製造業の中途採用で、求人を出しても応募が来ないのはなぜか。賃金や休日の条件だけでなく、求人票の書き方が原因になっていることもあります。
仕事内容や勤務形態が読み取れない求人票は、求職者が応募を判断できず、条件を比べてもらう前に候補から外れてしまいます。仕事の中身は、転職者が勤め先を選ぶときにも重視されています。
厚生労働省の調査では、今の勤め先を選んだ理由で最も多かったのが「仕事の内容・職種に満足がいくから」(40.2%)でした。
この記事では、応募が来ない求人票の症状と原因、公的調査から見た転職者の判断材料、見直したい7項目を整理します。続いて、法律で決まっている明示事項と表現の注意点、書き換えの想定例、掲載後の運用を順に見ていきます。
応募が来ない求人票に見られる症状と原因

はじめに、採用市場の状況を確認します。
厚生労働省の一般職業紹介状況(令和8年7月分)によると、生産工程従事者の有効求人倍率は1.59倍です。職業計の1.05倍を上回っています(常用・パート含む、原数値)。
設備保全にあたる機械整備・修理従事者は3.88倍です。
求職者1人に対して複数の求人がある状態では、求職者は求人票を見比べて応募先を絞ります。職種ごとの倍率の違いは、製造業の転職・採用市場の動向でも整理しています。
採用する側の競争も続きそうです。厚生労働省の令和7年転職者実態調査(事業所調査)では、製造業の事業所の68.3%が「今後3年間に転職者を採用する予定がある」と答えました。このうち45.0%は、新卒より転職者を優先して採用したいとしています。
個人調査(全産業)で転職活動の方法をみると、「求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシ等」が45.1%でした。「ハローワーク等の公的機関」は29.6%です(複数回答)。
求人サイトやハローワークで探す人にとっては、求人票や求人原稿が会社との最初の接点になります。
応募が来ないといっても、症状は一つではありません。求人は見られているのに応募がない、応募はあるが求める人と合わない、面接や内定の段階で辞退される、入社してもすぐに辞めてしまう。どの段階でつまずいているかによって、見直す箇所が変わります。
つまずいている段階によって、見直す項目が変わります。
※症状と原因の対応は、整理のための目安です。賃金水準など、条件そのものの見直しが必要な場合もあります。
後ろの2つは、面接や教育にかけた時間が戻ってこないぶん、会社の負担が大きくなります。入社後の定着については、製造業の離職率と若手が辞める理由の記事で扱っています。

転職者は求人票のどこを見て応募先を決めるのか
何を書けば判断材料になるのかは、公的な調査から読み取れます。
令和7年転職者実態調査(2026年9月25日公表)は、5人以上の常用労働者を雇用する事業所と、そこで働く転職者約13,000人が対象です。2025年10月1日時点の状況を調べています。
以下は個人調査の結果で、全産業の転職者の値です。
転職者が現在の勤め先を選んだ理由(3つまでの複数回答)は、「仕事の内容・職種に満足がいくから」が40.2%で最も多くなっています。次いで「自分の技能・能力が活かせるから」が38.4%でした。
「労働条件(賃金以外)がよいから」が23.1%、「賃金が高いから」が18.8%と続きます。
賃金よりも、仕事の内容と、自分の技能が活かせるかどうかが上位に来ています。
※厚生労働省「令和7年転職者実態調査」個人調査。3つまでの複数回答。「その他」(13.6%)を除いて上位7項目を掲載。全産業・全職種の転職者(フルタイムの一般労働者)の回答で、製造業に限った値ではありません。
中途採用の応募者は、自分の経験がその職場で使えるかどうかを見ています。「製造スタッフ」「機械オペレーター」という職種名だけでは、それを判断できません。
離職の理由も手がかりになります。自己都合で離職した転職者の理由(3つまでの複数回答)は、「賃金が低かったから」が25.5%で最多でした。
「会社の将来に不安を感じたから」25.2%、「満足のいく仕事内容でなかったから」24.7%、「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」23.4%が続きます。
前の職場で不満だった点は、次の職場で最初に確かめたい点でもあります。
賃金については、厚生労働省の令和7年雇用動向調査に数字があります。転職入職者のうち、前職より賃金が増加した人は40.8%、減少した人は31.0%でした。
