平均分子量とは?求め方と空気が約29の理由、分圧・ガス密度への使い方

配管が接続された横置きの円筒形ガス貯槽が並ぶ屋外のガス置場

平均分子量とは、何種類かの分子が混ざった気体を1種類の気体とみなすために、成分の分子量をモル分率(物質量の割合)で重みづけして平均した値です。求め方は「各成分のモル分率×分子量」をすべて足すだけで、窒素と酸素などからなる乾燥空気では約28.96、ふだんの計算では約29になります。

この値が分かると、混合気体にも状態方程式をそのまま使えるため、質量から圧力や密度を出したり、反対に平均分子量から成分の割合や分圧を逆算したりできます。工場では、漏れたガスが天井側と床側のどちらにたまるか、流量計の目盛をどう補正するかといった判断の土台になります。

この記事では、まず定義と求め方、空気が約29になる計算を確かめ、平均分子量を使うメリットとモル分率・分圧への使い方を例題で整理します。続いて工場での使い道として、ガス検知器と換気の位置、流量計の補正と燃焼排ガスの計算を取り上げ、樹脂の品質管理で使う高分子の平均分子量にも触れます。

目次

平均分子量とは:混合気体の個性をならして1種類とみなす値

空気は窒素(N2)が約78%、酸素(O2)が約21%、アルゴンが約0.9%、二酸化炭素が約0.04%の混合気体で、成分ごとに分子量が違います。

それでも計算の上では「分子量が全部同じ平均値の気体」が同じ数だけあると考えても、全体の質量と物質量は変わりません。この「成分の個性をならした分子量」が平均分子量です。

図1:実際の空気と、計算上の「空気」

分子そのものが変わるわけではありません。質量と物質量が同じになるように、分子量だけを平均値にそろえて計算する考え方です。

実際の混合気体計算上のモデル平均白=N₂、青=O₂全部 分子量 約29

※粒の数は割合の目安(N2:O2=8:2)です。アルゴンなどの微量成分は省いています。

求め方は、成分ごとに「モル分率×分子量」を出して足し合わせます。モル分率は、その成分の物質量を混合気体全体の物質量で割った値で、すべての成分を足すと1になります。気体なら、同じ温度と圧力での体積の割合(体積%)がそのままモル分率として使えます。

モル分率から求める(基本の式)
M = x1M1 + x2M2 + x3M3 + …
質量分率から求める(質量%が分かっているとき)
1M = w1M1 + w2M2 + …
M:平均分子量 xi:成分 i のモル分率(体積分率) wi:成分 i の質量分率 Mi:成分 i の分子量。どちらの式も「平均分子量=全体の質量÷全体の物質量」を書き直したものです。

2つの式は出発点が同じで、使い分けは手元のデータで決まります。ガス分析計の値や体積%ならモル分率の式、LPGや溶剤の配合のように質量%で決まっているなら質量分率の式を使うと、換算の手間がなく間違いも減ります。

空気で計算すると、窒素と酸素を8:2とみなした近似では28.8、アルゴンと二酸化炭素まで入れると約28.97になります。

米国標準大気(1976年)では海面の平均分子量を28.9644と定めていて、化学の教科書の28.8は2成分の近似、工学で使う28.96〜28.97は実際の組成に近い値という違いです。

窒素と酸素だけの近似(N2 0.8、O2 0.2)
M = 0.8 × 28.0 + 0.2 × 32.0 = 28.8
主な4成分で計算(乾燥空気)
M = 0.78084 × 28.014 + 0.20946 × 31.998 + 0.00934 × 39.95 + 0.00042 × 44.01
= 21.874 + 6.702 + 0.373 + 0.018 = 約28.97
組成は IUPAC の乾燥空気の値(体積%)、CO2 は NOAA の世界平均(2026年7月で約426 ppm)を約0.042%に丸めた値。原子量は H 1.008、C 12.011、N 14.007、O 15.999、Ar 39.95 を使っています。

