レベル制御とは?比例・二位置・ボールタップの方式と液位の決め方

タンクと排出ポンプを設置した工場のユーティリティ室

レベル制御とは、タンクへの液体の流入量か排出量を調整し、液位を目標値や一定の範囲に保つ制御です。連続的に流量を変える方法と、上下限で機器を入れ切りする方法があります。

同じ液位制御でも、補給弁を動かすか排出ポンプを動かすかで、必要な動作は逆になります。液位の精度だけでなく、前後の工程をどれだけ安定させたいかも方式を決める軸です。

比例制御、二位置制御、ボールタップの順に、配管と信号の向きを見ていきます。後半ではタンクの有効容量と発停回数を計算し、液位が安定しないときの確認順まで整理します。

目次

レベル制御とは

液位はタンクに入る量と出る量の差で変わり、流入が多ければ上がり、排出が多ければ下がります。この収支を弁やポンプで調整するのが、レベル制御の基本です。

たとえば上流からの供給が脈動しても、タンクにいったん受ければ、下流へ送る量を滑らかにできます。このとき液位の変動そのものが、流量差を一時的に蓄える働きを担っています。

そのため、すべてのタンクで液位を厳密に固定すればよいわけではありません。工程に必要な水位の範囲を保ちながら蓄積量を使う考え方は、バッファタンクの役割と仕組みに通じます。

ポンプの吸込側では、液位を保つと吸込口にかかる静水圧を安定させられます。水位低下による空気の吸込みや吸込条件の悪化を防ぐことも、液位を管理する大切な目的です。

ただし、液位だけでポンプの健全性が決まるわけではなく、液温や吸込配管の損失も影響します。異音が出る場合は、キャビテーションとエア噛みの違いを踏まえて原因を分けます。

制御の目標を決めるときは、常用水位のほかに上限警報、下限警報、運転停止の水位を並べます。機器を動かす水位と異常を知らせる水位を分けると、通常動作と保護動作が明確になります。

レベル制御の方式

代表的な方式は、比例制御、二位置制御、ボールタップによる制御の三つです。必要な液位の精度と使える機器に加え、流量を変えてよいのが補給側か排出側かを先に整理します。

比例制御

比例制御は、設定値と測定値のずれに応じて、弁の開度やポンプの回転数を連続的に変える方法です。上下限だけで動かす方式より、狭い幅で液位を管理しやすくなります。

ここでいう比例動作はP動作のことで、偏差が大きいほど操作量の変化も大きくなります。P単独で常に設定値へぴったり一致するとはいえず、外乱や運転点によって定常的なずれが残ります。

設定値とのずれを解消したい用途では、積分動作を組み合わせたPI制御などを使います。PとIの役割や調整の考え方は、PID制御の基本で整理しています。

測定側は液位計、判断側は調節計、操作側は弁やポンプという役割分担です。液位の測定値を戻し、操作の結果を再び測ることで、目標へ近づける閉じたループになります。

  1. 液位計がタンクの液位を測り、測定信号を送る。
  2. 調節計が設定値と測定値を比較し、必要な操作量を求める。
  3. 制御弁の開度やポンプの回転数を変える。
  4. 変化した液位を再び測り、操作を続ける。

複数の工程と連携する場合は、調節計の演算をDCSで受け持つ構成もあります。測定と操作の信号には、4–20mAの電流信号が使われます。

図1:排出側の弁で液位を下げる制御ループ

液位が上がったら排出量を増やし、液位を下げる方向へ戻します。

図は横にスクロールできます。

LTLIC流入液位↑排出ポンプ排出量↑測定値開度指令↑最小流量戻り設定値

LT:液位伝送器、LIC:液位指示調節計。実線は液体、破線は信号。最小流量戻りの要否・流量はポンプ仕様によります。

上流から入る量が変動し、下流へ送る量を変えられる場合は、排出側を操作します。液位が上がれば吐出側の弁を開き、下がれば絞ることで、タンクにたまる量を調整します。

ポンプを回したまま吐出弁を閉じる構成では、低流量時の発熱や運転不安定を検討します。必要なミニマムフローを確保する戻り配管など、機種に合った保護を設けます。

戻り配管がある場合は、ポンプを通る流量と、工程へ送る流量を分けて考えます。液位を変えるのはタンク境界を出入りする正味の流量で、同じタンクへの循環量は収支上打ち消し合います。

