ファン・ブロワ・コンプレッサーの違い|圧力比と構造・選び方

工場内に設置された遠心ファンの外観を表す生成イメージ

ファン・ブロワ・コンプレッサーは、いずれも気体にエネルギーを与える機械です。一般的な目安では、吸込側と吐出側の絶対圧の比で、ファンは1.1未満、ブロワは1.1以上2未満、コンプレッサーは2以上と区別します。

規格や業界によって、圧力の区分と呼び方は異なります。名前から用途を決める前に、必要な流量と圧力、そして羽根車やピストンなどの構造を見比べると、機器の違いを理解できます。

圧力比の計算から始め、各機器の仕組みと使いどころを整理します。真空ポンプとの関係や、カタログの圧力・流量を読み違えやすい点も、設備の具体例で見ていきましょう。

動画では圧力比による一般的な分類を解説しています。JISと業界の区分の違い、絶対圧とゲージ圧の換算は、以下の本文で補足しています。

目次

ファン、ブロワ、コンプレッサーの違いとは?

三者の違いを大づかみにすると、気体に与える圧力の大きさです。室内を換気する程度の低い圧力から、配管を通して計装用の圧縮空気を供給する高い圧力まで、目的に応じた機械を使います。

圧力比は、吐出絶対圧を吸込絶対圧で割った値です。大気圧をゼロとする圧力計の指示値をそのまま割ると、吸込が大気開放の場合に分母がゼロになり、正しい比較ができません。

圧力の基準には絶対圧・ゲージ圧・差圧があります。カタログのkPaGはゲージ圧を表す表記で、圧力比の計算に使う前に、その場所の大気圧を足して絶対圧へ直します。

図1:一般的な圧力比の目安と、規格・業界の区分を分ける

1.1と2はよく使う目安です。異なる区分を一つの定義へ混ぜず、仕様書の基準に合わせます。

区分の出典・考え方ファンブロワコンプレッサー
一般的な圧力比の目安省エネルギーセンターの解説1.1未満1.1以上2未満2以上
ロータリ・ブロワ業界の説明日本産業機械工業会の手引き30kPaG未満200kPaG以下の領域200kPaG以上の領域
同手引きが紹介するJIS B 0132:2005圧縮機のうち200kPaG以下のものをブロワとする分類。上の圧力比区分と同じではない。

業界区分の200kPaGは手引きの境界表記をそのまま示しています。表は機種の適用限界や、法令上の設備区分を定めるものではありません。

省エネルギーセンターの資料では、圧力比1.1と2を用いた分類が示されています。一方、日本産業機械工業会のロータリ・ブロワの手引きは、業界の境界を30kPaGと200kPaGで説明しています。

同じ手引きには、JIS B 0132:2005がブロワを200kPaG以下の圧縮機として分類するという注記もあります。したがって「ブロワは必ず圧力比2未満」と、あらゆる製品へ当てはめることはできません。

圧力による分類と、作動原理による分類は別のものです。ターボ形は羽根車で流れにエネルギーを与え、容積形は気体を囲んだ空間を使って送り出す仕組みで、それぞれに複数の機種があります。

現場で「送風機」という言葉を使うときは、ファンとブロワをまとめて指す場合があります。設備台帳では機器名だけでなく、形式・流量・圧力・取扱い気体を併記すると、交換品の仕様を比較しやすくなります。

ファン

ファンは、一般的な圧力比の目安で1.1未満に分類される送風機です。扇風機や換気扇、空調機の室外機などが身近な例で、工場では排気や燃焼空気の供給にも使われます。

吸込圧力を101.3kPaの大気圧とすると、圧力比1.1に対応する吐出絶対圧は111.43kPaです。これは「1.1未満」というファン区分の境界値です。

図2:圧力比の境界を、絶対圧からゲージ圧へ換算する

吸込が101.3kPaの大気圧である例です。111.43kPaと202.6kPaは吐出絶対圧を示します。

圧力比の定義
r = p2,absp1,abs
一般区分のファン側境界 r=1.1
p2,abs = p1,abs × r
101.3 × 1.1 = 111.43 kPa
p2,G = 111.43 − 101.3
= 10.13 kPaG
一般区分のブロワ側境界 r=2
101.3 × 2 = 202.6 kPa
p2,G = 202.6 − 101.3
= 101.3 kPaG
r:圧力比[無次元]、p1,abs:吸込絶対圧、p2,abs:吐出絶対圧[kPa]、p2,G:吐出ゲージ圧[kPaG]。この例では吸込絶対圧と大気圧が同じです。

