給水加熱器とは?低圧・高圧の違いと再生サイクル、抽気量の計算

発電設備の建屋に設置された横置きの熱交換器

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給水加熱器は、蒸気タービンから取り出した抽気で、ボイラーへ戻る給水を温める熱交換器です。給水の温度を段階的に上げ、ボイラーで燃料から与える熱を減らす役割があります。

低圧と高圧の違いは、主に給水ポンプの前後と給水側の圧力で整理できます。抽気の圧力、水位、ドレンの行き先まで追うと、系統図と現場の機器がつながります。

ここでは設置位置と構造に加え、抽気量の計算、性能を示す温度差、導入費用と保守を解説します。再生サイクルの効率と、加熱器単体の熱収支を分けて考えることがポイントです。

動画の補足:給水の出口温度は、過熱低減部を持つ構造では抽気の飽和温度を超える場合があります。本文では凝縮域と過熱低減域を分けて、温度差の指標と合わせて説明します。

蒸気タービンの抽気と給水加熱器を含む発電サイクルの系統図
目次

給水加熱器とは

給水加熱器では、タービンで膨張している途中の蒸気を取り出し、その熱を給水へ渡します。このようにサイクル内部の熱を給水へ戻す構成を、再生サイクルと呼びます。

復水器を出た水は、ボイラーへ戻るまでに圧力と温度を上げる必要があります。ポンプは主に圧力を上げ、給水加熱器は抽気の熱によって温度を上げるという役割分担です。

抽気は、タービンを出て復水器へ向かう排気とは、取り出す位置も圧力も異なります。取り出した蒸気の利用先や出力との関係は、抽気復水タービンの仕組みで整理しています。

代表的な閉鎖形の加熱器は、胴と伝熱管を持つシェル&チューブ型の熱交換器です。給水が管の内側を流れ、抽気蒸気が胴側で凝縮しながら、管壁を通して熱を渡します。

閉鎖形では、給水と蒸気の流路を伝熱管で分け、通常は両者を混ぜずに加熱します。加熱に使った蒸気はドレンとなり、別の加熱器や脱気器などへ回収されます。

一方、給水系統にある脱気器は、蒸気と水を直接接触させる加熱器としても働きます。水を温めるだけでなく溶存ガスを除くため、閉鎖形の給水加熱器とは構造と目的を分けて読みます。

脱気器の構造と脱気の原理では、蒸気との接触とガスの排出を組み合わせます。単に温度を上げればガスの処理が完了する、という理解にはしないことが大切です。

給水加熱器の設置位置(給水の流れ)

代表的な流れは、復水器、復水ポンプ、低圧給水加熱器、脱気器、給水ポンプ、高圧給水加熱器、ボイラーの順です。実際の設備では複数段の加熱器を置き、抽気を段階的に使います。

低圧給水加熱器は、一般に脱気器より上流の復水系統に設ける加熱器です。高圧給水加熱器は、給水ポンプの下流で、ボイラーへ向かう高い圧力の給水を加熱します。

この低圧・高圧は、抽気側の圧力だけを比べた名称として読むと混乱します。図面では給水の流れを先に追い、各加熱器の管側と胴側の設計圧力を別々に確認します。

図1:給水は低温側から、抽気は各段の加熱器へ向かう

青が水の流れ、橙が抽気です。ドレン系統は図5で別に示します。

蒸気タービン(高圧側 → 低圧側)高圧抽気脱気用抽気低圧抽気ボイラーへ戻る高圧加熱器給水ポンプ脱気器低圧加熱器復水器復水ポンプ給水の流れは右から左:段階的に温度を上げる

構成を絞った模式図です。実機の段数、配管位置、抽気点とポンプの配置は設備ごとに異なります。

同じ加熱器でも、管側の給水圧力と胴側の抽気圧力は一致しません。高圧の水を低い圧力の蒸気で加熱できるのは、管壁が流体を分け、温度差によって熱が移るためです。

流れを追うときは、まず復水器からボイラーまでの主な給水配管を一本につなぎます。その後で抽気配管、ドレン配管、ベント配管を書き足すと、それぞれの役割を取り違えにくくなります。