転職で賃金が下がる人も約3割いるため、月々の支給額がどうなるのかは、応募前に知りたい情報だと考えられます。
厚生労働省の「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」は、転職経験者や企業へのヒアリングをもとに、求職者が求める情報を整理しています。
事業・業務内容、賃金と昇給の見通し、残業時間、有給休暇の取得率、転勤の有無、社員の定着率などです。転職者については、研修制度や入社後のフォロー体制も挙げられています。
この手引は、求職者が選考への影響を気にして、働き方に関する質問を控えることがあるとも指摘しています。賃金、労働時間、キャリア形成に関する情報は、聞かれてから答えるのではなく、先に提供することを検討すべきというのが手引の考え方です。
これを工場勤務の求人に置き換えると、求人票で先に伝えたい情報が見えてきます。仕事内容の具体性、交替勤務などの勤務形態、残業と休日、賃金の内訳、教育と資格の支援、職場環境です。次の章で、選考の流れを加えた7項目として見ていきます。
中途採用の求人票で見直したい7項目

ここからは、求人票の項目ごとに書き方を整理します。どの項目も、条件を良く見せるのではなく、応募者が自分に合うかどうかを判断できる材料を出すことが目的です。
どれも、応募者が自分に合うかどうかを判断するための情報です。
※番号は、この後の見出しの順番に対応しています。
1. 仕事内容は製品・工程・設備・担当範囲で書く
「製造業務全般」「機械オペレーター」だけでは、経験者は自分の技能が使えるかを判断できません。何をつくる工場で、どの工程を、どの設備を使って、どこまで担当するのかを書きます。
たとえば、次のような書き方です(想定例)。
「産業機械向けの鋼材部品を切削加工します。マシニングセンタ2〜3台を担当し、材料の取り付けと取り外し、工具交換、ノギスやマイクロメータでの寸法検査を行います。加工プログラムの作成は別の担当者が行います」。
担当しない範囲まで書くと、経験者にも未経験者にも仕事の大きさが伝わります。
ハローワークの「求人申込書の書き方」も、仕事の内容を求職者が特に重視する項目と位置づけ、応募者の目線で詳しく書くよう求めています。職種名については、専門用語や企業独自の呼称を避けるよう案内しています。
2024年4月からは、業務の「変更の範囲」も明示事項になりました。多能工化を進めている工場であれば、「(雇入れ直後)機械加工 (変更の範囲)製造部内の各工程、品質管理」のように、将来の配置転換の見込みを含めて書きます。
2. 勤務形態と就業時間は各直の時刻まで書く
「交替勤務あり」だけでは、応募者は生活を組み立てられません。各直の始業・終業時刻、休憩時間、直が切り替わる周期、夜勤に入る回数の目安まで書きます。
入社後しばらくは日勤だけで、作業に慣れてから交替勤務に入る場合は、その時期の目安も添えます。交替勤務の経験がない応募者も、最初の数か月の働き方が分かれば応募を判断しやすくなります。
勤務の仕組みそのものは、2交替と3交替の違いと体調管理の記事が参考になります。
変形労働時間制を採用している場合は、その種類(1か月単位、1年単位など)も書きます。ハローワークの求人申込書にも、種類を選ぶ欄があります。
3. 残業と休日は実績の数字で示す
所定労働時間を超える労働の有無は、法令で決まっている明示事項の一つです。ハローワークの求人申込書では、時間外労働がある場合に月平均の時間数を記入します。
平均だけでなく、時期による差も書くと実態が伝わります。前述の手引も、繁忙期とそれ以外の内訳や、残業を減らす取り組みを補足して示す例を挙げています。「月平均15時間、繁忙期の2〜3月は25時間程度」といった書き方です(想定例)。
休日は、年間休日数、土曜出勤の有無、長期休暇の時期、有給休暇の取得実績を書きます。数字を載せるときは、どの部署の、いつの実績かを添えると誤解がありません。
残業そのものが多い場合は、工場の残業が減らない原因と対策から先に手を付けることになります。
4. 賃金は内訳と決め方を書く
「月給20万〜35万円」のような幅だけでは、応募者は自分がどのあたりになるのか分かりません。基本給、毎月決まって支払う手当、交替手当や深夜の割増、固定残業代を分けて書きます。
固定残業代(一定時間分の時間外労働に対して定額で支払う割増賃金)を採用している場合は、厚生労働省の資料で3点すべての明示が求められています。
固定残業代を除いた基本給の額、固定残業代の時間数と金額、その時間を超えた分は追加で支払うことの3点です。