流量を回転数で変える方法には、インバータ制御もあります。絞り弁で消費していた圧力を減らせる条件では省エネにつながりますが、低速側の許容範囲も選定条件です。

排出側の弁による液位制御の簡略系統図。
排出側の弁による液位制御の簡略系統図。

反対に、下流の使用量が変動し、その要求流量を優先する場合は、補給側を操作します。使用量が増えて液位が下がったら補給弁を開き、液位が戻ったら流入量を抑える動作です。

図2:補給側を操作する場合の配管と信号

下流の需要流量を保つため、液位の低下を補給量の増加で補います。

図は横にスクロールできます。

供給源供給圧あり調節計LT液位↓補給弁を開く使用量増加補給量↑測定信号

供給圧とタンク圧、配管・弁の圧力損失の差で流入量が決まります。弁を開いても、必要な差圧がなければ十分に補給できません。

補給側の弁は、設計した最大使用量を賄える流量能力と差圧が必要です。下流の需要が補給能力を超えれば、弁を全開にしても液位は下がり続けるため、制御調整と能力不足を分けます。

調節計が出した指令と実際の弁開度は、空気圧や摩擦の影響でずれることがあります。ポジショナーによる弁位置のフィードバックは、この操作端のずれを小さくする仕組みです。

補給側の弁による液位制御の簡略系統図。
補給側の弁による液位制御の簡略系統図。

二位置制御

二位置制御は、上限と下限の水位でポンプや弁を切り替え、液位をその範囲に保つ方式です。連続的な測定値を使わず、レベルスイッチの検出結果を組み合わせて構成できます。

排出ポンプなら、上限Hに達したときに起動し、下限Lまで下がったら停止します。HとLの間では直前の運転状態を保持するため、一つの高さで発停を繰り返す動作を避けられます。

補給ポンプや補給弁では、下限Lで補給を始め、上限Hで止める逆の動作になります。同じスイッチ配置でも、配管のどちら側を動かすかによって運転条件を入れ替える点が要点です。

図3:排出と補給で逆になる二位置制御

水位が二つの設定点の間にあるときは、直前のON/OFFを保ちます。

図は横にスクロールできます。

HL液位時間→排出補給ONOFFOFFON排出起動排出停止

液位波形は排出制御の例。補給の状態線は「同じ液位に対する逆の切替論理」を示すもので、同じタンクで両ポンプを同時運転する指示ではありません。

二位置制御は構成が簡単で、比例弁やアナログ入力が不要な設備では費用を抑えやすい方式です。一方、許容する液位差を小さくすると、発停や開閉の回数が増えるため、設備寿命との兼ね合いが生まれます。

波立ちで検出が出入りするときは、スイッチの設置位置と動作幅を先に点検します。動作すき間と状態保持の詳しい関係は、二位置制御の仕組みで説明しています。

ポンプを連続運転し、オンオフ弁だけを開閉する構成でも二位置制御は成立します。その場合も閉弁中のポンプ運転条件や戻り流量が設計対象で、発停式から置き換えるだけでは完成しません。

上限Hで排出ポンプ起動、下限Lで停止する接点検出の簡略図。図中LTは便宜的な表記で、連続測定信号ではありません。
上限Hで排出ポンプ起動、下限Lで停止。図中LTは便宜的な表記で、ここでは上下限の無電圧接点を示します。通常のLT(液位伝送器)の連続測定信号とは区別します。
下限Lで補給弁開、上限Hで閉じる接点検出の簡略図。図中LTは便宜的な表記で、連続測定信号ではありません。
下限Lで補給弁開、上限Hで閉。図中LTは便宜的な表記で、ここでは上下限の無電圧接点を示します。通常のLT(液位伝送器)の連続測定信号とは区別します。

レベルスイッチのON/OFFは制御盤の入力で受け、ポンプの運転指令は出力で送ります。接点信号とアナログ信号の違いは、DI/DO・AI/AOの種類と方向を基準に整理できます。

停電から復帰したときの動作も、状態保持の扱いと合わせて決めておきます。オムロン61F-GNでは停電で自己保持が解除され、復電しても停電前の保持状態には戻りません。

