品質保証・品質管理は、製品がお客様の求める品質を満たしているかを確かめ、その状態を保ち続ける仕事です。工場の中で不良をつくらない・流さない品質管理(QC)と、設計から出荷後までお客様への品質の約束を守る品質保証(QA)に分かれます。
製品を一つずつ検査するのは、仕事の一部です。工程のデータを分析して不良を未然に防いだり、開発段階から品質を作り込んだり、お客様からの問い合わせや不具合に対応したりと、製品が企画されてから市場で使われ終わるまで関わります。
品質保証・品質管理とは

品質保証・品質管理とは、製品がお客様の求める品質を満たしていることを確かめ、その状態を保ち続けるための仕事です。
製造業では、英語の頭文字をとって品質保証をQA(Quality Assurance)、品質管理をQC(Quality Control)と呼ぶこともあります。
2つはよく一緒に語られますが、見ている範囲が少し異なります。品質管理は主に工場の中で、工程を管理して不良をつくらない・流さないことに重心があります。
品質保証は、設計から出荷後までを通して、お客様に「この品質なら安心して使える」と約束し、その約束を守る仕組みを整える役割です。
会社によっては、品質保証部の中に品質管理課が置かれていたり、両方を一つの「品質部」がまとめていたりと、組織の分け方はさまざまです。
自動車、電機、食品・医薬品、機械部品など、製品をつくる会社であれば業種を問わず置かれている職種といえます。
特に電子部品・半導体業界のように微細な欠陥が性能を左右する分野では、検査と分析の比重が大きくなります。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、生産管理と品質管理の技術者を「生産・品質管理技術者」としてまとめて紹介しています。
就業者数は約30万5,000人(令和2年国勢調査)、平均年収は703.9万円(令和7年賃金構造基本統計調査)とされています。
同じサイトでは、製造途中や出荷前の製品を検査する「検査工(工業製品)」も別の職業として紹介されており、就業者数は約8万6,000人(令和2年国勢調査)です。
品質保証・品質管理の部署では、こうした検査の担当者と、基準づくりや分析を担う技術者が一緒に働いています。
なお、品質の仕事は大手企業だけのものではありません。中小企業では少人数の品質管理担当が検査から顧客対応まで幅広く受け持つことが多く、早い時期から仕事の全体を経験できる環境だともいえます。
どちらも品質を守る仕事ですが、見ている範囲と時間軸が異なります。
※会社によって部署名や分担は異なり、1人が両方を担当することも珍しくありません。
品質保証と品質管理の違いを、仕事の範囲と働き方の目線で観点ごとに表で整理すると次のとおりです。
| 観点 | 品質保証(QA) | 品質管理(QC) |
|---|---|---|
| 主な目的 | お客様に品質を約束し信頼を得る | 工程を安定させ不良をつくらない |
| 見る範囲 | 設計から出荷後まで全体 | 主に工場の製造工程 |
| 主な相手 | お客様、設計、仕入先、経営層 | 製造現場、生産技術、検査員 |
| 代表的な業務 | 品質保証体制の整備、クレーム対応、監査 | 検査基準づくり、工程データの分析、改善 |
| 1日の仕事の例 | 品質会議、仕入先の監査、報告の取りまとめ | 不良データの確認、工程の巡回、原因調査 |
品質保証・品質管理の主な仕事内容

品質保証・品質管理の仕事は、会社の規模や製品によって範囲が変わりますが、多くの職場に共通するのは次の4つです。
検査だけでなく、仕組みづくりや不具合対応まで含まれます。
検査・測定
次のような検査を通して、製品が規格や図面どおりにできているかを確かめます。
- 受入検査:仕入先から届いた部品や材料を確認する
- 工程内検査:製造途中で行う
- 最終検査:出荷前に行う
ノギスやマイクロメータ、三次元測定機、各種の試験機を使い分けます。
日々の検査作業は検査員が担い、品質管理の担当者は検査の基準や方法そのものを決める側に回ることが多くなります。何を、どの頻度で、どの測定器で測るかを検査規格としてまとめるのが役割です。
工程の品質管理
不良品を見つけて取り除くだけでは、つくり直しのムダが残ります。そこで、寸法や温度、不良率などのデータを集め、管理図やパレート図といった手法で工程の状態を見える化します。
ばらつきが大きくなりかけた段階で異常に気づき、製造や生産技術の担当者と一緒に手を打つことで、不良をつくらない工程に近づけていきます。
品質マネジメントシステムの運用
多くの製造業では、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO 9001の認証を取得しています。品質保証部門は、その仕組みが実際に回っているかを確かめる事務局役を担うのが一般的です。
主な業務は次のとおりです。自動車向けではIATF 16949のように、業界独自の規格が求められることもあります。
- 社内の規程や手順書の整備
- 記録の管理
- 内部監査の計画と実施
- 外部の審査機関による審査への対応
不具合・クレーム対応
工程内で不良が見つかったときや、お客様から不具合の連絡を受けたときに、原因を調べて対策を打つのも重要な仕事です。現物を調査し、製造記録をさかのぼり、なぜ起きたのか、なぜ流出したのかを突き止めます。
調査結果と対策は報告書にまとめてお客様に説明します。同じ不具合を二度と起こさないために、似た製品や他の工程にも対策を広げる「水平展開」まで行うのが基本です。
新製品の品質保証
新しい製品を量産する前には、設計図面や試作品を評価し、量産しても品質が保てるかを確かめます。設計審査(デザインレビュー)に参加して、過去の不具合の経験から懸念点を指摘するのも品質保証の役割です。
量産の準備が整ったら、工程の能力や初回生産品の測定結果を確認し、量産に移ってよいかを判断します。量産前にどれだけ問題をつぶせるかが、その後の不良やクレームの量を大きく左右します。
1日の仕事の例
工場勤務の品質管理担当者であれば、朝は前日の不良データと検査記録を確認し、製造部門との朝会で気になる点を共有します。
午前中は工程を回って作業や測定の状態を確かめ、午後は不良の原因調査や対策会議、報告書の作成にあてる、という流れがよく見られます。
お客様からの問い合わせや緊急の不具合が入ると、予定を組み替えて対応を優先します。計画どおりに進まない日があることも、この仕事の特徴です。
一方、本社の品質保証部門では、次のような仕事が中心になります。
- 工場からの報告の取りまとめ
- お客様との品質会議
- 仕入先の監査や出張
同じ職種名でも、工場か本社かで1日の過ごし方は大きく変わると考えておくとよいでしょう。
品質保証・品質管理の役割