幅のなかでどう決まるのかも書きます。転職者実態調査の事業所調査は、転職者がいる製造業の事業所に、転職者の賃金を決める際に考慮した要素を尋ねています(複数回答)。
「これまでの経験・能力・知識」が60.2%、「年齢」が52.4%、「前職の賃金」が36.8%でした。経験年数や資格で金額がどう変わるのか、入社例を1つ添えるだけでも見通しが立ちます。
賞与と昇給は、制度の有無だけでなく前年度の実績を書きます。ハローワークの求人申込書でも、賞与は支給回数と月数または金額、昇給は金額または率を記入する形になっています。実績がなかった年は、そのとおりに書きます。
5. 必要な経験・資格は必須と歓迎を分け、教育を書く
必須の条件が多いほど、応募できる人は少なくなります。入社した日から本当に必要な経験や免許だけを必須とし、あれば望ましいものは歓迎条件として分けます。
年齢制限の禁止を定めた労働施策総合推進法の施行規則も、職務の内容と、必要とされる適性・能力・経験・技能の程度をできる限り明示するよう求めています。年齢で絞る代わりに、必要な技能の程度を書くという考え方です。
教育の体制も書きます。転職者実態調査の事業所調査では、転職者がいる製造業の事業所の79.9%が、転職者に教育訓練を実施していました。
そのうち81.9%は、計画的なOJT(日常の業務に就きながら行う計画的な教育訓練)を行っています。教育を実施しているのであれば、その中身を求人票にも書きます。
教える担当者が付く期間、独り立ちまでの目安、資格の受験料や講習費の負担を具体的に書きます。どの資格を支援の対象にするかは、製造業で役立つ資格の一覧が整理の助けになります。
6. 就業場所と職場環境は通勤と作業条件まで書く
就業場所は、所在地に加えて「変更の範囲」、つまり転勤や他工場への異動の見込みを書きます。転職者が勤め先を選んだ理由でも、「転勤が少ない、通勤が便利だから」は17.1%ありました。マイカー通勤の可否、駐車場、最寄り駅からの手段も書きます。
工場の求人で抜けやすいのが作業条件です。立ち作業か座り作業か、扱う物の重さと頻度、空調の有無、騒音や油・粉じんの程度、使用する保護具。
職業安定法に基づく指針も、労働条件は職場環境を含めて、可能な限り具体的かつ詳細に明示するよう配慮を求めています。
就業場所における受動喫煙を防止するための措置も、明示事項です。「屋内禁煙」「喫煙専用室あり」のように、実際の状況を書きます。
7. 選考と入社後の流れを見せる
応募から結果の連絡までの日数、面接の回数、応募前の工場見学ができるかどうかを書きます。前述の手引も、開示した情報だけでは判断できない点について、職場見学や配属予定の部署の社員と話す場を設ける方法を挙げています。
試用期間がある場合は、その長さを書きます。試用期間中の賃金や業務が本採用後と異なるときは、それぞれの条件を示す必要があります。
同じ条件でも、時刻と数字と内訳を書くと判断材料になります。
※時刻・金額・時間数は、書き方を説明するための想定例です。求人票には、自社の実際の条件をそのまま書きます。
法律で決まっている明示事項を確認する
ここまでの7項目には、書いたほうがよいことと、法律で書かなければならないことが混ざっています。後者を整理します。
職業安定法第5条の3は、労働者を募集する者に対して、業務の内容、賃金、労働時間その他の労働条件を明示するよう義務づけています。ハローワークや職業紹介事業者への求人申込みだけでなく、自社のホームページでの募集や求人広告も対象です。
明示する事項は、職業安定法施行規則第4条の2に定められています。2024年4月1日施行の改正で、業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準の3点が加わりました。
橙色のタグは、2024年4月の改正で加わった事項です。
※職業安定法施行規則第4条の2第3項と、厚生労働省のリーフレット(求人企業向け、2024年4月1日施行)をもとに作成。
「変更の範囲」とは、雇入れ直後だけでなく、将来の配置転換など今後の見込みも含めた、労働契約の期間中における変更の範囲を指します。有期契約の更新の基準は、「勤務成績、態度により判断する」のように具体的に書くことが望ましいとされています。
インターネットやSNSで募集する場合の注意もあります。
厚生労働省は、犯罪の実行者の募集と誤解されないよう、募集広告に募集主の氏名または名称、住所、連絡先、業務内容、就業場所、賃金の6つを表示するよう求めています。
職業安定法第5条の4(的確表示)に関する案内です。工場の求人をSNSで短く告知するときも、この6つは投稿そのものに書きます。