圧力比1.1未満、2未満という区分では、計算した境界そのものは下側の区分に含めません。高度や吸込負圧が変わると換算結果も変わります。

図の条件なら、ファンが上昇させる圧力は約10kPa未満です。吐出絶対圧111kPaとゲージ圧111kPaでは、実際の加圧の大きさが大きく違うので、数字の後ろの基準まで読み取ります。

ファンの代表的な構造は軸流式と遠心式です。軸流式は回転軸に沿って空気を通し、遠心式は羽根車の中心付近へ入った空気を外周方向へ送り、ケーシングから吐き出します。

図3:軸流式は軸に沿って、遠心式は中心から外周へ流れる

羽根車と流向の違いを示す模式図です。モーター・支持材・細部の羽根形状は省略しています。

軸流式:ダクト側面から見る吸込吐出空気は回転軸に沿って通過遠心式:羽根車の正面を見る吸込吐出手前の中心から入り、外周へ送る

軸流・遠心は流向による構造分類です。圧力だけを基準にしたファン・ブロワの区分とは、分類の軸が違います。

一般に、軸流式は大きな風量を比較的コンパクトな機器で扱う用途に向きます。遠心式には多翼のシロッコファンなどがあり、ダクトやフィルターの抵抗がある送風にも広く使われます。

前面ガードを備えた工場用軸流ファンの外観を表す生成イメージ
円筒ケーシングと羽根、前面ガードを備えた軸流ファンの外観イメージ。生成画像です。

ただし、軸流か遠心かという形だけで、必要な圧力と風量を満たすかは決まりません。機種ごとの性能曲線と設備側の抵抗を重ね、実際に運転する点で能力を評価します。

ファンの最大風量は、通常は圧力抵抗が小さい側の値です。カタログの最大静圧は、通常、風量ゼロの締切状態で示されます。最大風量と同時に得られる性能として扱わず、実際の風量と静圧を性能曲線で読み取ります。

フィルターが詰まったり、ダクトを延長したりすると、設備側の抵抗が変わります。回転数が同じでも風量が変わる理由は、性能曲線と運転点の関係から整理できます。

風圧には静圧・動圧・全圧があり、全圧は静圧と動圧の和です。同じPa表示でも比較する圧力の種類が違うと選定を誤るため、測定位置やダクト断面と一緒に仕様を読みます。

低い差圧を水柱で表す場合は、マノメータの液柱差と圧力が対応します。風量不足を調べるときも、圧力計の値だけでなく、吸込側と吐出側のどこを測っているかが手掛かりになります。

ブロワ

ブロワは、一般的な圧力比の目安では1.1以上2未満に位置する送風機です。乾燥設備への送風、排水処理槽の曝気、粉粒体の空気輸送など、配管や散気装置の抵抗を越えて気体を送る場面で使われます。

吸込絶対圧が101.3kPaなら、圧力比2の境界は吐出絶対圧202.6kPaです。ゲージ圧では101.3kPaGに当たり、吐出が202.6kPaGという意味ではありません。

ブロワには遠心式などのターボ形と、ルーツ式などの容積形があります。遠心式では羽根車による流れの加速と圧力への変換を使い、ルーツ式ではロータとケーシングに囲まれた気体を移送します。

図4:ルーツ式は、ロータの外側に囲んだ気体を運ぶ

二葉ロータを用いた概念断面です。歯形の設計寸法を再現したものではなく、外周側を移送する経路を示します。

吸込側吐出側ロータと壁の間に囲んだ気体を運ぶロータ同士は非接触隙間は見やすく拡大左:反時計回り右:時計回り壁との間にも小さな隙間

一般的なルーツ式は、閉じ込めた気体の体積を徐々に縮めるピストンとは異なります。吐出側と連通したときの圧力上昇を伴い、実際の吐出圧力は接続先の負荷に応じて決まります。

ルーツ式の内部では、二つのロータが互いに反対方向へ回転します。ロータ同士とケーシングとの間に小さな隙間を保ち、気体を外周側に囲んで吸込口から吐出口へ運びます。

一般的なルーツ式では、搬送中の気体を囲む容積が大きく縮むわけではありません。高い圧力の吐出側とつながると気体の圧力が上がり、ロータがそれを押し出すため、流れを運ぶ構造と圧力上昇を分けて考えます。

同じ回転数での流量は圧力変化の影響を比較的受けにくく、一定量の送風が必要な用途に向きます。一方で内部の漏れや温度上昇もあるため、実流量・軸動力・使用圧力の関係は性能資料で評価します。

曝気槽では、水深による圧力に加えて、散気装置と配管の圧力損失を越える能力が必要です。槽が深くなったり散気装置が汚れたりすると、同じ空気量を送るために必要な圧力が変わります。

