測温抵抗体の2線式・3線式・4線式の違い|導線補償と誤差の計算

配管に取り付けた閉じた温度センサ接続ヘッドのイメージ

測温抵抗体の2線式・3線式・4線式の違いは、抵抗素子までの導線抵抗を測定でどう扱うかです。2線式は往復の抵抗が加算され、3線式は導線条件をそろえて補償し、4線式は電流と電圧の経路を分けます。

工場で温度センサを交換するときは、線の本数だけでなく、素子の種類と受信計器の入力方式を合わせることが必要です。3本をつなげば必ず高精度になるのではなく、補償回路と配線条件がそろって働きます。

自己加熱や設置による誤差と、配線の誤差も区別します。

目次

測温抵抗体とは

測温抵抗体は、金属の電気抵抗が温度で変化する性質を利用する温度センサです。RTDとも呼ばれ、工場の配管やタンク、装置の温度を、記録計や調節計へ伝えるために使います。

白金は抵抗と温度の関係が安定しているため、代表的な素子材料です。Pt100は0℃で100Ωの白金測温抵抗体を表します。銅やニッケルを使うものもあり、金属の名前だけで同じ入力設定にはできません。

抵抗素子は小さく、保護管やシースの先端側へ組み込まれます。実機には内部導線、絶縁物、端子、外部の接続ケーブルがあるため、抵抗を読み取る経路には素子以外の部分も含まれます。

計器は既知の測定電流を流し、電圧から抵抗を求め、対応する温度へ換算します。熱起電力を読む方式とは異なるため、交換時は熱電対と測温抵抗体の違いを踏まえて入力を確認します。

白金を使えば測定全体が自動的に正確になるわけではありません。素子の許容差に加え、導線、計器、自己加熱、取り付けによる温度差が加わります。線数は、そのうち導線の影響を抑えるための選択です。

測温抵抗体の2線式と3線式の使い分け

使い分けの軸は、許容する温度誤差、配線の長さと環境、計器の対応方式です。センサの線数と計器端子の設定をそろえた上で、導線抵抗がどの程度の誤差になるかを見積もります。

2線式

2線式は、抵抗素子の両端へ1本ずつ導線を接続します。同じ2本で電流を供給し、電圧を測るため、計器から見た抵抗には素子抵抗と往復の導線抵抗が加わります。

銅線も抵抗ゼロではなく、長く細いほど抵抗が大きくなります。端子やコネクタの接触抵抗も測定値に含まれ、ケーブルの温度が変われば導線抵抗も変化します。

図1:2線式では素子までの往復抵抗が見える

既知の電流Iで、計器端子間の電圧Vを測る等価回路の一例です。

IVr1r2RT計器側センサ側

VをIで割るとRT+r1+r2。電圧検出器は高入力抵抗を想定し、実機の保護回路は省略しています。

2線式の抵抗と温度誤差の概算
R測定 = RT + r1 + r2
ΔT ≒ r1 + r2S
RT:素子抵抗[Ω] r1・r2:各導線等の抵抗[Ω] S:抵抗の温度感度[Ω/℃]。温度によりSは変わるため、誤差の概算式です。

Pt100の0〜100℃の平均的な感度を約0.385Ω/℃として、片道0.60Ωずつの導線を仮定します。合計1.20Ωが加わるため、温度表示はおよそ3.12℃高くなる計算です。導線の値は説明用の仮定です。

片道0.60Ωの2線式Pt100(仮定例)
ΔR = 0.60 + 0.60 = 1.20 Ω
ΔT ≒ 1.200.385 ≒ +3.12 ℃
Pt100が昇温で抵抗増となる範囲の換算例。個々の測定温度の厳密な補正には対応する抵抗温度関係を使います。

計器が導線抵抗の補正に対応していれば、既知の抵抗を差し引く運用が可能です。ただし、一度補正した値でケーブルの温度変化や接触抵抗の変化まで消せるわけではありません。

