任天堂中間決算2026|減収でも営業益49%増の理由とSwitch 2の現在地

携帯型の電子機器に使われる小型の電子基板とメモリチップ

任天堂の2026年4〜9月期は、売上高が前年同期より12.1%少ない9,660億円だったのに、営業利益は49.1%多い2,165億円でした。2026年11月5日に発表した2027年3月期の中間決算(日本基準・連結)で、営業利益率は13.2%から22.4%へ上がっています。

会社が挙げた理由は、ソフトの売上に占める割合が上がったことと、売上原価に入れていた米国の関税が約3億ドル還付されたことです。新型ゲーム機Nintendo Switch 2の本体は前年同期の1,036万台から649万台に減りましたが、ソフトの本数は増え、円安も追い風になりました。

目次

任天堂中間決算の主な数字(2026年4〜9月)

グラフが印刷された資料と電卓が並ぶ机の俯瞰

売上総利益(売上から製造や仕入れの原価を引いた利益)は3,984億円から4,864億円へ22.1%増え、売上総利益率は36.2%から50.4%へ14.2ポイント上がりました。売上が1,300億円あまり減っても、売上原価がそれ以上に減ったため、利益が残る構造に変わっています。

項目前年中間期当中間期前年同期比通期予想進捗率
売上高1兆995億円9,660億円-12.1%2兆500億円47.1%
売上総利益3,984億円4,864億円+22.1%--
営業利益1,451億円2,165億円+49.1%3,700億円58.5%
経常利益2,360億円3,006億円+27.4%4,300億円69.9%
中間純利益1,989億円2,209億円+11.0%3,100億円71.3%
任天堂の決算短信・決算説明資料(2026年11月5日)から作成。中間純利益は親会社株主に帰属する額。進捗率は通期予想に対する筆者計算

図1:売上と利益の前年同期比(2026年4〜9月)

売上高だけが減り、売上総利益から下はすべて増えました。

売上高
-12.1%
売上総利益
+22.1%
営業利益
+49.1%
経常利益
+27.4%
中間純利益
+11.0%

※前年同期(2025年4〜9月)に対する増減率。出典:任天堂 決算短信(2026年11月5日)

売上が12%減った理由|Switch 2本体は649万台

売上の約94%を占めるゲーム専用機の売上高は1兆661億円から9,033億円へ15.3%減りました。会社はソフトの販売本数が増え円安も進んだとしたうえで、減収の主な理由をハードウェアの販売台数の減少と説明しています。

前年同期はSwitch 2の発売直後だった

Nintendo Switch 2は2025年6月5日に発売されたため、前年の4〜9月期は発売直後の出荷が集中した時期にあたります。この半年で1,036万台が出荷されており、比べる相手が大きかったことが今回の37.4%減の背景です。

図2:Switch 2本体の四半期ごとの販売台数

発売直後の2四半期と年末商戦を過ぎ、2026年度は382万台、267万台と推移しています。

58245470124938226725年4-6月7-9月10-12月26年1-3月4-6月7-9月前年中間期 1,036万台当中間期 649万台

※単位は万台。セルイン(任天堂グループからグループ外への販売)の数字。2025年4〜6月は前年中間期の1,036万台から7〜9月の454万台を引いた筆者計算。出典:任天堂 決算説明資料(2026年11月5日)、2026年3月期 中間期決算短信

台数は任天堂から取引先などへ出荷した「セルイン」の数字で、店頭で消費者が買った台数とは一致しません。会社は台数が減ったものの、新作の発売などをきっかけに引き続き多くの人に手に取られていると説明しており、累計は2,635万台になりました。

本体は減り、ソフトは増えた

ソフトの販売本数は、Switch 2向けが2,062万本から2,449万本(+18.8%)、初代Switch向けが6,156万本から6,573万本(+6.8%)に増えました。同梱分を含む数字で、当期の同梱はSwitch 2ソフト約105万本、Switchソフト約40万本です。

本数を押し上げたのは、初代Switch向けの『トモダチコレクション わくわく生活』881万本と『リズム天国 ミラクルスターズ』289万本でした。Switch 2でも初代Switchのソフトが遊べるため、前期以前に出た旧作も安定して売れています。

Switch 2向けの新作では『スプラトゥーン レイダース』が242万本、『ファイアーエムブレム 万紫千紅』が134万本を記録しました。6月発売の『Star Fox』も117万本で、前期発売の『マリオカート ワールド』は178万本を上積みしています。