募集要項へのリンクを貼るだけでは足りないとされています。
明示するタイミングと、条件が変わったとき
労働条件は、求人票や募集要項を出す時点で明示します。求人広告のスペースが足りないなどやむを得ない場合は、「詳細は面談時にお伝えします」と付けて一部を後から示すこともできます。
その場合も、原則として面接など最初に接触する時点までに、すべての条件を示す必要があります。
選考の途中で条件が変わる場合は、変更の内容を速やかに示します。当初と違う条件を提示するときだけでなく、幅で示していた賃金を特定の金額に決めるときも、変更の明示の対象です。
当初の内容と変更後の内容を見比べられる書面で示す方法が望ましいとされています。
募集から労働契約まで、4つの時点で明示が求められます。
※厚生労働省のリーフレット(2018年1月施行、2024年4月施行の改正に関するもの)をもとに作成。
明示した内容の記録は、募集が終わる日(その後に労働契約を結ぶ場合は契約を結ぶ日)まで保存することも、施行規則で定められています。出した求人票は、更新のたびに版を残しておくと確実です。
求人票で注意したい表現のルール
書く内容だけでなく、書き方にも法令上のルールがあります。ここでは、的確な表示、年齢、性別、公正な採用選考の4つを確認します。
虚偽の表示・誤解を生じさせる表示をしない
2022年10月1日施行の改正で、職業安定法第5条の4に的確表示の義務が設けられました。求人に関する情報について、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならず、募集を行う者は情報を正確かつ最新の内容に保たなければなりません。
厚生労働省のQ&Aは、誤解を生じさせる表示の例を挙げています。社内で給与の高い人の基本給を、全員の基本給であるかのように示すこと。
固定残業代の時間数を示さず、基本給に含めて表示すること。実際の業務と大きく異なる職種名を使うことなどです。
賃金を幅で示すことや、モデル収入例を併記すること自体は認められています。ただし、モデル収入例を必ず支払われる基本給のように見せる表示は、誤解を生じさせる表示にあたるとされています。
応募を増やしたいからといって、実際より良く見える書き方をするのは避けます。
正確かつ最新に保つための対応も示されています。募集を終えたり内容を変えたりしたら、速やかに求人情報を終了・変更すること。求人メディアにも反映を依頼すること。いつの時点の情報かを明らかにすることです。
年齢で区切らず、必要な能力を書く
労働施策総合推進法第9条により、募集・採用では年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければなりません。年齢制限が認められるのは、施行規則第1条の3第1項に定める例外事由にあたる場合に限られます。
例外事由には、定年年齢を上限として期間の定めのない契約で募集する場合があります。長期勤続によるキャリア形成のために、若年者等を期間の定めのない契約で募集する場合なども含まれます。後者は、職業経験を問わないことなどが条件です。
表現についても、厚生労働省のQ&Aが考え方を示しています。
「年齢不問」としたうえで「35歳未満の方歓迎」と併記することは、例外事由にあたる場合を除き、特定の年齢層を優遇するもので適当ではないとされています。
「若手歓迎」という語そのものはQ&Aに載っていません。ただ、特定の年齢層を優先していると受け取られる表現は、同じ観点から注意が必要です。
一方、「スタッフ全員が20代」のように会社の事実を示すことは、直接には年齢制限にあたらないとされています。ただし、その年齢層を優先して募集していると誤解されないよう努める必要があります。
体力が必要な作業だからという理由は、例外事由に含まれていません。厚生労働省のリーフレットも、重労働だから40歳以下で募集するという考え方を誤りの例に挙げています。
代わりに示されているのは、扱う物の重さなど業務の内容と、必要な能力を書く方法です。
性別に触れず、仕事と作業条件を書く
男女雇用機会均等法第5条により、募集・採用では性別にかかわりなく均等な機会を与えなければなりません。
厚生労働省の「男女均等な採用選考ルール」では、「男性歓迎」「女性向きの職種」といった表示や、男女のいずれかを表す職種名が違法な事例です。
同じ資料は、男女のいずれかを採用する方針で、写真やイラストで一方の性に偏った職場を強調する表現も挙げています。「男性活躍中」という語そのものは資料に載っていません。
ただ、職場の紹介のつもりでも、一方の性を優先していると受け取られるおそれがあります。