2線式は、短い配線や、必要な精度に対して導線の影響が小さい用途で検討できます。温度変換器をセンサの近くへ置き、その先を電流信号で伝送する構成も選択肢です。

例えばPt1000はPt100より抵抗変化の量が大きいため、同じ導線抵抗の温度換算影響を小さくできます。ただし、計器のPt1000入力への対応と測定電流の適合が必要で、素子だけ交換する方法ではありません。

3線式

3線式は、抵抗素子の一端へ1本、反対側へ2本の導線を接続します。計器側が導線の電圧降下を補償する回路を持ち、対応する導線抵抗が等しいという条件を利用して影響を抑えます。

工業計測で広く使われる方式ですが、3本のうち1本を電圧測定専用にすれば、それだけで全導線の抵抗が消えるわけではありません。電流経路に残る電圧降下を、計器の測定・補償方式で取り除きます。

補償の実装には複数の方法があります。図2は、等しい2つの測定電流を用いる一例です。素子側と補償側へ同じ電流を流し、差動電圧を取ることで共通部分と対応する導線の影響を打ち消します。

図2:等しい電流と導線抵抗を使う3線補償の一例

Aに素子側の電流I1、Bに補償電流I2。下のbは2電流の戻りです。すべての3線計器が同じ回路という意味ではありません。

A / I1 →B / I2 →b / I1+I2 ←rArBrbRTV

電源・電流源本体・ADC・基準抵抗は省略。VはAとBの計器側端子間の高入力抵抗差動検出です。

図2でI1=I2=Iとしたときの差動電圧
VA = I(RT + rA)+2Irb
VB = IrB + 2Irb
VA − VB = I(RT + rA − rB)
VA・VB:bの計器側端子を基準とする電圧[V] I:各測定電流[A] RT:素子抵抗[Ω] rA・rB・rb:各導線抵抗[Ω]。rA=rBなら差動電圧はI×RTになります。電流の一致と計器の許容範囲も必要です。

例えば、補償される導線の一方が0.68Ω、もう一方が0.60Ωなら、差は0.08Ωです。Pt100で0.385Ω/℃を用いた概算では約0.21℃に相当し、等しくない分は残ります。

導線をそろえるには、同じ材質、断面積、長さ、温度条件を保つことが基本です。多芯ケーブルでも、途中の継ぎ足し、端子の腐食、締付け不良、部分的な加熱があれば、各経路の抵抗はそろわなくなります。

フェルール処理した三芯センサケーブルのイメージ
三芯ケーブルの一般イメージ。色だけで結線を判断せず、センサの内部結線と端子図を確認します。

長いケーブルでは、補償できるから抵抗値を気にしなくてよいという考え方も誤りです。計器には許容する導線抵抗や不平衡の仕様があります。接続導線の1m当たりの抵抗と距離を、その範囲に合わせます。

ノイズの多い場所では、線を増やすだけで指示が安定するとはいえません。動力線との離隔やシールドケーブルの扱いも含め、機器の配線指示に従います。

4線式

4線式は、抵抗素子の両端へ2本ずつ導線を接続し、電流供給の2本と電圧検出の2本を分けます。電圧入力へ流れる電流が十分に小さければ、電圧検出線の抵抗による降下も小さくなります。

電圧を素子の端点で取り出すため、電流供給線で生じる電圧降下を測定から分離できます。これは4端子測定、Kelvin接続の考え方であり、3線式の導線が等しいという補償条件とは異なります。

図3:4線式は素子端点から電圧を取り出す

黒が電流の往復、青が電圧検出。2本ずつが合流する場所は計器側ではなく素子の端点です。

IV電流供給 →電流戻り ←検出+検出−RT

電圧入力は高入力抵抗を想定。実機の電流源・入力範囲・熱起電力などによる誤差までゼロにする図ではありません。

精密測定や基準の比較に有用ですが、4線にすれば総合誤差がゼロになるわけではありません。素子の許容差、入力計器、自己加熱、取り付けの熱的条件は、4線式でも評価します。

4線式を選ぶには、受信計器にも4線入力への対応が必要です。4本あるセンサを3線入力へつないだ場合、計器指定の接続が可能でも、4線式の測定性能をそのまま得られるわけではありません。