平均分子量を使うメリット:混合気体を1種類の気体として計算できる

平均分子量を使う一番の理由は、混合気体を1種類の気体として扱えることです。成分ごとに物質量を出して足す手間が省け、「質量÷平均分子量」で全体の物質量が一度に求まるので、そのまま状態方程式 PV=nRT に入れられます。

例として、空気10 gを容積5.0 Lの密閉容器に入れ、27℃に保ったときの圧力を求めます。窒素と酸素に分けて計算しなくても、空気を平均分子量28.8の1種類の気体とみなせば、物質量から圧力までが2行で出ます。

空気の物質量(平均分子量 28.8 を使う)
n = wM = 1028.8 = 0.347 mol
状態方程式で圧力を求める
P = nRTV = 0.347 × 8.31 × 103 × 3005.0 = 1.73 × 105 Pa
w:質量[g] R:気体定数 8.31 × 103 Pa·L/(K·mol) T:絶対温度 27 + 273 = 300 K V:体積[L]。平均分子量を28.96にすると 1.72 × 105 Pa で、差は1%未満です。

同じ考え方で、気体の密度も平均分子量から直接出せます。状態方程式を「密度=質量÷体積」の形に変えると ρ=PM/RT になり、同じ温度・圧力なら、気体の密度は平均分子量に比例します。空気の密度が0℃・1気圧で約1.29 kg/m3になるのも、この式で確かめられます。

気体の密度(理想気体として)
ρ = PMRT = 101,325 × 0.028968.314 × 273.15 = 1.292 kg/m3
ρ:密度[kg/m3] P:絶対圧[Pa] M:平均分子量を kg/mol にした値(28.96 g/mol = 0.02896 kg/mol) R:8.314 J/(K·mol) T:絶対温度[K]。20℃なら約1.20 kg/m3に下がります。

圧力の単位の換算は、760 mmHgと1気圧の関係で整理しています。工場の配管や送風機の計算では、0℃・1気圧に換算した体積(Nm3)で気体の量を表すことが多く、Nm3とm3の換算も平均分子量と同じ状態方程式から出てきます。

平均分子量が分かると何が求まる?モル分率と分圧

ここまでは成分の割合から平均分子量を出しましたが、計算は逆向きにもたどれます。平均分子量が分かればモル分率が求まり、モル分率が分かれば分圧が求まるという2段の流れで、混合気体の問題の多くはこの形に帰着します。

図2:平均分子量から分圧までの流れ

成分が2種類で、それぞれの分子量が分かっていることが前提です。

STEP 1平均分子量 M測った密度や質量と体積から求める。例:M=28.8
STEP 2モル分率 x と 1−xM=xM1+(1−x)M2 を解く。例:x=0.80
STEP 3分圧 pp=x × 全圧。例:全圧1.0 × 105 Paなら 0.80 × 105 Pa

※成分が3種類以上だと、平均分子量1つだけでは割合が1通りに決まりません。

平均分子量が分かるとモル分率が分かる

窒素と酸素だけの混合気体で、平均分子量が28.8と分かっているとします。窒素のモル分率を x とおけば、モル分率の合計は1なので酸素は 1−x と書け、平均分子量の式が x だけの1次方程式になります。

窒素のモル分率を x とおく
28.0x + 32.0(1 − x) = 28.8
32.0 − 4.0x = 28.8 → x = 0.80(酸素は 0.20)
28.0:N2 の分子量 32.0:O2 の分子量。平均分子量はかならず2つの分子量の間(28.0〜32.0)に入ります。

この逆算が成り立つのは、成分の種類が2つに決まっていて、それぞれの分子量が分かっているときです。成分が3つ以上になると、同じ平均分子量になる組み合わせがいくつもあるため、ガス分析計で一部の成分を測るなど、ほかの情報と組み合わせて割合を決めます。

工業の例では、ハーバーボッシュ法でアンモニアをつくる原料の窒素と水素は、物質量の比で1:3に合わせて送ります。このときの平均分子量は約8.5で、もし混合ガスの平均分子量が10.0と出たなら、窒素の割合が予定より多いことが計算で分かります。