このような低圧の用途へ、もっと高圧の圧縮空気を減圧して供給すると、必要以上の昇圧に動力を使います。省エネルギーセンターも、曝気用空気の供給源をコンプレッサーからルーツブロワへ見直す事例を紹介しています。

機器の変更には、必要風量に加え、停止時の扱い・予備機・配管抵抗の変動も関係します。既存の空気源を共用する便利さと、専用の低圧機を運転する動力を、同じ運転条件で比較します。

コンプレッサー

コンプレッサーは気体を圧縮する機械で、一般的な圧力比の目安では2以上の領域を指します。工場の工具・計装用空気、ガスの圧送、冷凍機やヒートポンプの冷媒圧縮など、幅広い設備に使われます。

圧縮機の構造には往復動式・スクリュー式などの容積形と、遠心式・軸流式などのターボ形があります。圧力が高いから必ずピストン式というわけではなく、必要な圧力と流量、気体の性質で形式を選びます。

図5:往復動式は、吸入した気体を縮めて高圧側へ押し出す

上側がシリンダーヘッド、下側がピストンです。弁の開閉状態とピストン位置を三つの場面で描いています。

吸入吸入弁が開き、気体が入る圧縮両弁を閉じ、容積を縮める吐出吐出弁が開き、高圧側へ出る

弁は吸入側・吐出側との圧力差に応じて開閉します。色の濃さは圧力上昇を表す概念表現で、実際の気体の色ではありません。

往復動式では、ピストンが下がるとシリンダー内へ気体が入ります。続いて両側の弁が閉じた状態でピストンが上がり、気体の体積が減って圧力が高くなると、吐出弁から送り出されます。

圧縮に伴って気体の温度も上がるため、圧縮機には冷却設備が組み合わされます。高い圧力を複数段で作る場合は段の間で冷却する構成もあり、圧力比だけでは機械全体の性能は決まりません。

工場で圧縮空気を計装弁や空気式機器へ使う場合、圧力に加えて水分・油分・粒子の管理が必要です。空気源から末端までの役割は、計装空気の供給設備で詳しく整理しています。

空気を圧縮してから冷却すると、水蒸気の一部が凝縮してドレンになります。吐出圧力が足りていても、ドライヤーやフィルターの状態が悪いと、下流機器の動きや測定に影響します。

空気源の発停・回転数制御と、末端のレギュレータによる減圧は役割が異なります。末端の必要圧を保つ仕組みは圧力制御の基本と合わせて読むと、機器を追加する目的が明確になります。

冷凍サイクルでは、コンプレッサーが低圧の冷媒蒸気を吸い込み、高圧側へ送り出します。圧縮する対象は空気だけではなく、冷媒やプロセスガスごとに、材質・密封・潤滑などの仕様が変わります。

そのため、空気用の機種をそのまま別の気体へ転用する考え方は適切ではありません。可燃性雰囲気の機器選定には防爆の区分と機器も関係し、気体の性質を圧力・流量と同列の設計条件にします。

真空ポンプ

真空ポンプは、吸込側の容器や配管から気体を取り除き、大気圧より低い圧力を作る機械です。「真空」という目的を表した名前で、気体を運び圧力を上げて吐き出す点は、圧縮機と共通しています。

例えば、容器内50kPaの気体を100kPaの外部へ排出するなら、圧力比は100÷50で2です。どちらも絶対圧で比較しており、吐出がほぼ大気圧でも、吸込側から見れば気体を圧縮しています。

図6:真空容器から抜いた気体も、吐出先の圧力まで上げて排出する

50kPa(abs)の容器から100kPa(abs)の外部へ排気する仮定例です。真空度と吐出圧の役割を分けます。

真空容器50kPa(abs)真空ポンプ吐出先 100kPa(abs)気体を圧縮して外部へ出す気体の流れは容器 → ポンプ → 吐出先
真空ポンプの圧力比の仮定例
r = p2,absp1,abs = 10050
= 2
p1,abs:吸込側の絶対圧50kPa、p2,abs:吐出先の絶対圧100kPa。実機の圧損や許容背圧は別に評価します。

真空ポンプには、ドライ式や水封式などがあります。ドライ式は気体を排気する作動室に油や封液を使わない方式で、内部の回転体や段構成は機種によって異なります。

水封式では、偏心した羽根車が水の輪を作り、水面と羽根に囲まれた空間の体積を変えます。吸入・圧縮・排気が連続して行われ、封水の温度や供給・循環の条件が性能に関係します。

エジェクタも真空を作る方法の一つで、蒸気や圧縮空気などの噴流を利用して気体を引き込みます。回転する真空ポンプとは駆動原理が違い、駆動流体の消費と排出先の条件を含めて比較します。