費用は導線数だけでなく、センサ、端子、入力カード、工事、点検によって変わります。「4線式は標準器にしか使えない」と限定せず、必要な精度と設備側の対応から選びます。

精度の要求を決めるときは、センサ単体のカタログ値と、設備が許容する温度のずれを分けます。工程が必要とする範囲の中に、素子、配線、計器、設置の各要因を収める考え方が必要です。

例えば、必要な温度差の判別が0.1℃程度なのに、3線の導線不平衡だけで約0.21℃残る条件では、配線の見直しが先になります。これは配分を考える仮定例であり、0.1℃を全工程の標準精度とする意味ではありません。

複数の誤差を合算するときにも、最大許容差と標準不確かさを同じ量として足さないようにします。現場で必要な合否基準、校正の結果、各仕様の意味をそろえてから、精度の余裕を評価します。

新設では、計器まで直接抵抗を伝える構成と、現場変換器から電流信号を伝える構成を比較します。長い抵抗測定ケーブルの問題を減らせても、変換器側の精度や電源、設置環境の条件が新たに加わります。

既設の2芯ケーブルを利用するために、3線センサの2本を近くでまとめる方法を自己判断で選ぶのも避けます。センサ端と計器端のどこで結線したかにより残る抵抗が変わるため、対応する入力方式で回路を確認します。

接続を中継端子箱へ移す場合は、端子接触の数と環境条件も変わります。箱内への水分侵入や異種材の接続、片側だけの延長を含めて記録し、見た目の導線本数が同じでも等しい測定経路かを調べます。

配線の途中だけを太くしても、細い内部導線や接点の抵抗まで消えるわけではありません。3線の補償で比較するのは、素子端まで含む対応経路の抵抗であることを意識すると、部分的な改造による不平衡を避けやすくなります。

最終的には素子記号、導線方式、接続図、導線仕様、入力設定、確認値を一緒に残します。予備品の手配や次回交換でこの組合せを再現できることが、単発の表示合わせより継続的な温度管理に役立ちます。

導線誤差と温度計全体の誤差を分ける

3線や4線で対策できるのは、主に測定経路の導線抵抗です。センサ素子そのものの許容差を改善する回路ではなく、素子と計器が異なる温度規格や特性なら、線数が合っていても正しく換算できません。

Pt100とJPt100などは、0℃で同じ100Ωでも温度に対する抵抗の関係が異なります。交換時は素子記号、線数、許容差、温度範囲、測定電流を仕様書で照合します。抵抗値を1点見ただけでは全条件の一致は判断できません。

図4:線数で減らせる誤差と、別に評価する誤差

温度表示のずれを全て導線だけの問題にしないことが、交換・点検の要点です。

要因2線3線4線
往復導線抵抗直接加算条件をそろえ補償電流/電圧を分離
導線の不平衡合計値が影響残差の原因高入力抵抗等の条件で抑制
素子/入力特性全方式で一致が必要
自己加熱/挿入/熱伝導線数の変更だけでは解決しない
ノイズ/接触/絶縁実配線と機器条件の点検が必要

測定電流によるジュール熱で、素子自身の温度が上がる現象を自己加熱といいます。抵抗Rへ電流Iが流れると発熱はI²Rとなるため、電流を2倍にすれば発熱は4倍になります。

測定電流と発熱の仮定例
P = I2R
1mA、110Ω:P = 0.0012 × 110 W = 0.11mW
2mA、110Ω:P = 0.0022 × 110 W = 0.44mW
P:発熱電力[W] I:測定電流[A] R:素子抵抗[Ω]。温度上昇量は放熱条件やセンサ構造で変わり、この計算から一律に何℃とは求めません。例の電流は適用を推奨する設定値ではありません。

流れのある液体中と静かな空気中では、素子から周囲へ熱を逃がす条件が違います。測定電流は素子と計器の指定に合わせ、電流を増やして信号を大きくするだけの調整は避けます。

図5:自己加熱は発熱と放熱の釣り合いで決まる

同じ電流でも、周囲への熱の逃げ方が変わると素子温度への影響は変わります。

測定I素子R発熱I²R周囲へ放熱周囲流体

放熱量は形状、接触、流れなどに依存。3線補償や4線検出で、この発熱そのものは取り除けません。

挿入が浅い、保護管との接触が悪い、周囲へ熱が逃げる、といった状態も指示のずれにつながります。サーモウェルと挿入条件を含め、測温部が測りたい対象の温度へ近づく構造を評価します。