窒素・水素の混合ガスで M=10.0 のとき(窒素を x とおく)
28.0x + 2.0(1 − x) = 10.0 → x = 8.026.0 = 0.31
1:3の原料なら窒素のモル分率は0.25(M = 0.25 × 28.0 + 0.75 × 2.0 = 8.5)。0.31は窒素が多めに入っている状態です。

モル分率が分かれば分圧が分かる

混合気体の全圧は、各成分が単独で同じ容器を占めたときの圧力(分圧)の和になります(ドルトンの分圧の法則)。理想気体なら分圧は物質量に比例するので、分圧=モル分率×全圧という形で求まります。

分圧の式
pi = xi × P
前の例題(全圧 1.73 × 105 Pa、N2 0.80、O2 0.20)
pN2 = 0.80 × 1.73 × 105 = 1.38 × 105 Pa
pO2 = 0.20 × 1.73 × 105 = 0.35 × 105 Pa
pi:成分 i の分圧 xi:成分 i のモル分率 P:全圧。2つの分圧を足すと全圧に戻ります。

分圧は、酸素の量を考えるときにも使われます。地上の乾燥空気では酸素の分圧が 0.20946×101.325=約21.2 kPaで、労働安全衛生の分野では空気中の酸素濃度が18%未満の状態を「酸素欠乏」と定めています(酸素欠乏症等防止規則)。

実際の工場では:ガスが空気より重いか軽いかで検知器と換気の位置が決まる

同じ温度と圧力では、気体の密度は平均分子量に比例します。そのため、ガスの分子量を空気の約29と比べれば、漏れたガスが天井側と床側のどちらにたまりやすいかの見当がつきます。工場のガス設備で検知器や換気口の位置を考えるときの出発点です。

ガス化学式分子量空気に対する比重漏れたときの傾向
水素H22.020.07上へ広がる
メタン(都市ガスの主成分)CH416.040.55上へ広がる
アンモニアNH317.030.59上へ広がる
一酸化炭素CO28.010.97空気とほぼ同じ
空気(乾燥)—28.961.00基準
硫化水素H2S34.081.18低い所にたまりやすい
二酸化炭素CO244.011.52低い所にたまりやすい
プロパン(LPGの主成分)C3H844.101.52低い所にたまりやすい
ブタンC4H1058.122.01低い所にたまりやすい
塩素Cl270.902.45低い所にたまりやすい
分子量は IUPAC の標準原子量から計算。比重は「分子量÷28.96」で、同じ温度・圧力の理想気体として比べた値

LPGのように成分が混ざった燃料は、質量分率の式で平均分子量を出してから比べます。プロパン60%・ブタン40%(質量)のLPGなら平均分子量は約48.8で、空気の約1.7倍の重さになり、漏れると床やピット、排水溝にたまりやすくなります。

プロパン 60%・ブタン 40%(質量)のLPG
1M = 0.6044.10 + 0.4058.12 = 0.01361 + 0.00688 = 0.02049
M = 48.8 空気に対する比重 = 48.8 ÷ 28.96 = 1.69
モル分率に直すとプロパン0.66、ブタン0.34です。実際のLPGの組成は規格や季節で変わるため、使う燃料の性状表の値で計算します。

この「重い・軽い」は、法令の設置基準にも表れています。

消防法でガス漏れ火災警報設備が必要になるのは、延べ面積1,000 m2以上の地下街と、温泉の採取設備がある建物です。劇場・飲食店・物販店・旅館・病院などの地階も、床面積の合計1,000 m2以上なら対象です(消防法施行令第21条の2)。

設置するときは、検知対象のガスの比重が1未満か1を超えるかで、検知器の高さと燃焼器からの距離が分かれます(消防法施行規則第24条の2の3)。

ここで書いたのは消防法の基準です。LPGや都市ガスの設備そのものの警報器の位置は液化石油ガス法やガス事業法、高圧ガスを扱う事業所は高圧ガス保安法に別の基準があるため、実際の設置では対象の法令と所轄の消防で確認します。