用途は実験装置だけでなく、乾燥・脱気・濃縮・吸着搬送などにも広がります。酸素を減らして反応を抑える目的もありますが、真空にしたことだけで残留酸素がゼロになるわけではありません。

蒸気設備では、復水器の真空と非凝縮性ガスの排出にも関係します。蒸気を水へ凝縮する働きと、空気などを排出する働きを分けると、真空を保つ仕組みを理解できます。

真空タンクを備えた設備では、容器の大きさや漏れ、使用側から入る気体の量が運転に影響します。到達圧力だけでなく、必要な圧力における排気速度を見ることが重要です。

排気速度の体積流量は、その圧力の気体の体積で表す場合があります。同じ気体の質量と温度が一定なら、低圧になるほど体積が大きくなるため、標準状態へ換算した流量とは基準をそろえて比較します。

仕様書で見分けるための確認手順

最初に決めるのは、使用場所で必要な流量と圧力です。機器の吐出フランジで必要な値を求めるには、使用先の条件へ配管・フィルター・弁などの圧力損失を加え、吸込側の損失も考えます。

次に、流量が吸込実体積か標準状態換算かをそろえます。m³/minという単位だけでは温度と圧力の条件が分からないこともあり、同じ数値をそのまま別のカタログへ当てはめると能力を取り違えます。

空気以外の気体では、密度・粘度・腐食性に加え、水蒸気や粉じんを含むかも整理します。凝縮液を吸い込む可能性がある設備では、前段の分離や排出を含めて、機器が扱う状態を具体的にします。

定格点だけでなく普段の負荷と最低負荷を比べます。一台の大きな機器を絞って使う構成と、回転数制御や台数制御を組み合わせる構成では、部分負荷での動力が変わります。

ファンの相似則では、同じ羽根車・気体密度で、効率がほぼ等しい相似な運転点を比べると、風量は回転数に比例します。圧力は回転数の二乗、軸動力は三乗に比例するため、回転数の変更は風量以外にも影響します。

例えば回転数を0.8倍にした相似点では、風量0.8倍、圧力0.64倍、軸動力0.512倍です。これは実設備の電力を必ず半減できるという意味ではなく、必要圧力や制御方法、モーターの効率まで含めて評価します。

最後に、性能を維持するための点検箇所を機種ごとに整理します。ファンの吸込抵抗、ブロワの温度や振動、圧縮空気のドレン、真空系の漏れなど、同じ「流れが弱い」という現象でも調べる場所は変わります。

ファン・ブロワ・コンプレッサーのよくある質問

ブロアとブロワは別の機械ですか?

どちらも英語のblowerを日本語で表した呼び方で、表記だけで別の機械には分かれません。メーカー資料ではブロワ・ブロワー・ブロアなどが使われるため、検索や照合では形式名と仕様値を合わせて見ます。

シロッコファンはファンですか、ブロワですか?

シロッコは多翼の遠心式という構造を表す呼び名です。製品によってブロワと呼ばれる場合もあり、構造名と圧力の分類を分けて、風量・静圧・使用条件から能力を判断します。

出口の圧力計だけで圧力比を計算できますか?

吸込絶対圧も必要なので、吐出の圧力計だけでは条件が足りません。吸込が大気圧であれば大気圧を使えますが、フィルターや吸込配管で負圧になる場合は、その影響も含めて計算します。

風量が足りなければ、もっと大きいファンにすればよいですか?

まずフィルターの詰まり、ダクトの抵抗、回転方向や回転数を調べます。原因が設備側にある状態で大型化すると、騒音や動力だけが増えることもあるため、運転点と必要な改善を対応させます。

真空ポンプとコンプレッサーを兼用できますか?

同じ作動原理でも、許容吸込圧・吐出圧・温度や冷却条件は機種ごとに異なります。兼用仕様として設計された機器を選び、真空側と加圧側の両方が、その機種の使用範囲へ収まる構成にします。

まとめ

一般的な圧力比の目安は、ファンが1.1未満、ブロワが1.1以上2未満、コンプレッサーが2以上です。ただしJISや業界で区分は異なるため、採用する基準と絶対圧の条件をそろえて比較します。

構造を見ると、軸流・遠心などのターボ形と、ルーツ・往復動などの容積形に分かれます。真空ポンプは吸込側を低圧にする目的の機械であり、吐出先へ気体を排出するために圧縮します。

機器選定では、必要流量と圧力、気体の性質、部分負荷の動力を順に整理しましょう。名前や最大値だけで選ばず、実際の運転点と供給先の条件を結び付けることが、適切な使い分けにつながります。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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