程の切替では、通常製造時と違う液体が測定管を通ることがあります。運転の一部だけを見て選ばず、流れる液体の組成と導電率がどこまで変化するかも整理します。

流量の指示が揺れる場合、低導電率のフローノイズが原因の一つになります。メーカーは高周波励磁や回路設計を組み合わせて対策していますが、現場で周波数だけを上げれば解決するという一般則ではありません。

表示を落ち着かせるダンピング設定も、原因そのものを取り除く機能ではありません。表示の平滑化を強めると変化の追従も遅くなるため、工程の応答と必要な監視性能を踏まえて設定します。

非接液電極でも、測定管は満水で使う

測定液で満水上部に空気が残る流路の断面積が成立指示変動・誤差の要因上向き流れの例停止・排水・再起動時にも、満水条件を維持する配管を確認

設置位置は機種の説明書で確認。気泡のたまりや排水で管内が空く場所を避け、ゼロ調整は満水・静止条件で行います。

測定管の中が満水であることも、体積流量を正しく求めるための重要な条件です。管内に空気が残っていると、原理式で用いる断面全体を液体が占める状態とは異なり、指示の誤差や不安定の原因になります。

配管の高い部分に気泡がたまる配置や、停止時に流体が抜けてしまう位置を避けます。垂直配管へ取り付ける場合も、下から上へ流すなど、常に満水を確保する条件を説明書で確認します。

流量計の下流で絞る弁などにより圧力が下がると、条件によっては気泡が発生します。キャビテーションとエアの混入の違いも踏まえ、流量計付近で液体の状態が変わっていないかを調べます。

固形物が沈む流体や気泡が浮く流体では、電極の配置方向も確認します。非接液電極でも、管内の片側だけが液体と異なる状態になれば測定へ影響するため、取付角度の指定を守ることが必要です。

必要な直管長は、上流の曲がりや弁、流体の性質などで条件が変わります。通常の電磁式の代表値だけを覚えて適用せず、選定する容量式の設置図と、低導電率流体向けの追加条件まで確認します。

測定管の入口へガスケットがはみ出すと、流れを乱す要因になります。取付作業では口径とガスケットの組合せを照合します。フランジのFF・RFとパッキンも確認し、配管接続の形と測定条件を別々に確かめます。

基準電位を得るための接地デバイスや、指定の接地・配線も重要です。検出電極が液体に触れないから接地が不要になるわけではなく、金属配管と樹脂配管で異なる施工条件も説明書に沿って確認します。

配管のフランジ間に取り付けた流量計本体と配線の外観
流量計の外観イメージ(生成画像)。電極方式の証拠ではなく、支持材側へ伸びる緑黄線も正しい接地施工を示しません。施工は機種の説明書に従います。

運転開始前のゼロ点調整は、測定流体で満たした状態で流体を完全に静止させて行います。ポンプを止めただけで実際に流れが残る場合や、管内に空気がある状態では、適切な基準を作れません。

ゼロ調整をしても導電率や設置の条件外を補えるわけではなく、まず測定条件を成立させる必要があります。

現場表示が正しいのに制御盤の表示だけが合わない場合は、出力側の設定も調べます。電流レンジ、流量単位、受信側の換算を照合し、センサの原理による問題と信号伝送の問題を分けます。

積算の値が合わない場合には、パルス一つが表す量や、受信できる周波数の条件も確認します。パルス信号と状態信号の違いを踏まえ、同じオンオフの信号でも意味を取り違えないことが大切です。

点検では、液種と導電率、流速、満水状態、気泡、付着、接地・配線の順に条件を整理すると原因を追いやすくなります。測定値の推移と工程の切替時刻を並べ、いつから変化したかを残します。

洗浄や分解で対処する場合は、測定管の材質やガスケットの指定を確認して作業します。電極を磨く一般的な保全方法をそのまま転用せず、機種の保守手順に沿って接液部を扱います。

選定時には、測定可能かどうかに加えて、必要な精度と最小流量を明確にします。流量の通常値だけでなく、立上げ、低負荷、洗浄、停止前後を含む範囲を提示すると、仕様の抜けを減らせます。

容量式が適する問題と、別方式の検討が必要な問題を分けることも重要です。電極付着の回避を求めるのか、導電率に依存しない測定を求めるのかを整理し、同じ要求条件で候補を比較します。

静電容量式流量計のよくある質問

静電容量の変化から流量を測っていますか?

本記事の容量式電磁流量計では、流体に生じる起電力を容量結合で取り出しています。液面の変化に伴う静電容量の変化を利用するレベル計とは、測定する量と構成が異なります。

非接触なら、配管を切らずに取り付けられますか?

非接液なのは検出電極であり、測定管は液体の流路の一部になります。配管外へ取り付けるクランプオン方式と同じ意味ではないため、接続方式と必要な工事を仕様書で確認します。

純水や超純水は測定できますか?

機種・口径・導電率・流速によって適用範囲が変わるため、水の名称だけでは決まりません。最低導電率だけでなくスパン誤差やノイズに関する条件を照合し、実液での要求を確認します。

電極が非接液なら付着の影響はありませんか?

電極への絶縁膜付着という問題を避けやすい一方、管壁の状態や付着物の性質による影響は残ります。閉塞や沈殿、接液材の劣化を含め、電極以外の部分も点検対象になります。

容量式なら接地やゼロ調整は不要ですか?

接地や基準電位の取り方、ゼロ調整は、それぞれ機器の説明書に従って必要な条件を整えます。非接液電極という構造だけを根拠に、配線や満水・静止での調整を省くことはできません。

まとめ

この記事のまとめ
  • 容量式電磁流量計は、電磁誘導で生じる起電力を管壁の容量を介して検出する
  • 検出電極が非接液でも、測定管や接地部品には接液部がある
  • 電極の腐食・接触ノイズ・絶縁物付着を避ける構造に特徴がある
  • 低導電率への適用は、機種・口径・流速と誤差の条件を一緒に読む
  • 満水、気泡、設置位置、接地、信号設定を含めて測定条件を整える

容量式と接液電極式の違いは、起電力を取り出すための電極構造にあります。解決したい現場の問題を明らかにし、流体条件と設置条件を一式で照合することが、方式選定の出発点です。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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