ダウンロード版や追加コンテンツなどのデジタル売上高は1,555億円から2,496億円へ60.5%増えました。ソフト売上に占める割合は54.5%から60.7%になり、会社はパッケージと同時に売るダウンロード版の増加と円安を理由に挙げています。

映画でIP関連収入が87.9%増

ゲーム機以外の「IP関連収入等」は333億円から627億円へ87.9%増えました。『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』の映像コンテンツ収入が増えたためで、売上全体に占める割合は6.5%と小さいものの、減収幅を和らげる役割を果たしています。

売上の約8割は海外で、会社によると為替は売上高を631億円押し上げました。期中平均レートは前年同期より1ドルで13.31円、1ユーロで16.05円の円安です。

図3:売上高9,660億円の中身

ゲーム機の売上は減りましたが、デジタルと映画関連は大きく伸びました。

ゲーム専用機9,033億円(-15.3%)。ハード・ソフト・オンラインの合計
うちデジタル2,496億円(+60.5%)。ソフト売上の60.7%
IP関連収入等627億円(+87.9%)。映画の映像コンテンツ収入など
海外売上高7,624億円。比率78.9%、米大陸だけで43.4%

※増減率は前年同期比。デジタル売上高はゲーム専用機の売上高の内数。出典:任天堂 決算短信・決算説明資料(2026年11月5日)

営業利益が49%増えた理由|売上総利益率は50%台へ

会社が決算短信で挙げた増益の理由は2つで、ソフトの販売が堅調で売上に占める割合が上がったことと、米国の関税の還付を受けたことです。為替と販管費は理由としては書かれていませんが、決算説明資料に影響額と増減の内訳が出ています。

ソフトの割合が上がった

ゲーム専用機の売上に占めるハードの割合は73.2%から54.5%へ下がり、ソフトの割合が上がりました。ソフトの中でも自社ソフトの割合が67.2%から76.6%へ上がっており、会社はこの構成の変化を売上総利益率の上昇の理由としています。

図4:ゲーム専用機の売上に占めるハードの割合

売上10のうち、ハードは前年の7から当期は5に減りました。

前年中間期
当中間期

ハード売上高比率 73.2% → 54.5%(濃い色がハード、薄い色がソフト)

※ゲーム専用機の売上高全体に占めるハード(アクセサリ含む)の割合を10個の箱で表したもの(四捨五入)。出典:任天堂 決算説明資料(2026年11月5日)

ダウンロード版は製造も物流も要らず、パッケージ版も本体ほど多くの部材を使いません。原価の重い本体の割合が下がり、デジタル売上高比率も60.7%に上がったことが、売上総利益率50.4%という数字に表れています。

米国の関税が約3億ドル還付された

もう一つの理由は、米国の国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて支払っていた関税の還付です。任天堂は2026年4〜6月期に約3億ドルを売上原価の減額として計上しており、期中平均レートの1ドル159.29円で換算するとおよそ480億円になります(筆者試算)。

決算説明資料によると、還付された関税は主に販売価格に転嫁せず任天堂が負担していたものです。過去に原価として負担した関税が戻ってきたもので、毎期続く利益ではない点には注意が必要です。米国の関税が日本企業の調達や生産拠点に与える影響は米国関税とサプライチェーン再編で整理しています。

円安は追い風、販管費は増えた

会社の試算では、為替は営業利益を約222億円押し上げました。一方で販売費及び一般管理費(販管費)は2,532億円から2,699億円へ6.6%増えました。研究開発費が824億円から962億円へ16.8%増えたことと、円安で外貨建ての費用が円換算で膨らんだことが理由です。

広告宣伝費は646億円から533億円へ17.5%減りましたが、研究開発費の増加を打ち消すほどではありませんでした。売上が減ったことで売上高販管費率は23.0%から27.9%へ上がっており、他社の研究開発費の規模は製造業の研究開発費ランキングと比べると位置づけがつかめます。

図5:営業利益を動かした4つの要因

会社が理由に挙げたのは左の2つで、為替と販管費は資料の補足情報です。

会社の説明ソフト比率の上昇ハード売上高比率 73.2%→54.5%
会社の説明関税の還付約3億ドルを売上原価から減額
補足情報円安営業利益で約+222億円
押し下げ販管費の増加研究開発費 824億→962億円

※要因ごとの影響額は会社が開示した為替影響額以外は公表されていないため、ここでは足し合わせていません。出典:任天堂 決算短信・決算説明資料(2026年11月5日)

