フェランチ効果とは?電圧が上がる原理・ベクトルと防止対策

柵の外から見た変電設備のイメージ

フェランチ効果とは、交流の送配電線で、受電端の電圧が送電端の電圧より高くなる現象です。軽負荷・無負荷で、線路の静電容量による進み電流の影響が大きいときに現れます。

夜間や休日に工場の負荷を止めたのに、受電電圧が高くなることがあります。電流が減ったから安全と決める前に、ケーブルの充電電流と進相コンデンサの接続状態を見ることが大切です。

試験の暗記から一歩進んで、符号と計算の理由を追います。

目次

フェランチ効果とは

送電端は線路へ電気を送り出す側、受電端はその線路の先で電気を受け取る側です。フェランチ効果では、両端を同じ種類の電圧で比較すると、受電端の実効値が送電端の実効値を上回ります。

例えば、ある条件で送電端が8,000V、受電端が10,000Vとなれば、この大小関係に該当します。ただし、この数値は現象を説明する仮定であり、通常の上昇率や実在する設備の測定値ではありません。

電圧が上がっても、受電側で有効電力が増殖しているわけではありません。交流では電圧と電流の位相が異なり、線路のインダクタンスと静電容量にエネルギーの蓄積・放出が生じます。電圧の大きさだけでエネルギー収支は判断できません。

抵抗だけの回路なら、電流の向きに沿って電圧が下がる考え方で扱えます。交流の線路にはリアクタンスがあるため、電圧降下を位相を持つ量として加える必要があります。計算の入口は電圧降下の基本です。

フェランチ現象という呼び名も使われます。一般には長い交流線路やケーブル系統の軽負荷時に注目する現象ですが、需要家の進相コンデンサが過剰に残る配電線でも、同様の電圧上昇が問題になります。

定常状態の直流では、コンデンサに正弦波交流のような充電電流は流れません。そのため、ここで説明する商用周波数のフェランチ効果と直流設備の電圧変動は分けて扱います。直流にも投入時の過渡現象などはあります。

フェランチ効果の要因

要因を整理するには、線路の直列の抵抗・インダクタンスと、並列の静電容量を分けます。線路が負荷へ電流を運ぶ一方で、負荷が停止しても線路自身の静電容量を充放電する電流が流れます。

さらに工場には、モーターなどが必要とする遅れ無効電力を補う進相コンデンサがあります。線路の静電容量と力率改善用コンデンサは別の設備・性質ですが、どちらも交流に対して進み電流を生じる点は共通です。

図1は、一相分の単純化した回路です。実際の線路容量は全長に分布していますが、ここでは受電端へまとめて表します。線路容量を表すCと、任意に開閉できる進相コンデンサを同一視しないことが重要です。

図1:負荷電流がゼロでも、容量へ向かう電流は残る

一相の集中定数モデル。下側の共通線は相当回路の基準で、実設備の接地配線図ではありません。

VsRXLVrCIcIIa負荷

Cは説明用の等価容量。実線路は分布定数やπ形等価回路で扱い、負荷への枝と充電電流の枝を区別します。矢印は交流電流の正方向で、瞬時に常にこの向きへ流れる意味ではありません。

電圧と電流をベクトルで足す

受電端電圧を基準にすると、抵抗の電圧は線路電流と同相、誘導性リアクタンスの電圧は線路電流より90度進みます。この2つを受電端電圧へ加えたものが送電端電圧です。

旧来の一相直列回路での電圧関係(複素実効値)
V̇s = V̇r + Rİ + jXLİ
V̇r = V̇s − Rİ − jXLİ
İ = İa + İc
V̇s・V̇r:送受電端の相電圧[V] İ:線路電流[A] İa:負荷電流[A] İc:容量への電流[A] R:抵抗[Ω] XL:誘導性リアクタンス[Ω] j:虚数単位。

記号の上の点は、時間とともに変わる瞬時値ではなく、大きさと位相をまとめたフェーザを示します。jを掛ける操作は複素平面上で反時計回りに90度回すこと、−jを掛ける操作は時計回りに90度回すことに対応します。