図3:ガスの比重と検知器の位置

軽いガスは天井側、重いガスは床側で検知します。距離と高さは消防法施行規則の基準です。

水平8m以内水平4m以内空気より軽いガス空気より重いガス0.3m0.3m検知器は天井側検知器は床側検知器検知器燃焼器燃焼器

※比重1未満:検知器の下端を天井面等の下方0.3m以内、燃焼器(または導管の貫通部)から水平8m以内。比重1超:上端を床面の上方0.3m以内、水平4m以内。はりで天井が区切られている場合などの細かな条件は条文で確認します。

ただし、比重は同じ温度・圧力で比べた値なので、実際の流れ方は温度や気流でも変わります。燃焼排ガスのように熱いガスは軽くなって上へ向かい、LPGが液体から気化した直後は温度が下がってさらに重くなるため、検知器の位置は比重を出発点に、漏れる場所と換気の流れも合わせて決めます。

換気の考え方も同じで、空気より軽いガスは天井付近から、重いガスは床に近い位置から排出すると効率よく抜けます。可燃性ガスが漏れるおそれのある場所では電気機器の着火源にも気を配る必要があり、安全増防爆と耐圧防爆の違いのような防爆の考え方につながります。

実験室でも同じ判断をしていて、キップの装置で発生させた気体を集めるとき、水に溶けやすい気体は空気より重いか軽いかで下方置換か上方置換かを選びます。都市ガスとLPGの成分や熱量の違いは、LNG・LPG・都市ガスの違いで詳しく整理しています。

実際の工場では:流量計の補正と燃焼排ガスの計算

平均分子量は、ガスの流量を測る場面でも効いてきます。フロートの位置で読む面積式流量計や、オリフィス前後の差圧で読む差圧式流量計では、流れるガスの密度によって同じ指示でも実際の流量が変わるため、目盛を決めたときのガスと違うガスを流すなら補正が必要です。

図4:工場で平均分子量を使う4つの場面

どの場面も「ガスの密度は平均分子量に比例する」ことが土台です。

検知・換気空気より重いか軽いかで検知器と排気口の高さを決める
流量計の補正空気で目盛った流量計に別のガスを流すときの換算
燃焼排ガス排ガスの密度から送風機やダクトの計算に使う
樹脂の品質高分子の平均分子量と分布をGPCで確かめる

気体用の面積式流量計について、東フロコーポレーションの技術資料では、カタログの目盛を空気(1気圧・20℃)で表し、使うガスの比重・圧力・温度で換算する方法が示されています。

比重の補正は「√(1÷ガスの比重)」を掛ける形で、空気より重いプロパンを流すと、同じ目盛の位置でも実際の流量は約8割になります。

面積式流量計の比重補正(圧力・温度は目盛と同じ条件のとき)
Q = Qair × 1√s
(例)プロパン:100 × 1√1.52 = 100 × 0.81 = 約81 NL/min
Q:使うガスの流量 Qair:空気換算の目盛の値(ここでは100 NL/min) s:ガスの比重(0℃・1気圧のガスの密度÷空気の密度1.293 kg/m3)。圧力や温度が目盛の条件と違うときは、その補正も掛け合わせます(同社の技術資料による)。

面積式の仕組みや液体での密度補正は面積式流量計の解説にまとめています。質量流量を直接測るコリオリ流量計なら密度による換算はいりませんが、体積流量で読む計器では、ガスの平均分子量が分かっていないと正しい量を出せません。

燃焼の計算でも平均分子量が出てきます。メタンを空気比1.2(理論空気量の1.2倍)で完全燃焼させた排ガスは、二酸化炭素・水蒸気・余った酸素・窒素の混合気体です。その平均分子量から排ガスの密度を出して、誘引通風機の風量やダクトの計算に使います。