復水器はタービン排気を凝縮させ、給水加熱器は戻り水を温める機器という違いがあります。どちらも蒸気の凝縮を扱いますが、復水器の真空と冷却の仕組みとは、系統上の目的を分けて理解します。

閉鎖形の内部で起こること

抽気蒸気が伝熱管の外面に触れると、熱を給水へ渡して凝縮水になります。蒸気が凝縮するときの熱を利用できるため、蒸気の温度変化だけで加熱量を計算することはできません。

管内の水は入口から水室へ入り、伝熱管を通って出口の水室へ戻る構造が使われます。U字管形では一つの管板側に入口と出口をまとめられますが、すべての加熱器が同じ管配置とは限りません。

図2:閉鎖形では、管の内側と胴側の流体を分ける

U字管形の概念断面です。下側の給水入口から入り、U字管を折り返して上側の出口へ戻ります。

給水出口給水入口胴側へ抽気ドレン出口蒸気が管の外面で凝縮水室管板U字伝熱管

流路の説明のため、管本数・仕切り・支持板を簡略化しています。過熱低減部やドレン冷却部は省略しています。

加熱器には、蒸気の過熱を下げる部分、蒸気を凝縮させる部分、ドレンを冷やす部分を設ける構成があります。各部分の役割が違うため、水位や汚れの影響が出口温度にどう現れるかも変わります。

過熱低減部では抽気の過熱分を、凝縮部では主に凝縮に伴う熱を利用します。ドレン冷却部では、排出する凝縮水からさらに熱を回収し、下流へ持ち出す熱を少なくします。

給水出口温度の上限を考える際も、この区域の違いが重要です。過熱低減部で過熱蒸気の熱を利用する構造では、出口温度が胴側圧力に対応する飽和温度を上回る場合があります。

一方、単純な凝縮域では蒸気の飽和温度と給水温度の差が、熱を渡す駆動力になります。伝熱面積や汚れを含む基礎は、熱交換器の種類と原理から確認できます。

給水加熱器のメリット

主なメリットは、給水を予熱することでボイラーに必要な熱投入を減らし、サイクルの熱効率を高められることです。復水器の低い温度からすべてを燃料で加熱する場合と比べ、熱の使い方が変わります。

再生サイクルでは、ボイラーで熱を加える平均的な温度を高くする効果があります。低温の給水を温める過程の一部を抽気で受け持つため、外部から与える熱の配分を変えられます。

ただし抽気を取り出すと、その蒸気がタービンの後段で行うはずだった仕事は減ります。燃料の節約だけを足し上げて発電量も増えると考えず、熱投入と正味仕事の両方から効率を比べます。

熱効率は、サイクルが受け取る熱に対する正味仕事の割合で評価します。ランキンサイクルの計算を基準に、抽気による流量の分岐とポンプ仕事を加えると、再生の意味が明確になります。

そのため、抽気量を増やせば増やすほど効率が良くなるとは限りません。抽気圧力や加熱器の段数、各段の温度上昇を組み合わせ、タービンとボイラーを含めて計画します。

給水温度が高くなると、ボイラーの伝熱部へ入る水の状態も変わります。設計上の給水条件を保つことは重要ですが、温度の変化を小さくする効果とサイクル効率の改善は、別の項目として確認します。

低圧給水加熱器で脱気器へ入る水を予熱すると、脱気器で必要となる加熱蒸気を減らせます。ドレンも系統内へ回収して水と熱を再利用しますが、各段の抽気量の変化は全体の熱収支で評価します。

抽気量は熱収支から求める

加熱器単体の計算では、給水が受け取る熱と、抽気がドレンになるまでに失う熱を対応させます。流体の熱を圧力と温度に対応するエンタルピーで表すと、凝縮を含む計算ができます。

例えば給水流量を10kg/s、入口と出口のエンタルピーを250、450kJ/kgと仮定します。給水1kgが受け取る熱は200kJなので、毎秒の加熱量は2,000kJ/s、すなわち2,000kWです。

さらに抽気の入口を2,800kJ/kg、排出ドレンを600kJ/kgと仮定します。抽気1kgが渡せる熱は2,200kJとなり、必要な抽気流量は2,000を2,200で割って求められます。