品質保証・品質管理の役割は、ひと言でいえばお客様の立場に立って、社内の品質をチェックすることです。設計・製造・購買の各部門はそれぞれの目標を持って動いているため、品質の判断を第三者の目で下す部門が必要になります。
そのため、品質保証部門は製造部門から独立した組織として置かれることが多く、基準を満たさない製品の出荷を止める権限を持つ場合もあります。社内のどこか一部門に偏らず、全体を横断して関わるのが特徴です。
お客様と社内の各部門、仕入先の間に立って品質をつなぎます。
※取引の窓口は営業、仕入先への指導は購買と品質保証が共同で行うなど、分担は会社によって異なります。
お客様に対しては品質の窓口となり、品質要求の確認や不具合の報告・説明を行います。社内に対しては、設計審査への参加や工程の監査を通して、問題の芽を早い段階で見つけるのが役割です。
仕入先に対しても、監査や品質指導を行います。部品の多くを外部から調達している会社では、仕入先の品質が自社製品の品質を左右するため、このつながりは年々重くなっています。
さらに、社内で集めた不良やクレームの情報を分析し、品質の状況を経営層に報告するのも大切な役割です。どの製品で、どんな不具合が、どれだけ起きているかを数字で示すことで、会社全体の改善の優先順位を決める材料になります。
相手によって、求められる振る舞いが変わります。
品質の問題は、ひとつの部署の努力だけでは解決しないことがほとんどです。部門をまたいで情報を集め、関係者を集めて対策を進める調整役としての働きも、品質保証・品質管理に期待されています。
他職種との違い

品質保証・品質管理は工場のさまざまな職種と一緒に働くため、仕事の境目がわかりにくいことがあります。特に混同されやすいのは次の3つの職種です。
いずれの職種も同じ製品と工程に関わりますが、何を優先して判断するかが異なります。違いを知っておくと、求人票を読むときや、社内で異動を考えるときの判断材料になります。
同じ製品を見ていても、判断の軸がそれぞれ異なります。
※中小企業では、品質管理担当が検査や生産管理の一部を兼ねることもあります。
生産管理との違い
生産管理は、生産計画を立て、材料や人の手配をして、決められた量を納期までにつくる仕事です。見ているのは主に「量」と「納期」だといえます。
一方の品質保証・品質管理は「質」を見ます。納期が迫っていても、品質に疑いがあれば出荷を止める判断が必要になるため、両者は意見がぶつかることもある関係です。
ただし、対立ばかりではありません。不良が減ればつくり直しが減り、結果として納期も守りやすくなります。品質と納期は長い目で見れば同じ方向を向いているため、日ごろから情報を共有しておくことが大切です。
生産技術との違い
生産技術は、製品を効率よくつくるための工程や設備を設計し、立ち上げる仕事です。品質を安定させる工程をつくるという点では目標を共有しています。
違いは立場です。生産技術が工程をつくる側なら、品質保証・品質管理はその工程が本当に狙った品質を出せているかを確かめる側にあたります。
製造現場の検査員との違い
製造現場の検査員は、決められた検査基準に沿って製品を測定し、合否を判定します。仕事の中心は、正確で安定した判定を繰り返すことです。
品質管理の担当者は、その検査基準や手順を決め、検査の結果をデータとして分析する役割を担います。検査員から品質管理担当へとキャリアを広げていく人もいます。
検査員が「決められた物差しで正しく測る人」だとすれば、品質管理の担当者は「物差しそのものを決め、見直す人」といえます。測定器の校正や、検査員の教育・認定を品質管理が受け持つ職場も多くあります。
品質保証・品質管理のやりがいと大変なこと