経常利益と純利益の伸びが小さい理由

営業利益は713億円増えましたが、経常利益の増加は646億円、純利益は220億円にとどまりました。本業以外の損益に、前年と当期で向きの違う項目が2つあるためです。

図6:営業利益から純利益までの主な項目

為替は前年の差益から差損に変わり、前年にあった株式の売却益が当期はほぼなくなりました。

前年中間期
当中間期
営業利益
1,451億円
2,165億円(+713億円)
持分法による投資利益
442億円
608億円
受取利息
228億円
267億円
為替差損益
差益 185億円
差損 73億円
経常利益
2,360億円
3,006億円(+646億円)
投資有価証券売却益
323億円
約1.6億円
中間純利益
1,989億円
2,209億円(+220億円)

※決算短信の中間連結損益計算書(百万円単位)を億円に丸めたもの。中間純利益は親会社株主に帰属する額。出典:任天堂 決算短信(2026年11月5日)

経常利益は為替差損で伸びが縮んだ

経常利益は営業利益に、本業以外の収益と費用を足し引きした利益です。当期は持分法による投資利益(出資先の利益のうち任天堂の持ち分)と受取利息が増えましたが、前年の為替差益185億円が差損73億円に変わったため、伸び率は27.4%になりました。

期末の為替レートは1ドル159.31円から157.09円へ、1ユーロ183.28円から178.18円へ、2026年3月末より9月末のほうが円高でした。期中の平均レートでは前年より円安だったため、売上と営業利益は押し上げられました。

純利益は前年の株式売却益がなくなった

前年の中間期には投資有価証券の売却益323億円が特別利益に入っていましたが、当期はほぼありません。この一時的な利益の差が、純利益の伸びを11.0%に抑えた主な理由で、1株当たり中間純利益は170.87円から191.63円になりました。

通期予想は据え置き|部材高など1,000億円を織り込み

2027年3月期の通期予想は2026年5月8日の公表から変えず、売上高2兆500億円(前期比11.4%減)、営業利益3,700億円(2.7%増)、純利益3,100億円(26.9%減)のままです。

販売数量はSwitch 2本体が前期の1,986万台に対して1,650万台、ソフトが6,000万本(同梱分を除く)の見込みです。上期の実績と並べると、進み具合は金額と台数で差があります。

図7:通期予想に対する上期の進捗

利益は5割を超えた一方、Switch 2本体の台数は4割弱です。

金額(売上・利益)
売上高
47.1%
営業利益
58.5%
経常利益
69.9%
純利益
71.3%
台数(セルイン)
Switch 2本体
39.3%

※点線は50%。通期予想(売上高2兆500億円・営業利益3,700億円・経常利益4,300億円・純利益3,100億円・Switch 2本体1,650万台)に対する上期実績の割合を筆者が計算。出典:任天堂 決算短信・決算説明資料(2026年11月5日)

上期の利益には、4〜6月期に計上した関税の還付約3億ドルも含まれています。会社は予想を変えていないため、進捗率が高いことをそのまま上振れの見通しと読むことはできません。年末商戦を含む10〜12月期の販売で、通期の数字は大きく動きます。

予想の前提として、会社はメモリを中心とする部材価格の高騰や関税の支払いなどによる原価への影響を約1,000億円織り込んでいます。これは通期全体の見込みで、上期の利益にどれだけ出たかは示されていません。

図8:通期予想の主な前提

部材と関税のコスト、為替、台数の4つを置いたうえで、5月の予想を据え置いています。

部材価格メモリ中心の部材高と関税の支払い等で原価に約1,000億円
米国の関税2026年3月末時点の税率を勘案
為替1ドル150円、1ユーロ175円(上期平均は159.29円・184.22円)
Switch 2本体1,650万台(前期1,986万台)、ソフト6,000万本

※ソフト6,000万本は本体への同梱分を含まない。出典:任天堂 決算説明資料(2026年11月5日)

為替の前提は上期の平均より円高に置かれています。上期は円安が営業利益を約222億円押し上げており、前提と実際のレートの差も下期の利益を左右します。

下期は10月に「ゼルダの伝説 40周年」の特別デザインの本体を発売しました。11月発売の『ゼルダの伝説 時のオカリナ』に加え、2027年1月に『メトロイド ラヴェナス』などの新作を予定しており、ソフトメーカーからも多くのタイトルが出る予定です。