図3:給水が受ける熱を、抽気1kgが渡せる熱で割る

外部からのドレン流入と放熱を無視した、閉鎖形加熱器一台の教材条件です。

① 給水側で必要な加熱量

Q = mw(hout − hin)
Q = 10 ×(450 − 250)= 2,000 kW

② 抽気から受け取る熱と一致させる

ms = Qhs − hd
= 2,0002,800 − 600
= 約0.909 kg/s

Q:加熱量[kW] mw:給水流量[kg/s] ms:抽気流量[kg/s] hin・hout:給水入口・出口の比エンタルピー[kJ/kg] hs・hd:抽気入口・ドレン出口の比エンタルピー[kJ/kg]。数値は計算法の説明用で、特定の運転圧力を指定するものではありません。

この例では給水流量に対して約9.09%の抽気流量ですが、タービン主蒸気量に対する抽気率とは限りません。別の抽気や補給水、ドレンの混入があると、比較する基準流量が変わります。

加熱量2,000kWは給水へ移った熱の大きさで、発電出力の増加量ではありません。タービンの仕事減少やポンプ動力を差し引く評価は、サイクル全体の計算で行います。

実際のエンタルピーは、各点の圧力や温度、蒸気の状態に合わせて蒸気表から選びます。温度差に比熱を掛ける概算との使い分けは、エンタルピーと熱量の考え方で確認できます。

高い圧力の加熱器からドレンが流入する場合、その流入も熱収支の入口に加えます。給水が受ける熱のすべてを新たな抽気から受けたと仮定すると、必要な抽気量を過大に見積もる場合があります。

計算書では、先に加熱器を囲む境界を描き、その境界を通る流れを一覧にします。抽気と給水だけの簡単な式を使える条件か、カスケードドレンやベントも含める必要があるかを判断します。

エコノマイザとの違い

給水加熱器とエコノマイザは、どちらもボイラーへ入る水を温めますが、熱源が異なります。給水加熱器は主にタービンの抽気を、エコノマイザはボイラーの排ガスの熱を利用します。

したがって給水加熱器を増設した効果は、ボイラーの排ガス条件とも合わせて評価します。すでに高温の給水を受けるエコノマイザの熱回収がどう変わるかまで含め、設備全体で熱の行き先を追います。

同じ名称の予熱設備でも、外部の蒸気や廃熱で水を温める構成はあります。その場合は熱源と評価の境界を明記し、タービン抽気を用いた再生サイクルの説明と区別すると伝わります。

給水加熱器のデメリット

給水加熱器を設けると、熱を回収する設備に加えて、抽気とドレンを管理する設備が増えます。導入時には本体価格だけでなく、ポンプ、弁、計装、保守空間まで含む比較が必要です。

設備規模が小さいから一律に不利、大きいから必ず有利とは判断できません。運転時間や負荷の変動、燃料価格、既存配管の条件によって、回収できる利益と費用の関係が変わります。

コストが上がる

初期費用には、加熱器本体、架台、基礎、保温、抽気配管、ドレン配管などが含まれます。圧力条件に合う弁や計器に加え、運転保護を実装する制御設備も見積もる必要があります。

既設設備への追加では、停止工事の期間と、既存の機器へ接続する工事も費用になります。燃料費の削減だけを年間利益にせず、点検費や補機動力、稼働できない期間の影響も計上します。

比較の基準は、同じ発電量を得るための燃料、または同じ燃料投入に対する正味出力などにそろえます。負荷や外気条件が違う運転実績をそのまま比べると、加熱器の効果を取り違えます。

段数を増やすと抽気を細かく使えますが、伝熱面積や配管、計器も増えます。追加の一段による改善量と、そのために増える建設費・保守費を比較することが導入判断の基本です。

給水側の圧力損失が上がる

給水が加熱器の管や水室を通ると、摩擦や流れの曲がりによって圧力が下がります。その分の圧力を確保するには、配管を含む系統の必要揚程をポンプ選定に織り込む必要があります。