例えば線路電流が上向きの進み電流なら、jを掛けた誘導性の電圧は左向きです。受電端電圧を右向きに描くと、その左向き成分によって送電端電圧の大きさが受電端より小さくなり得ます。

ただし、電圧の大きさを単純な実数の足し算にしてはいけません。Rがあると縦方向の成分も残ります。最終的に比較するのは送受電端の複素電圧の絶対値であり、横方向の成分だけではありません。

通常の遅れ負荷では、負荷電流は受電端電圧から遅れます。一方、容量の電流は進むため、線路電流は両者の合成で決まります。位相の読み方は遅れ力率と進み力率の違いと合わせると整理できます。

図2:進み電流を90度回すと、電圧の向きが反対になる

左は電流の合成、右は純容量電流の場合の電圧合成。左右の電流条件は異なり、電圧と電流は別尺度です。

電流の合成
Vr基準IcIaI+j:進み

I=Ia+Ic。Vrは位相の基準であり、電流と長さを比較しない。

純容量電流の電圧合成
VrjXL IVsVr + 左向き成分 = Vs

R=0、Ia=0、0<ωCXL<1。補助線で端点を対応させた電圧合成図。

負荷の電流が小さいとき

夜間、休日、設備停止時には、モーターなどが消費する有効電力と遅れ無効電力が減ります。ところが、交流電圧が印加されたままのケーブル容量や、切り離されていない進相コンデンサの電流は残ります。

負荷電流が容量電流より十分に大きい時間帯には、線路全体で遅れ電流が流れていても、負荷が減ると進み側へ移ります。したがって、同じ設備でも昼の状態だけを見た評価では夜間の電圧上昇を捉えられません。

ここでいう無負荷は、受電端の負荷がないことを表します。線路の静電容量がゼロになったわけではなく、送電端からは充電電流が供給されます。「無負荷だから線路電流もゼロ」と置くと、発生理由が消えてしまいます。

また、負荷を小さくすれば全ての系統で一定割合の電圧上昇が起きるわけではありません。抵抗、リアクタンス、容量、電源側の電圧制御、接続される調相設備の状態が組み合わさって、最終的な電圧が決まります。

工場で見るべき記録は、受電電圧と電流の値に加え、力率の進み・遅れ、有効電力、無効電力、コンデンサの投入段数です。力率の数値だけでは、同じ0.95でも進みか遅れかを区別できません。

負荷の停止時刻と電圧上昇の時刻が一致するかを見ると、原因調査の手掛かりになります。平日の昼夜だけでなく、長期休業や全停に近い運転日も記録に加えると、通常の操業では隠れる状態を把握しやすくなります。

送電線路の静電容量が大きい場合

同じ構造の線路なら、長くなるほど総静電容量が増えます。地中ケーブルは、導体と金属遮へい層の間隔が小さく、絶縁物が入っているため、一般に架空線路より大きい静電容量を持ちます。

理由を「土の中だから」とだけ覚えると、構造を取り違えます。金属遮へいを備えるケーブルでは、導体の周囲の絶縁体と近接した遮へい層が容量を形成します。架空線では空気中の導体間・対地の距離が大きくなります。

トレイに敷設された三本の電力ケーブル
電力ケーブルの敷設イメージ。容量の評価にはケーブルの仕様とこう長を使います。

容量は導体の寸法、絶縁体の誘電率、配置、長さなどに左右されます。架空線の何倍かという比率は比較条件で変わるため、計算では対象ケーブルのメーカー値と実際のこう長を使います。

図3:ケーブルは近い電極間に絶縁体が入る

電極と絶縁の位置関係の概念図。実製品の寸法や層構成をそのまま示すものではありません。

架空線のイメージ
導体距離大空気・大地

空気絶縁。対地・線間の距離が大きい。

遮へい付きケーブル断面
導体絶縁体金属遮へい

導体の近くを金属遮へいが囲み、間に絶縁体が入る。

容量は電極間隔だけでなく誘電率・寸法でも変わります。層の色は識別用で実物の規定色ではありません。

静電容量の基本はコンデンサと電界の関係と共通です。容量が大きいほど、同じ周波数・電圧に対して流れる充電電流が大きくなり、線路リアクタンスに生じる電圧の影響も大きくなります。