合理的な理由がないのに、一定の身長・体重・体力を要件にすることも、間接差別として禁止されています(同法第7条)。重い物を扱う工程であれば、重さと頻度、補助する設備の有無を書きます。
適性・能力に関係のない事項を求めない
厚生労働省は、公正な採用選考の基本として、応募者の適性・能力に関係のない事項を応募書類に書かせたり、面接で尋ねたりしないよう求めています。本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境、宗教、支持政党、思想、尊敬する人物、購読新聞などです。
求人票そのものよりも、自社の応募フォームやエントリーシートの項目で問題になりやすい点です。独自の様式を使う場合は、項目を一度見直します。
2026年10月1日には改正男女雇用機会均等法が施行され、求職者などへのセクシュアルハラスメントを防ぐ措置も事業主の義務になりました(同法第13条)。
内容は就活セクハラ防止の義務化の記事にまとめています。
年齢や性別ではなく、仕事の内容と必要な能力を書くのが基本です。
※個別の表現が認められるかどうかは、募集の内容や例外事由の有無によって変わります。迷う場合は、ハローワークや都道府県労働局に確認してください。
ここに挙げたのは、厚生労働省の資料に載っている考え方の一部です。自社の求人票の表現で判断がつかないときは、求人を出す前にハローワークの窓口や、都道府県労働局に相談するのが確実です。
性別に関する内容は、労働局の雇用環境・均等部(室)が窓口になります。
求人票の書き換え例(想定例)

7項目をまとめて直すと、求人票はどう変わるのか。金属部品をつくる架空の工場が、機械加工の正社員を募集する場面を想定して、書き換えの前後を並べます。労働条件は変えず、書き方だけを変えています。
架空の工場を想定した例です。条件はそのままで、判断材料を増やしています。
※架空の工場を想定した例で、実在の企業の求人ではありません。時刻・金額・日数は説明のための数字です。
変えた点は3つです。1つめは、社内の呼び方だった職種名を、求職者が検索で使う一般的な名称にしたこと。
2つめは、「あり」「優遇」で済ませていた箇所を、時刻と数字に置き換えたこと。3つめは、「未経験者歓迎」の根拠として、教える体制を書いたことです。
このほか、賃金の幅は実際に支給している範囲に絞りました。職業安定法に基づく指針も、労働条件の水準や範囲をできるだけ限定するよう配慮を求めています。
書き換えの前提は、書いた内容が実態と一致していることです。月平均の残業が40時間なら、40時間と書きます。前述の手引は、実績が低い情報についても誠実に提供することが望ましいとし、取り組みの状況や改善の経過を併せて示す方法を挙げています。
実態を書くと応募が減るのではないか、という心配もあるかもしれません。ただ、入社後に分かって辞めてしまうよりも、納得したうえで応募してもらうほうが、採用にかかる手間は結果として小さくなると考えられます。
文章が長くなることも気になる点です。ハローワークインターネットサービスの検索結果の一覧には、仕事の内容の冒頭(30字×3行まで)が表示されます。製品、工程、設備といった要点を最初の3行に置くと、一覧の段階で内容が伝わります。
掲載後の運用|更新と面接での伝え方

求人票は、出して終わりではありません。掲載中の運用にも、応募と定着に関わる点があります。
ハローワークでは、求人を職種別、就業場所別、雇用形態別に申し込むことになっています。複数の工程をまとめて「製造スタッフ」で1件出すよりも、工程や職種ごとに分けたほうが、仕事内容を具体的に書けます。
ハローワークインターネットサービスでは、該当する条件がアイコンで強調して表示されます。「時間外労働なし」「週休二日制(土日休)」「転勤なし」「マイカー通勤可」などです。
該当する項目は、欄を空けずに記入します。もちろん、事実と異なる選択はできません。
求人サイトや自社のホームページにも出している場合は、媒体ごとに条件が食い違わないようにします。掲載日や更新日を明記し、採用が決まったら速やかに取り下げます。これは、的確表示の義務として求められている対応でもあります。
面接では、求人票を手元に置いて説明します。求人票と違う条件を伝える場合は、変更の明示が必要です。ハローワークの資料も、記入した労働条件はそのまま採用後の労働条件になることが期待されていると案内しています。
書き方を見直しても応募が増えない場合は、図1の症状に戻って、どの段階で止まっているかを確かめます。そのうえで、賃金水準や休日数など、条件そのものを地域の相場と比べて見直す段階に進みます。