メタン 1 mol を空気比 1.2 で燃やす(空気は O2 21%・N2 79% とする)
CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O
排ガス:CO2 1、H2O 2、O2 0.4、N2 9.03(合計 12.43 mol)
湿りガス M = 44.01 × 1 + 18.02 × 2 + 32.00 × 0.4 + 28.01 × 9.0312.43 = 27.8
乾きガス M = 44.01 × 1 + 32.00 × 0.4 + 28.01 × 9.0310.43 = 29.7
供給する酸素は 2 × 1.2 = 2.4 mol、窒素は 2.4 × 79 ÷ 21 = 9.03 mol、余る酸素は 2.4 − 2 = 0.4 mol。乾きガスは水蒸気を除いた値で、ガス分析計の多くはこの乾き基準で濃度を表します。

水蒸気(分子量18)を多く含む湿りガスは空気より軽く、水を除いた乾きガスは二酸化炭素(分子量44)の分だけ空気より重くなります。排ガスの量そのものの出し方は排ガス量の計算方法、空気比の決め方は空気比の計算式と適正値で詳しく扱っています。

高分子の平均分子量:数平均Mn・重量平均Mwと GPC

「平均分子量」という言葉は、樹脂やゴムなどの高分子でもよく使われますが、平均する相手が違います。気体では種類の違う分子の平均でしたが、高分子では同じ繰り返し単位でできた、長さの違う鎖の平均です。重合でできる鎖の長さはそろわないため、1つの値ではなく平均と分布で表します。

代表的な平均は2つあります。鎖の本数で平均する数平均分子量(Mn)と、質量で重みをつけて平均する重量平均分子量(Mw、質量平均分子量とも呼ぶ)で、その比 Mw/Mn を分散度(Đ)と呼び、分布の広さの目安にします。

数平均分子量と重量平均分子量
Mn = ΣNiMiΣNi  Mw = ΣNiMi2ΣNiMi  Đ = MwMn
(例)分子量1万の鎖100本と、10万の鎖100本の混合物
Mn = 100 × 10,000 + 100 × 100,000200 = 55,000
Mw = 100 × 10,0002 + 100 × 100,0002100 × 10,000 + 100 × 100,000 = 約91,800 Đ = 1.67
Ni:分子量 Mi の鎖の数。Mn は気体の平均分子量と同じ「本数(物質量)で重みをつけた平均」で、Mw は重い鎖ほど大きく数える平均です。IUPAC は「多分散度指数」ではなく「分散度」という呼び方を勧めています。

例のように重い鎖が混ざると、MwはMnより大きく引き上げられます。同じMnの樹脂でも分布が広いか狭いかで溶けたときの流れやすさや強さが変わるため、樹脂メーカーや成形メーカーの品質管理では、平均値と分散度を組で確かめます。

測定によく使われるのが、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)です。有機溶媒を流す場合はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)とも呼ばれ、細かい穴の開いた粒を詰めたカラムに高分子の溶液を流して、分子の大きさの順に分けます。

図5:GPC(SEC)で大きい分子が先に出るしくみと分子量分布

小さい分子は粒の穴に入り込んで遠回りするため遅れて出てきます。結果は分子量の分布として表し、MnとMwを計算します。

MnMwカラム分子量(対数)→大きい分子先に出る小さい分子穴に入り遅れる量

※分子量は、分子量が分かっている標準物質で作った較正曲線から読み取るため、標準物質に対する相対値になります。

GPCでは、分子量の分かった標準物質を同じ条件で流して「出てくる時間と分子量」の較正曲線をつくり、試料のクロマトグラムを細かく区切って各区間の分子量と量を読み取ります。

そこから Mn・Mw・分散度を計算するので、得られる値は使った標準物質と分析条件に対する相対値で、測定条件をそろえて比べることが大切です。

液体クロマトグラフのオートサンプラーに試料瓶を並べる手元

分けて測るという点では、成分を移動の速さの差で分けるクロマトグラフィーの一種で、ガスクロマトグラフや液体クロマトグラフと同じ考え方の上にあります。高分子の構造と性質の関係は、紙おむつに使われる高吸水性ポリマーの解説も参考になります。

平均分子量のよくある質問

平均分子量と分子量は何が違いますか?