容量に流れる電流(一相分、正弦波定常状態)
XC = 1ωC  ω = 2πf
İc = V̇r−jXC = jωCV̇r
XC:容量性リアクタンスの大きさ[Ω] ω:角周波数[rad/s] f:周波数[Hz] C:等価容量[F]。受電端相電圧を実数の基準にすると、Icはそれより90度進みます。

同じ電圧でCを2倍にすれば、この式の充電電流も2倍です。ただし実際の送電系統では、電流が変わると電圧も変わります。電圧を一定とした比例関係と、線路全体を解いて得る結果を区別します。

三相回路では、線間電圧を相電圧と取り違えると計算が変わります。ここまでの一相回路は相電圧で表し、平衡三相の線間電圧からは√3で割って求めます。基礎は三相交流で整理できます。

受電端電圧の上昇を計算する

無負荷で、抵抗を無視した単純な集中定数モデルを考えます。線路電流が全て容量へ流れるなら、送電端電圧の式に容量電流を代入できます。jを2回掛けると−1になることが、電圧上昇の符号を生みます。

R=0・受電端へ全容量をまとめた説明用モデル
V̇s = V̇r + jXL(jωCV̇r)
V̇s = (1 − ωCXL)V̇r
VrVs = 11 − ωCXL
この比は0<ωCXL<1での同相の大きさの比較。分布定数線路の一般式や実線路の設計計算ではありません。分母がゼロへ近づく領域をこのモデルで外挿しません。

例として、送電端相電圧6,000V、周波数50Hz、受電端へまとめた容量5μF、線路リアクタンス20Ωを仮定します。これは演算を追うための条件で、特定のケーブルや標準的な線路定数ではありません。

仮定条件を代入した受電端相電圧
ωCXL = 2π × 50 × 5×10−6 × 20
= 0.031416
Vr = 60001 − 0.031416 ≒ 6195 V
上昇率 ≒ 3.24%
途中は丸めず計算。受電端容量電流は約9.73A、XLによる左向き電圧成分は約195V。送受電端は同じ相電圧で比較しています。

6,000Vへ容量電流を掛けて計算を打ち切ると、受電端電圧が上がることによる充電電流の増加が含まれません。上の式は、この説明用回路について電圧と電流を同時に満たす解を求めています。

実線路には抵抗があり、容量も途中に分布しています。π形回路や分布定数のモデルを使えば、送電端側にも充電電流が流れ、電流が線路全体で一定ではない点を表せます。集中容量の例を実線路の上昇量へ直結させないでください。

線路定数の一部だけを変えた比較は、原因の理解には役立ちます。しかし、距離を延ばす場合には容量だけでなく直列の抵抗・インダクタンスも変わります。総容量だけで電圧上昇を一意に予測することはできません。

抵抗を含む場合も、複素数のまま式を整理できます。負荷がなく、受電端へまとめた容量だけがあるモデルなら、送電端電圧は受電端電圧へ「1−ωCXL+jωCR」を掛けたものです。実数成分の減少と虚数成分の増加が同時に起こります。

この係数の絶対値が1より小さければ、同じモデルで受電端電圧の大きさが送電端より高くなります。したがって進み電流の存在だけを見て、あらゆる回路で必ず電圧が高くなると断定するのは不十分です。

計算問題でRを無視する条件が与えられたときは、虚数成分が消えるため図2のような一直線の合成になります。Rを無視できない実設備では、同じ一直線の図へ数値を押し込まず、系統の解析条件に従って複素電圧を求めます。

図4:6,000Vの送電端に対し、受電端は約6,195V

本文のR=0の仮定例。左向きの約195Vを加えると、送電端6,000Vになります。

Vr ≒ 6195VVs = 6000VjXL Ic ≒ −195V差を見やすくした概念図(非比例)