品質保証・品質管理は、表に出にくい一方で、会社の信頼を支える仕事です。やりがいと大変なことの両面を見ておきましょう。
やりがい:製品と会社の信頼を守れる
不具合の原因を突き止めて対策が効いたとき、不良率が目に見えて下がったときには、仕事の成果をはっきり実感できます。お客様から品質を評価されることは、会社全体の評価にもつながります。
また、設計から出荷後まで関わるため、ものづくりの全体像を理解できることも大きな魅力です。製品や工程について幅広い知識が身につきます。
品質の考え方や統計的な手法、ISO 9001などの規格の知識は、業界や製品が変わっても通用します。一度身につけた専門性を別の会社や業界でも生かしやすいことも、この職種ならではの強みです。
大変なこと:社内外の板挟みになりやすい
品質を優先する判断は、納期やコストを重視する部門と対立することがあります。お客様からの厳しい要求と、社内の事情との間で調整役を担う場面も少なくありません。
相手の立場を理解しつつ、データと根拠をもとに説明する力が求められます。感覚ではなく、測定結果や過去の不具合の記録を示しながら話すことで、立場の違う相手にも納得してもらいやすくなります。
大変なこと:不具合が起きると対応に追われる
重大な不具合が見つかると、原因調査や出荷済み製品の確認、お客様への報告などに一気に追われます。不具合対応は時間との勝負になるため、急な残業や休日対応が発生することもあります。
ただ、こうした経験を積むほど原因の見立ても早くなり、社内外から頼られる存在になっていきます。一度大きな不具合対応を乗り越えると、製品や工程への理解が一段深まったと感じる人も多いようです。
大変さを軽くするためにも、日ごろから記録を整え、どの製品がいつ、どの材料と設備でつくられたかをたどれる状態にしておくことが大切です。普段の地道な準備が、いざというときの対応の速さにつながります。
品質保証・品質管理の求人や、ほかの会社での働き方も知りたい方へ、転職・キャリアガイドを用意しています。
品質保証・品質管理のよくある質問
品質保証・品質管理は英語で何と言いますか?
品質保証はQuality Assuranceで略してQA、品質管理はQuality Controlで略してQCと呼ばれます。製造業の現場や求人でもQA・QCの表記はよく使われ、会社によっては両方をまとめた品質部が担当しています。
品質保証・品質管理の平均年収はどれくらいですか?
厚生労働省のjob tagでは生産管理と品質管理の技術者を「生産・品質管理技術者」としてまとめており、平均年収は703.9万円です。検査を担う検査工は別の職業として扱われているため、担当する仕事の範囲によって水準は変わります。
検査員から品質管理の担当者になれますか?
検査員として測定や判定の経験を積み、検査基準づくりやデータ分析を担う品質管理の担当へキャリアを広げていく人もいます。中小企業では少人数で検査から顧客対応まで受け持つことが多く、早い時期から仕事の全体を経験しやすい環境です。
ISO 9001の認証は品質の仕事とどう関わりますか?
ISO 9001は品質マネジメントシステムの国際規格で、多くの製造業が認証を取得しています。品質保証部門は規程や記録の整備、内部監査、外部審査への対応を通じて、その仕組みが実際に回っているかを確かめる事務局役を担うのが一般的です。
まとめ
- 品質保証・品質管理は、製品の品質を確かめ、保ち続けるための仕事
- 品質管理は工程で不良をつくらないこと、品質保証は全体で品質を約束することが中心
- 検査、工程の管理、ISO 9001などの運用、不具合対応が主な仕事
- お客様・社内各部門・仕入先の間に立ち、第三者の目で品質を判断する
- 板挟みの大変さはあるが、ものづくりの全体像を学べる職種
仕事の具体的な進め方は品質保証・品質管理の仕事の流れで、求められるスキルや資格、年収は品質保証・品質管理に必要なスキル・資格とキャリアパスで解説しています。
品質への要求が特に厳しい自動車業界や食品・医薬品業界の記事もあわせて参考にしてください。
品質保証・品質管理については、品質保証・品質管理の職種ページから関連記事もあわせてご覧ください。
採用担当の方が品質の求人を出すときは、任せる業務と判断の範囲を製造業の求人票の書き方の7項目に沿って書くと、仕事の中身が応募者に伝わります。
出典
出典・参考資料(2件)を開く出典・参考資料を閉じる
- 就業者数・平均年収・有効求人倍率(生産・品質管理技術者):厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「生産・品質管理技術者」(就業者数は令和2年国勢調査、年収は令和7年賃金構造基本統計調査、有効求人倍率は令和7年度)
- 就業者数・平均年収・有効求人倍率(検査工):厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「検査工(工業製品)」
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