圧力損失は定格流量だけでなく、最大流量や想定する運転範囲でも確認します。汚れや閉塞による変化を把握するため、健全時の入口・出口圧力と流量を基準として残すと役立ちます。

圧力が高い機器だから圧力損失も必ず大きい、という関係ではありません。管径、管本数、流路長、パス数などによって、必要な耐圧と流れの抵抗は別々に決まります。

管内の流速を下げれば圧力損失を抑えやすくなりますが、必要な伝熱性能や機器寸法との調整が生じます。ポンプ効率と動力の関係を踏まえ、伝熱と送水の費用を一緒に比較します。

運転中に差圧が増えても、流量が同時に増えたなら汚れだけが原因とはいえません。同じ流量帯での傾向や温度、水質の記録を合わせ、洗浄や点検の必要性を判断します。

設置スペースが増える

設置計画では、本体が収まる床面積に加え、点検と分解に使う空間を確保します。水室を開ける方向、伝熱管を点検する位置、機種によって必要な引き抜き空間が検討項目です。

水室を開放した熱交換器の管板と伝熱管の開口部
熱交換器の開放点検をイメージした生成写真

機器の周囲へ弁や配管を詰め込むと、通常点検はできても大規模な補修が難しくなります。足場、吊り上げ、部品の搬出経路まで、メーカーの保守要領と建屋の条件を重ねて確認します。

水平形と垂直形では、占有面積だけでなく、支持方法や上部空間の条件も変わります。ドレンを下流へ流すための高さや配管抵抗も関係するため、空いた場所へ単純に置ける設備ではありません。

図4:温度の測定位置をそろえてTTDとDCAを読む

凝縮温度180℃、給水140→175℃、ドレン出口145℃を仮定した温度の位置図です。

温度[℃]胴側圧力に対応する飽和温度 180℃給水入口 140℃給水出口 175℃ドレン出口 145℃DCA=145−140=5KTTD=180−175=5K給水の温度上昇位置関係の説明図。横軸は実際の伝熱面積を表しません。

TTD=胴側の飽和温度−給水出口温度、DCA=ドレン出口温度−給水入口温度。過熱低減部を持つ加熱器ではTTDが負となる場合があります。

性能は出口温度だけで判断しない

給水出口温度が下がったとき、すぐに伝熱管の汚れと決めることはできません。抽気圧力や給水流量、給水入口温度が変わると、加熱器が健全でも出口温度は変わります。

そこで性能の指標として、TTDとDCAという二つの温度差を使います。TTDは胴側圧力に対応する飽和温度から給水出口温度を引き、DCAはドレン出口温度から給水入口温度を引きます。

図4ではTTDとDCAがどちらも5Kですが、これは定義を示すための仮定です。すべての加熱器の合格値を5Kとするのではなく、設計値や保証条件、同じ負荷での健全時の実績と比較します。

TTDが悪化する場合は、伝熱面の汚れだけでなく、水位の上昇や非凝縮性ガスの滞留なども候補になります。抽気圧力の測定位置や温度計の誤差も確認し、複数の記録から原因を絞ります。

DCAはドレン冷却部の働きを見る手掛かりですが、その部分を持たない構造へ同じ基準を当てはめられません。過熱低減部の有無も含め、図面に示された構造と指標の意味を対応させます。

温度差の評価では、測定値と設計条件との差を追います。抽気、給水、ドレンの流れを併せて記録すると、温度差が変化した条件を特定しやすくなります。

日々の記録は、負荷、給水流量、各温度、胴側圧力、水位を同じ時刻でそろえると比較しやすくなります。単一の警報履歴だけでなく、負荷変化の前後を含む傾向を見ることが効果的です。

ドレン回収と水位管理

高圧側の加熱器で生じたドレンを、圧力の低い加熱器へ順次送る構成をカスケードと呼びます。回収したドレンの熱を下流でも利用できる一方、圧力差と流れの制御が必要になります。

圧力の高いドレンが低圧側へ入ると、一部が再蒸発する場合があります。配管や弁の選定では、液だけが流れると仮定せず、フラッシュ蒸気を含む流れの条件を確認します。

胴内の水位が高すぎると、蒸気で加熱するはずの伝熱面が水に覆われ、性能が変化します。さらに異常時には抽気系統への水の逆流が問題となるため、所定の警報と保護が重要です。