水位がHとLの間で復電した場合、給水は上限電極E1に達するまで運転し、排水はE1に達するまで起動しません。この動作は61F-GNの接続例であり、PLCなど別の回路では復帰条件を個別に定めます。

ボールタップによる制御

受水槽の水面に浮く浮玉と補給弁の機械式レバー
浮玉と弁をつなぐ機構のイメージ。生成画像。

ボールタップは、水面に浮く浮玉の上下動を弁へ伝え、流入する水を調整する機器です。単純な直動式では液位が下がると弁が開き、上がると閉じる方向に動くため、電気の調節計を使わず補給できます。

受水槽などで使いやすい一方、液体の性状や必要流量に合う材質と構造を選ぶ必要があります。浮玉が槽壁や配管に接触すると動けなくなるため、周囲の空間と点検のしやすさも選定条件です。

図4:浮玉の動きを止水へ伝えるボールタップ

浮玉の浮力をレバーで弁へ伝える、単純な直動式の原理を示しています。

図は横にスクロールできます。

供給水弁座弁体支点レバー浮玉水位↑浮玉が上がる → 弁体を弁座へ押す

実機には複式や圧力バランス式などもあります。図は内部形状や寸法を再現した製品図ではなく、浮玉と止水の関係を示す原理図です。

止水位は「槽の天井まで満たす高さ」ではなく、運転上決めた水位です。オーバーフロー管や警報水位との間に余裕を取り、補給が止まった後の流入や波立ちも含めて配置を決めます。

設定を変える方法は機種によって異なり、SANEIのV51・V52・V511は調節ナットで止水位を変えられます。止めねじを緩めて調節し、水位が決まったら止めねじを確実に締め付けます。

アイエス工業所のWAは、ドライバーで調整ねじを操作する方式です。同社はロッドを曲げる調整を禁止しており、所定の調整範囲を超える変更では取付位置や機種を見直します。

ボールタップだけを正常水位の制御に使っても、満水・渇水の警報とポンプの空転防止は別に備えます。SANEIの受水槽向け取扱説明書でも、警報器やオーバーフロー管を組み合わせる構成を求めています。

浮玉で補給量を調節するボールタップの簡略図。
浮玉で補給量を調節するボールタップの簡略図。

止水不良では、浮玉の動きに加え、弁パッキンの傷や異物、ストレーナの汚れを調べます。分解時は給水を止め、復旧後に動作と漏れを点検するという、機種の保守手順に沿って作業します。

方式の選び方とタンク容量の考え方

狭い液位幅が必要なら連続調節、一定の幅を許せるなら二位置、単純な水の補給ならボールタップが候補になります。比較では初期費用のほか、弁やポンプが動く回数と異常時の対応も含めます。

比較する観点比例・PIなど二位置制御ボールタップ
測定・検出連続した液位値上限・下限の検出浮玉の上下動
主な操作弁開度・回転数を調節運転停止・弁開閉機械的に補給を調整
液位の目標設定値に近づける決めた範囲内に保つ機種の止水位に保つ
重点確認制御性・操作可能範囲容量・発停回数供給圧・流量・浮玉空間

タンク容量を考えるときは、容器全体の容量と制御に使う有効容量を区別します。二位置制御では、上限Hと下限Lの間に入る体積が、発停の間隔を決める基本の量になります。

図5:水位差から有効容量と発停周期を求める

一定断面のタンクなら、使える体積は断面積と水位差の積です。

図は横にスクロールできます。

HL1.2 m³0.3 m水平断面積 A=4 m²流入 2 m³/h排出運転 6 m³/h排出ポンプの状態(高=ON)OFF:停止36分ON運転18分03654分1周期=54分 → 約1.11回/h

説明用の一定流量を仮定。停止中も流入が続き、運転中は排出量が流入量を上回ります。実機の許容発停回数を示す数値ではありません。

一定断面のタンクの体積収支
Adhdt = Qin − Qout
ΔV = A(H − L) = 4 × 0.30 = 1.20 m³
A:水平断面積[m²]、h:液位[m]、t:時間[h]、Qin・Qout:流入・排出量[m³/h]、ΔV:有効容量。密度一定、蒸発・漏れなしと仮定します。
流入2m³/h、排出ポンプ運転中6m³/hの場合
停止時間 = ΔVQin = 1.22 = 0.6 h = 36分
運転時間 = ΔVQout − Qin = 1.26 − 2 = 0.3 h = 18分
起動回数 = 6036 + 18 ≒ 1.11回/h
各流量が一定で、起動・停止の遅れを無視した計算です。停止時間と運転時間の合計を1周期と数えます。