電圧の差を強調しているため矢印長は比例尺度ではありません。エネルギーが増える意味の図ではありません。

フェランチ効果の弊害

問題となるのは、電圧が機器の適用条件を超えたり、高い状態が継続したりすることです。絶縁に加わる電気的な負担が増え、絶縁劣化や機器寿命の低下につながるおそれがあります。

変圧器などの鉄心を持つ機器では、周波数に対して印加電圧が高くなると過励磁が問題になります。温度上昇や騒音などの変化にもつながるため、電圧だけでなく機器の定格・運転状態と合わせて判断します。

ただし「何%上がれば直ちに絶縁が壊れる」「寿命が何年短くなる」といった一律の結論は出せません。許容電圧、継続時間、絶縁設計、周囲環境、保護装置の条件が機器ごとに異なります。

電圧の上昇そのものは測定できても、その原因が全てフェランチ効果とは限りません。変圧器タップ、系統側の電圧設定、分散電源の逆潮流などでも受電地点の電圧は変わります。原因を特定せずに調相設備を増減すると、別の時間帯に問題を移すことがあります。

現場で記録を比べる順序

まず、同じ時刻の電圧と負荷をそろえます。受電点と変圧器二次側を混ぜたり、異なる時刻の最大値同士を比較したりすると、線路による上昇か、変圧比や運転状態の差なのかが分からなくなります。

次に、測定値が線間電圧か相電圧か、実効値か瞬時ピークか、計器用変圧器の比率を反映した表示かを確認します。表示の尺度が違うものをそのまま並べると、実際にはない電圧上昇を見たことになります。

その上で、負荷停止とコンデンサの開閉履歴を重ねます。進み無効電力が増えた時刻に電圧が高くなり、適切なコンデンサの切離しで変化するなら、容量の影響を検討する材料になります。記録の相関だけで最終診断はしません。

高圧設備へ近づいて計器を追加する作業は、通常の運転データを読むこととは別です。キュービクル内の機器と管理を踏まえ、電気主任技術者など管理担当者の手順と作業範囲に従います。

既設の監視記録で不足する場合は、計測点、期間、記録間隔、必要な力率や無効電力の情報を整理して相談します。無計画に瞬時値を1回測るより、夜間や休日を含む変化の記録が原因調査に役立ちます。

記録の例として、操業中、休憩中、終業後、休日の4状態を分ける方法があります。それぞれの電圧、電流、有効・無効電力、コンデンサ段数、系統の接続状態を1行にまとめれば、負荷量だけでは説明できない差を探しやすくなります。

計器の無効電力には、進みをマイナスとする表示と、進み・遅れを別表示する方式があります。符号の意味を取扱説明書で確認せず、別の計器のプラス・マイナスと比較しないことが大切です。記録表には符号の定義も添えます。

異常が特定の相だけに出る場合には、平衡三相を前提とした一相モデルだけでは説明が足りません。電圧の不平衡、計測系の異常、接続状態などを含む調査が必要になります。三相の平均値だけで各相の状態を見落とさないようにします。

フェランチ効果の対策

対策の基本は、過剰な容量性の影響を減らすか、誘導性の無効電力で補償することです。需要家で行う進相コンデンサの運用と、送配電系統で行う分路リアクトルなどの電圧・無効電力制御を分けて考えます。

電力系統では、発電機の励磁、変圧器タップ、調相設備などが協調して電圧を保ちます。工場の一地点で電圧を下げることだけを目的に、系統全体の設備を任意に操作できるわけではありません。

電力用コンデンサの開放

負荷の遅れ無効電力に合わせて接続していたコンデンサが、負荷停止後にも残ると進み過補償になります。夜間や休日の運転に合わせ、不要なコンデンサを切り離すことが対策の一つです。

この操作で減らせるのは、開閉可能な力率改善用コンデンサの容量です。ケーブル自身の静電容量をコンデンサの開放操作で取り除けるわけではありません。線路容量が支配的なら、別の系統対策が必要になります。