一方、水位が低すぎると、ドレン冷却部へ蒸気が入り、設計した冷却ができなくなることがあります。正常水位は構造に合わせて定めるもので、どの機器にも使える一律の高さではありません。

図5:通常ドレンと異常時の排出先を分けて確認する

隣接する加熱器間で、胴側圧力の高い側から低い側へ回収する例です。非常排出先や保護動作は設備の設計で決まります。

上流:胴側圧力が高い正常水位を制御下流:胴側圧力が低いドレンの熱も利用LC水位信号で弁を調整設計された非常排出先非常ドレン(通常とは別経路の例)抽気・給水・ベント系統と保護回路は省略

LCは水位調節機能です。非常弁の開条件、給水バイパス、抽気遮断などの連動は、この模式図だけで決定できません。

伝熱管から高圧の給水が胴側へ漏れると、ドレン量が増え、水位が急に上がる原因になります。高水位の原因は漏れだけでなく、ドレン弁や排出経路の異常もあるため、設計された保護に従います。

運転担当者が確認する項目は、水位計の指示と信号の一致、弁の応答、下流の圧力条件などです。運転中に任意の水位へ変更して試すのではなく、設備の手順で定めた方法と時期に点検します。

ベントには非凝縮性ガスを排出する役割があり、ドレンとは別に流路を確認します。ガスが伝熱面付近へたまると熱の受け渡しを妨げるため、単に配管から蒸気が出る損失として扱わないことが重要です。

水位の異常、出口温度の低下、差圧の変化は、互いに関連して現れる場合があります。現象を一つずつ切り離さず、どの流路や制御の変化から始まったかを時系列で追うと、点検箇所を整理できます。

導入・更新時にそろえる仕様

機器を比較するときは、同じ入口条件と必要な出口条件を渡して見積もります。給水の流量と圧力、抽気の状態、流入ドレンの条件が違えば、必要な面積や材料、弁容量も変わります。

定格点だけで性能が合っていても、起動や低負荷時にドレンを流せるとは限りません。運転範囲と起動停止の条件を提示し、抽気圧力が下がる場面での回収方法も確認します。

図6:価格の比較前に、熱・圧力・保守の条件をそろえる

仕様書と見積もりの差が出やすい項目を、確認する成果物まで対応させます。

比較する項目 そろえる条件 確認する資料
加熱性能 給水流量・入口状態・抽気状態・流入ドレン 熱収支、保証点、運転範囲
ポンプ動力 給水側の許容圧力損失と最大流量 圧損計算、系統の揚程計画
耐圧と材料 管側・胴側それぞれの設計条件と水質 機器仕様、材料表、検査要領
水位・ドレン 通常回収先、低負荷時、異常時の流路 系統図、制御説明、保護条件
保守と工事 開放方向、吊り上げ、搬出経路、停止期間 配置図、保守要領、工事範囲

価格の一例を一般化せず、性能保証と工事・保守の範囲を合わせた総費用で比較します。

運転開始後の性能確認方法も、導入時に決めておくと評価がぶれにくくなります。測定する圧力と温度の位置、流量計の条件、性能を比較する負荷帯を、試運転記録に残します。

更新前後の出口温度だけで改善を示すより、同じ条件に補正した熱量や温度差を比べる方が有効です。測定器を更新した場合には、その差が機器性能の変化へ混ざらないように整理します。

点検記録を原因の切り分けへ使う

例えば出口温度が下がり、同時に抽気圧力も下がっている場合は、熱源側の変化を先に確認します。胴側の飽和温度が低くなっていれば、以前と同じ出口温度まで加熱する条件自体が変わっています。

一方、抽気圧力と給水流量がほぼ同じなのにTTDが大きくなった場合は、伝熱の変化を調べる手掛かりになります。水位とベントの状態を合わせて見てから、汚れや管の閉塞などの候補へ進みます。

温度を比べる際には、計器の表示が現在の流体温度をどの程度の遅れで示すかも考慮します。負荷が大きく変わった直後の値と、落ち着いた定常状態の値を同じ条件として並べないようにします。