この例で水位差を半分にすれば、有効容量と各時間も半分になり、起動回数は二倍になります。液位を狭い範囲に収める要求と、発停を減らす要求が競合することを数字で判断できます。

横置き円筒槽など、液位によって水平断面積が変わる容器では、一定面積の式をそのまま使えません。容量表や容積の計算でHとLの体積をそれぞれ求め、その差を有効容量にします。

上限Hに達してから弁やポンプが動くまでにも液位は変わります。排出制御のこの例では、起動前の流入超過は2m³/hなので、一分の遅れによる水位上昇は約8mmです。

別の条件で流入超過が4m³/hなら、一分の遅れで約0.067m³が増え、断面積4m²の水位は約17mm上昇します。遅れの間の正味流量を使い、運転開始後の排出量と取り違えないようにします。

この変化を見込んで、通常の切替水位と警報水位の間に余裕を設けます。具体的な余裕は応答時間と最大流量差で求め、スイッチの測定誤差や波立ちも合わせて評価します。

液位が安定しないときの確認順

まず現場の液位と計器の表示を比べ、測定が実際の変動を捉えているかを見ます。表示だけが揺れる場合は、液面の波や泡、検出器の付着物など、測定側の原因から調べます。

次に指令と実際の動作を比べ、弁が動くか、ポンプが所定の流量を送るかを点検します。弁の動きが止まったり跳ねたりする場合は、制御弁の渋滞の原因も切り分けの材料になります。

測定と操作が正常なら、流入量と排出量の記録を並べて、能力上限に当たっていないかを見ます。全開指令が続いているのに液位が戻らない現象は、比例ゲインの調整だけでは解決しません。

周期的な液位の振れでは、計器、操作量、実流量を同じ時刻で記録すると原因を追いやすくなります。自動から手動へ切り替える試験は、上下限と安全停止を維持した承認済みの手順で実施します。

試運転では、起動時だけでなく、通常停止や信号喪失後にどの状態へ移るかも確かめます。試験で変えた設定は記録し、引渡し時に運転水位、警報水位、保護停止の関係を図面と一致させます。

レベル制御のよくある質問

レベル制御と流量制御の違いは?

レベル制御はタンク内にたまる量の高さを、流量制御は配管を通る単位時間あたりの量を目標にします。液位を一定にした結果として流量が変わる場合と、流量を一定にして液位が変わる場合を区別します。

補給側と排出側のどちらを制御すればよい?

前後の工程のうち、流量を変えてよい側を選びます。下流需要を優先するなら補給側が候補になり、上流からの受入れを優先するなら排出側の能力と操作範囲が判断の中心になります。

比例制御なら液位は必ず一定になる?

比例動作だけでは、流量外乱が変わった後に設定値とのずれが残る場合があります。液位を許容幅に収めるP制御か、偏差解消を狙うPI制御かは、必要な精度とタンクの緩衝機能で決めます。

二位置制御の上限と下限は近いほどよい?

近づけるほど液位幅は狭まりますが、同じ流量条件ではポンプの発停が増えます。使える有効容量から周期を計算し、モーターやポンプの許容起動回数と照らして水位差を決めます。

ボールタップの止水位を変えるには再設置が必要?

調節ねじやナットで止水位を変えられる機種なら、所定の範囲で調整できます。範囲を超える変更では取付位置や機種を見直し、警報水位とオーバーフロー管の位置関係も再評価します。

まとめ

この記事のまとめ
  • レベル制御は流入量か排出量を変え、液位を目標値や範囲に保つ制御
  • 流量差を蓄積できる容量が、負荷変動の吸収とポンプ保護に役立つ
  • 連続調節は比例・PIなど、上下限の切替は二位置制御で扱う
  • 排出は高水位で増加・起動、補給は低水位で増加・起動が基本
  • ボールタップは浮玉で補給を調整し、設定変更方法は機種で異なる

液位の精度だけを追わず、タンクに求める緩衝機能と、前後の流量条件をそろえて方式を選びます。ポンプの吸込条件はNPSHの考え方と合わせると、必要な下限水位を判断しやすくなります。

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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