負荷に応じて投入段数を調整する自動力率調整は、昼夜の変化に対応する手段です。検出する電流・電圧の位置や進み遅れの判定、最小の1段容量が適切でなければ、意図した補償になりません。

設備を増設・撤去した後も、コンデンサ容量が以前の負荷に合わせたまま残ることがあります。受電設備の単線結線図と実際の投入状態を照合し、運転時間帯ごとの必要量を見直します。詳細は進相コンデンサの役割と入れすぎの注意につながります。

開放後のコンデンサには電荷が残り、すぐに安全な状態になるとはいえません。短時間の再投入には残留電圧や突入電流の問題もあるため、機器指定の放電・再投入条件、適切な開閉器、保護・操作手順を守ります。

電圧が少し動くたびに投入と開放を繰り返す制御も避ける必要があります。制御の不感帯や待機時間は設備に合わせて設計する項目であり、本記事の計算例から操作設定値を決めるものではありません。

また、負荷停止に連動した一括開放が適する設備と、段階制御を必要とする設備では、運転の考え方が変わります。停止する負荷と残る負荷、常時必要な補償、制御電源の状態を整理してから、設計担当者と管理担当者が操作条件を決めます。

対策後は、軽負荷時の最大電圧だけでなく、操業時の電圧低下と力率も再測定します。夜間だけを改善して昼の負荷に必要な補償を失うと、電流や線路損失が増えることがあります。時間帯ごとの両方の状態が運用評価の対象です。

分路リアクトルの接続

分路リアクトルは、線路や母線へ並列に接続する誘導性の調相設備です。電圧に対して遅れる電流を流し、線路容量などによる進み側の無効電力を補償して、電圧上昇を抑えるために使います。

「分路」は並列の枝を意味します。負荷へ向かう線路の途中へ直列にコイルを挟むこととは異なります。進相コンデンサ回路の直列リアクトルも、接続位置と目的が違うため、名前が似ていても置き換えられません。

図5:切り離す容量と、並列に加えるリアクトル

対策を示す一相相当の概念図。実際の三相結線・保護・開閉回路は省略しています。

過剰なコンデンサを開放
受電母線開放進相C

開閉できる設備容量を減らす。ケーブル容量は残る。

分路リアクトルを接続
受電母線接続分路L遅れ電流

容量と反対の無効電流を並列の枝に流す。

下側の線は一相相当回路の基準です。電流矢印は正方向で、位相の遅れを空間の向きで示すものではありません。機器寸法・容量は比例尺度ではありません。

電圧に応じて段階的に開閉する方式や、可変容量のリアクトルを使う方式があります。設備の容量は、進み無効電力の量と許容する電圧変化、電源系統の強さなどを考慮して選びます。

補償し過ぎれば、別の時間帯に遅れ側の無効電力が大きくなることがあります。重負荷時と軽負荷時を分けて計算し、既存の電圧調整設備との協調も評価します。

変圧器のタップを変えて二次電圧を調整する方法は、変圧比を通じて電圧へ直接働きかけます。一方、分路リアクトルは無効電力の流れを変えて線路の電圧関係を調整します。同じ「電圧を下げる」対策でも、作用する場所と原因への働き方が異なります。

静止形無効電力補償装置など、変化する負荷へ連続的に対応する設備もあります。単純なコンデンサの入切だけでは運転範囲を満たせない場合の選択肢ですが、必要な応答や容量を系統解析で評価するため、一般記事の例から形式を指定するものではありません。

リアクトルは理想的な無効電力の素子だけでなく、損失や発熱を伴う実機です。容量を合わせる計算だけでなく、定格、絶縁、設置条件、騒音、保護、開閉時の現象を含む設備計画として扱います。

充電無効電力と補償容量を区別する

平衡三相で、各相の対地等価容量をC、線間電圧をVとすると、容量による三相の無効電力の大きさはωCV²です。各相電圧で計算する場合の3倍と、線間電圧の√3の関係が打ち消し合います。