分子量は1種類の分子に決まる値で、平均分子量は混合物の中の分子量を物質量の割合で平均した値です。成分が1種類だけなら、平均分子量はその物質の分子量に一致します。

湿った空気は乾いた空気より軽いのですか?

はい、同じ温度と圧力なら湿った空気のほうが軽くなります。水蒸気の分子量は約18で空気の約29より小さく、水蒸気が混ざるほど平均分子量が下がるため、密度も小さくなります。

平均分子量に単位はありますか?

分子量は基準に対する比なので単位はありません。1 molあたりの質量(モル質量)として扱うときは g/mol を付け、空気なら約28.96 g/molのように、数字は分子量と変わりません。

重量平均分子量はなぜ数平均分子量より大きくなるのですか?

重量平均は重い鎖ほど大きな重みをつけて平均するため、長さの違う鎖が混ざっていると数平均より大きくなります。すべての鎖が同じ長さなら2つは一致し、分散度は1になります。

まとめ

この記事のまとめ
  • 平均分子量は、混合気体を1種類の気体とみなすための値で、「各成分のモル分率×分子量」の和で求める。質量%が分かっているときは 1/M=Σwi/Mi を使う
  • 空気は窒素と酸素だけの近似で28.8、アルゴンなどを含めた実際の組成で約28.96〜28.97になり、ふだんは約29として扱う
  • 平均分子量を使うと、質量から物質量、圧力、密度(ρ=PM/RT)までを1種類の気体として計算できる
  • 成分が2種類なら、平均分子量からモル分率が逆算でき、分圧はモル分率×全圧で求まる
  • 工場では、空気との比重で検知器や換気口の高さ、流量計の補正、排ガスの密度の計算に使う。高分子ではMn・Mwと分散度をGPCで測って品質を管理する

平均分子量は、混合気体の問題を解くための道具であると同時に、ガスがどこにたまり、流量計がどう読めるかを判断する現場の物差しでもあります。

LPGや都市ガスなど燃料の性質と合わせて読むなら気体燃料の種類と燃焼方式、LPGがどこから来るのかは原油の分留の解説が役に立ちます。

出典

出典・参考資料(11件)を開く出典・参考資料を閉じる

TOOLS & SERVICES

製造業で働く人の、仕事の道具・サービス紹介

これからの働き方、資格の勉強、打合せの記録。MONOSCOPE で紹介している3つです。

仕事の道具・サービス紹介をすべて見る ›

NEWSLETTER

品質保証・品質管理・化学・樹脂・ゴムの記事を、週1回まとめてメールで受け取る

週刊MONOSCOPEは、登録時に選んだ職種・業種に合わせた記事を週1回お届けする無料のメルマガです。

実際に届くメールの例を見る

件名:今週のあなた向け記事|週刊MONOSCOPE 10/9号
登録内容:品質保証・品質管理 × 食品・医薬・日用品

週刊MONOSCOPEの見本(品質保証・品質管理 × 食品・医薬・日用品)

職種3本・業種3本・製造業で働くすべての方へ2本・今週よく読まれた記事3本が届きます。記事は毎週入れ替わります。ほかの見本を見る

品質保証・品質管理を選んだ状態で登録へ ›

無料・週1回。登録後に届く確認メールのリンクを押すと登録が完了します。配信はメール内のリンクからいつでも停止できます。

WEEKLY NEWS

今週の製造業ニュース10選

メルマガは職種・業種に合わせた記事。LINEとnoteでは、全員共通の10本を毎週土曜の朝にお届けします。

LINEでニュース10選を受け取るnote今週のニュース10選をnoteで読む ›
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

MONOSCOPEの運営者

プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

▶ お仕事のご依頼はこちら

目次