まとめ
- 応募が来ない求人票は、仕事内容や勤務形態など、応募者が判断に使う情報が欠けていることが多い
- 転職者が勤め先を選んだ理由は、仕事の内容(40.2%)と技能が活かせること(38.4%)が上位(令和7年転職者実態調査)
- 見直すのは、仕事内容、勤務形態、残業と休日、賃金の内訳、経験・資格と教育、就業場所と職場環境、選考の流れの7項目
- 業務と就業場所の変更の範囲、固定残業代の3点など、法律で決まっている明示事項を漏らさない
- 年齢や性別ではなく仕事と必要な能力を書き、実際より良く見せる表示は避ける。迷う表現はハローワークや労働局に確認する
求人票の見直しは、自社の仕事と働き方を言葉にし直す作業でもあります。書けない項目があるときは、職場の側に整理すべきことが残っているのかもしれません。
交替勤務や休日の考え方は製造業の働き方改革、入社後の教育の組み立ては技能伝承と人材育成の記事が参考になります。
なお、この記事は2026年10月1日時点の法令と厚生労働省の資料をもとにしています。個別の求人の表現や例外事由の判断は、ハローワークや都道府県労働局に確認してください。
出典
出典・参考資料(15件)を開く出典・参考資料を閉じる
- 労働条件の明示、的確表示:e-Gov法令検索「職業安定法」(第5条の3、第5条の4)、「職業安定法施行規則」(第4条の2)
- 2024年4月に追加された明示事項、明示のタイミング:厚生労働省「求人企業の皆さま 募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」、「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」
- 変更の明示、指針の内容:厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ」
- 固定残業代の表示:厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」
- 的確表示の義務と具体例:厚生労働省「2022(令和4)年10月1日施行 職業安定法 改正のポイント」、「令和4年 改正職業安定法Q&A」
- 年齢制限の禁止と例外事由:e-Gov法令検索「労働施策総合推進法」(第9条)、「同法施行規則」(第1条の3)、厚生労働省「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」、「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A」(令和7年4月1日現在)
- 性別を理由とする差別の禁止:e-Gov法令検索「男女雇用機会均等法」(第5条、第7条、第13条)、厚生労働省「男女均等な採用選考ルール」
- 公正な採用選考:厚生労働省「公正な採用選考の基本」
- SNS等での募集広告に表示する6つの情報:厚生労働省「労働者の募集広告には、「募集主の氏名(又は名称)・住所・連絡先(電話番号等)・業務内容・就業場所・賃金」の表示が必要です」
- 求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置の義務化(2026年10月1日施行):厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
- 求職者が求める職場情報:厚生労働省職業安定局「求職者等への職場情報提供に当たっての手引 第3版」(2026年3月改定)
- ハローワークの求人申込書:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きのご案内」、「求人申込書の書き方」
- 職業別の有効求人倍率:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)について」(2026年8月28日公表、参考統計表)
- 勤め先を選んだ理由、離職理由、転職活動の方法、製造業の事業所の回答:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」(2026年9月25日公表)
- 転職入職者の賃金変動:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」(2026年8月31日公表)
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