平衡三相の容量性無効電力の大きさ
QC = 3ωC(V√3)2 = ωCV2
= 2π × 50 × 5×10−6 × 66002
≒ 68.4 kvar
QC:三相合計の容量性無効電力の大きさ[var] V:線間電圧[V] C:一相の対地等価容量[F]。50Hz、6.6kV、各相5μFは別の仮定例です。Δ結線の各素子容量をCへそのまま入れません。

この68.4kvarは、仮定した電圧で容量が生む無効電力の量を示します。だからといって、同じ容量のリアクトルを実設備へ直ちに追加する結論にはなりません。負荷自身の遅れ分と、線路・電源側の条件を含めて必要量を決めます。

コンデンサの無効電力は電圧の2乗に比例します。定格電圧と実際の運転電圧が違えば、表示容量と運転時の無効電力も異なります。銘板のkvarを集計するときには、定格電圧と周波数をそろえることが大切です。

例えば相電圧を線間電圧と誤認して3倍を重ねると、必要補償量を大きく見積もります。単位をμFからFへ直し、電圧をVで代入し、最後にvarをkvarへ換算する順序で書けば、桁の誤りを減らせます。

無効電力の容量と、電圧上昇率は異なる量です。同じ68.4kvarでも、接続する系統のインピーダンスが違えば電圧への影響が変わります。kvarの大きさだけから上昇電圧を何Vと換算せず、線路と電源を含む回路へ戻って計算します。

一方、ケーブルの容量電流を負荷電流へ単純に算術加算するのも誤りです。進み・遅れの成分が互いに打ち消す場合があるため、複素電流として合成します。負荷の有効電力が小さくても電流が残る理由と、力率改善で電流が減る理由を同じ考え方で説明できます。

電験の問題では、現象の条件、進み電流、分路リアクトルの働きを一つの流れで結び付けると覚えやすくなります。数式の符号で迷う場合は、電験三種の数学・理論のつまずきの整理から複素数とベクトルを復習する方法もあります。

フェランチ効果のよくある質問

フェランチ効果はなぜ無負荷で起こるのですか?

負荷がなくても線路の静電容量へ充電電流が流れるためです。進み電流が線路の誘導性リアクタンスを流れると、電圧合成の結果として受電端電圧が高くなります。無負荷と線路電流ゼロは同じ意味ではありません。

地中ケーブルは架空線より発生しやすいのですか?

一般にケーブルは静電容量が大きいため、軽負荷時の電圧上昇が重要になります。導体と遮へい層の距離や絶縁体の誘電率が容量に関わります。実際の上昇量は、容量に加えて線路と電源の条件で決まります。

コンデンサを増やせば防止できますか?

過剰な容量性の影響で上昇している場合、コンデンサの追加は逆方向の対策です。不要な進相コンデンサの開放や、分路リアクトルによる補償を検討します。電圧上昇の原因と進み・遅れの状態を先に調べます。

電圧が上がるのに、電力は増えないのですか?

有効電力は電圧だけでなく電流と位相関係でも決まります。無負荷の理想回路では有効電力の負荷がない一方、容量とインダクタンスに交流のエネルギーの往復があります。電圧の上昇を発電量の増加と読み替えません。

電圧が高ければ全てフェランチ効果ですか?

電圧上昇には、変圧器タップや電源側の設定など複数の原因があります。送受電端の比較、負荷・無効電力の時間変化、コンデンサの状態をそろえて調べます。開閉サージのような短い過渡現象も定常的な上昇と分けます。

まとめ

この記事のまとめ
  • フェランチ効果は交流の受電端電圧が送電端電圧を上回る現象
  • 軽負荷・無負荷で、線路容量や進相コンデンサの進み電流が目立つときに生じやすい
  • 長い線路や静電容量の大きいケーブルでは充電電流の影響が重要
  • 高電圧の継続は絶縁や過励磁など機器の運転条件に関わる
  • 不要なコンデンサの開放と分路リアクトルの並列接続が主な対策

現象の理解では、容量の電流が進むことと、jを掛けた線路電圧の向きを順に追います。現場では同じ時刻・同じ尺度の電圧と負荷記録をそろえ、管理担当者が系統条件に合わせて対策を検討します。

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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