記録票へ測定時刻と負荷を入れ、圧力から求めた飽和温度も併記すると、TTDの変化を追いやすくなります。温度計だけを見ていた記録に圧力を加えることで、熱源と伝熱の問題を区別できます。

給水側の差圧が増えて温度上昇も小さくなった場合は、管内の汚れや流路の変化を疑う材料になります。ただし複数の兆候がそろっても原因の確定ではなく、点検結果や水質の履歴で裏付けます。

管の漏れが疑われる場合には、給水側と胴側の圧力差、水位、ドレン流量の変化を対応させます。圧力条件によって漏れる向きが変わるため、停止中と運転中の現象を同じ向きで説明しないことも必要です。

補修計画では、使用材料や管の肉厚、損傷位置を確認し、漏れた管への処置だけで終えないようにします。同じ場所に損傷が集中していれば、流れによる振動や支持の状態など、再発の要因を調べます。

水質管理も伝熱面の健全性に関わるため、給水やドレンの分析結果を保全記録へ結び付けます。材料に対して不適切な処理条件がないかを確認し、一般的な水質の目安だけで薬品処理を変更しないようにします。

開放点検では、高温の水や残圧を扱うことになるため、停止と隔離、排出、冷却の条件を作業手順で確認します。給水側だけでなく、抽気とドレンなど接続する各系統を対象として、残るエネルギーを管理します。

性能試験と機械的な点検は、得られる情報が異なるため組み合わせて使います。出口温度が良好でも管の健全性まで保証するわけではなく、耐圧部分の点検は所定の検査計画に沿って行います。

運転条件、性能指標、点検所見、補修内容は一つの履歴として残します。次回の更新で伝熱面積や保守構造を検討するときも、この記録が実設備に合う仕様の根拠になります。

給水加熱器のよくある質問

低圧と高圧は何の圧力で分けますか?

一般には給水側の圧力で区分し、低圧側は脱気器の上流、高圧側は給水ポンプの下流に置きます。胴側の抽気圧力と管側の給水圧力は別なので、仕様書でもそれぞれを確認します。

抽気を取るのに、なぜ効率が上がるのですか?

抽気によってタービン後段の仕事は減りますが、給水の予熱によりボイラーへ与える熱も減ります。正味仕事を熱投入で割った効率が改善するよう、抽気点と加熱の段数を設計します。

脱気器も給水加熱器の一種ですか?

再生サイクルでは、直接接触式の給水加熱器として扱うことができます。脱気器は蒸気と水を接触させて温め、溶存ガスを排出するため、閉鎖形の加熱器とは流体の混ざり方が異なります。

給水出口は抽気の飽和温度を超えませんか?

凝縮域だけの説明と、過熱低減部を含む加熱器全体の説明を分ける必要があります。過熱低減部で抽気の過熱分も利用する構造では、給水出口が胴側圧力に対応する飽和温度を超える場合があります。

TTDとDCAは小さいほど正常ですか?

数値の大小だけで正常を決めず、構造と設計条件、同じ運転条件での基準値に対して評価します。特にTTDは過熱低減部の有無で意味が変わり、負の値になる設計もあります。

加熱器を停止すれば、そのまま運転できますか?

運転を続けられる範囲は、給水バイパスや抽気遮断の構成、ボイラーの給水温度条件などで決まります。加熱器がない状態の許容負荷と保護手順を、設備の運転要領で確認します。

まとめ

この記事のまとめ
  • 給水加熱器はタービン抽気で給水を温める熱交換器
  • 低圧・高圧は給水の圧力とポンプ前後の流れで整理する
  • 抽気の仕事減少とボイラー熱投入の減少を合わせて評価する
  • 抽気量は給水・蒸気・ドレンを含む熱収支で求める
  • 温度差、水位、ドレン回収、圧損と保守空間まで確認する

給水加熱器は、機器単体の温度を上げる働きと、発電サイクル全体の熱の使い方を結ぶ設備です。まず給水・抽気・ドレンの三つの流れを追い、その後で熱収支と運転の記録を重ねると、性能と不具合を説明しやすくなります。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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