製造業にとっての意味|メモリ・在庫・量産

キャリアテープに入ったメモリチップを手袋で持つ検査台の手元

ゲーム機の本体には半導体やメモリ、液晶、電池などの電子部品が使われ、任天堂の台数計画は部品をつくる企業の受注にもつながります。今回の資料で製造業の目線から読めるのは、部材価格の前提、在庫の増加、下期の出荷計画の3点です。

メモリを中心とする部材価格の前提

会社が「メモリを中心とする部材価格の高騰」を原価の前提に明記したことは、ゲーム機でもメモリの値上がりを原価の前提に入れる局面になったことを示します。AIサーバー向けの需要がメモリや基板の市況を押し上げている流れはAI需要で恩恵を受ける電子部品で詳しく扱っています。

製品の売値を据え置いたまま部材が値上がりすると、その差は原価に積み上がります。任天堂の場合は上期にソフト比率の上昇と関税の還付が利益を支えましたが、下期にハードの出荷が増える局面では、製造原価に占める部材費の重さが利益率に表れやすくなります。

棚卸資産は2,748億円増えた

2026年9月末の棚卸資産(在庫)は8,146億円で、3月末の5,398億円から2,748億円、約51%増えました。支払手形及び買掛金も2,361億円から3,707億円に増え、現金及び預金は1兆7,918億円から1兆5,539億円に減っています。

決算短信は資産と負債の増加の主な要因として棚卸資産と買掛金を挙げていますが、在庫が増えた理由は書かれていません。製品と部材のどちらが増えたのかも分からず、年末商戦への備えか部材の先行確保かは判断できません。欠品と過剰在庫の考え方は安全在庫の計算方法が参考になります。

図9:部材から出荷までの流れと決算の数字

部材の調達、量産、在庫、取引先への出荷の各段階に、決算資料で確かめられる数字を置きました。

部材の調達量産在庫取引先へ出荷原価影響約1,000億円台数計画通期1,650万台棚卸資産8,146億円Switch 2本体上期649万台

※原価影響約1,000億円はメモリなどの部材価格と関税の支払いなどを合わせた通期の前提。棚卸資産は2026年9月末で、製品と部材の内訳は開示されていません。出典:任天堂 決算短信・決算説明資料(2026年11月5日)

販売の数字から分かること・分からないこと

分かるのは、通期1,650万台に対して上期は649万台で、下期に約1,000万台の出荷を計画している点です。前年度の10〜12月期は701万台を出荷しており、下期は再び量産と物流の山が来る計画だと読み取れます。

分からないのは、どこでどれだけ生産しているかや部材の調達先、メモリの契約価格で、決算資料には書かれていません。電機・精密機器のメーカーと部品・組立企業の関係は電機・精密機器業界の構造で、取引の流れから確かめられます。

任天堂中間決算のよくある質問

任天堂の配当はいくらですか?

中間配当は中間期の営業利益の40%を基準に決める方針で、2027年3月期は1株76円と前年の42円から増えました。年間の予想は162円のまま変わらず、期末配当は差し引き86円の予定です。

初代Nintendo Switchはまだ売れていますか?

初代Switchの本体は2026年4〜9月に127万台出荷され、累計は1億5,720万台になりました。2027年3月期の予想は200万台で、前期の380万台からほぼ半減する見込みです。

本体に同梱されたソフトは売上高にどう入りますか?

本体に同梱されたソフトの売上はすべてハードの売上として集計されます。そのため同梱ソフトはソフトの販売本数には入りますが、ソフト売上高やデジタル売上高には入りません。

任天堂の決算資料はどこで見られますか?

任天堂の株主・投資家向け情報のページに、決算短信と決算説明資料が掲載されています。地域別・機種別の販売数量は決算説明資料の参考資料にあり、決算ハイライトは発表日から2営業日以内に更新されます。

まとめ

この記事のまとめ
  • 2026年4〜9月の売上高は9,660億円(-12.1%)、営業利益は2,165億円(+49.1%)
  • 減収はSwitch 2本体の出荷が発売直後の前年同期1,036万台から649万台に減ったため
  • 増益はソフト比率の上昇と米国関税の還付約3億ドルによるもので、売上総利益率は50.4%に
  • 通期予想は売上高2兆500億円・営業利益3,700億円で据え置き、部材高などの原価影響約1,000億円を織り込む
  • 棚卸資産は半年で2,748億円増えたが、理由は資料に書かれていない

ゲーム機に使われる半導体や部品の担い手は電子部品・半導体業界の構造で、部材の調達に関わる仕事は購買・調達の職種ページで紹介しています。

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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