温度の変化に対する遅れは、静的な温度誤差とは別の性質です。素子を細くする、保護構造を変えるなどの対策には強度や耐振性との兼ね合いがあり、線数だけで応答時間は決まりません。

交換・点検で確認する順序

まず、図面と仕様書で素子の種類、線数、端子記号、計器の設定を照合します。端子色や記号は機器の説明に従い、同じ色だから必ず同じ位置という推測で配線を決めません。

3線式では同じ素子端につながる2本の間は導線抵抗程度、反対の素子端へは素子抵抗が含まれます。抵抗測定で経路を調べる場合は、計器の励起と干渉しないよう、設備手順に従って切り離した安全な状態で行います。

各経路の測定値が大きく違う場合は、素子故障だけでなく端子や接続も調べます。腐食や緩み、途中継ぎ、芯線の取り違えは、導線不平衡や断続的な指示変化の原因になります。

センサを外さずに表示値だけを調整すると、配線不良や取り付け誤差を補正値へ隠してしまうことがあります。計測器の校正と記録を通じて、入力計器の確認とセンサを含む確認を分けます。

指示にノイズがある場合は、接触と絶縁、配線経路、周辺機器の動作を記録します。ノイズ対策を追加する前に、計器メーカーの入力・接地・フィルター条件との整合を見ます。

1本の抵抗素子へ複数の励起型入力を安易に並列接続すると、各計器の測定電流が干渉します。2台へ温度を伝える場合は、二重素子や適合する変換器など、目的に合う構成を検討します。

変換器が温度を4-20mA信号へ変える場合、その先の2線伝送と素子の2線接続は別の区間です。温度スパン、断線時出力、受け側のレンジ設定も合わせて記録します。

温度信号をPID温度制御に使う設備では、点検中の異常値がヒーターや弁を動かす可能性があります。測定回路だけでなく制御側の安全な停止・保全手順も含めて作業します。

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測温抵抗体の配線でよくある質問

3線式ならケーブルは何mでもよいですか?

長さだけでなく、導線抵抗、各線の不平衡、ノイズと計器の許容範囲を評価します。補償があるから無制限に延長できるわけではありません。接続導線の仕様と入力計器の条件をそろえます。

2線式センサを3線入力につなぐと補償できますか?

計器側で端子を短絡する接続を認める機種でも、センサまでの2本の導線抵抗は残ります。接続方法は取扱説明書に従い、3本を素子端まで配線した補償と同じ性能が得られると考えないことが大切です。

4線式なら校正はいりませんか?

4線式は導線抵抗の影響を抑える方法であり、素子や計器の変化を無くすものではありません。必要な測定精度と管理の目的に合わせ、センサと計器の校正・点検を計画します。

3本のうち同じ色の2本は短絡してよいですか?

色だけで決めず、端子と内部結線を機器資料で確認します。計器の近くで2本をまとめると、素子まで分かれている補償経路を失う場合があります。指定された入力結線を守ってください。

4-20mAの2線式変換器と同じ意味ですか?

測温抵抗体の2線式は抵抗素子の接続方式です。4-20mAの2線式変換器は、電源と信号を同じ2本で扱う伝送方式を指します。素子側が3線でも、変換器の出力側が2線になる構成があります。

まとめ

この記事のまとめ
  • 2線式は素子と往復の導線抵抗をまとめて測る
  • 3線式は計器の補償回路と導線条件の一致で誤差を抑える
  • 4線式は電流供給と電圧検出を素子端まで分離する
  • 導線の対策と、素子・自己加熱・設置による誤差は分けて評価する
  • 線数だけで選ばず、素子、入力計器、配線環境、必要精度をそろえる

工業計測では3線式がよく使われますが、用途ごとに必要な精度と構成を確かめることが基本です。温度センサ全体の選択は、温度計の種類と原理とも合わせて検討できます。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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