ワットとジュールの違いと換算方法|kWh・kJ早見表と時間の計算例

電力とエネルギーを考える閉じた実験槽と計器背面のイメージ

ワット(W)は1秒あたりに使う・移すエネルギーの大きさ、ジュール(J)はエネルギーそのものの量を表す単位です。

一定の電力なら、エネルギーは「電力×時間」で求められます。1 W=1 J/sなので、秒を掛ければJになり、時間をhで扱うとWhやkWhになります。Wの数字だけから、使ったエネルギーを決めることはできません。

この記事では、WとJの違い、kWhとkJの換算、変動する電力の積算を図解します。2 kWのヒーターの例から、工場の残り20分の平均電力、加熱に必要な時間まで、条件と単位をそろえて計算します。

目次

ワットとジュールの違いとは?

Wが表すのは、エネルギーが使われたり移されたりする「速さ」です。Jは、その結果として移ったエネルギーの合計量なので、能力が同じ機械でも運転時間が変われば値が変わります。[1]

たとえば2,000 Wで動くヒーターを10分使った場合と、1分で止めた場合を比べます。動いている間の電力はどちらも2,000 Wですが、使ったエネルギーは前者が後者の10倍になるため、同じWでも消費量は同じではありません。

単位表す量数値を読むときの問い
W・kW仕事率、電力、熱を移す速さ今、または平均して、どれだけの速さか
J・kJ・MJエネルギー、仕事、熱量合計でどれだけか
Wh・kWh電力量などのエネルギー電力を時間にわたって積算するといくらか

図1 ヒーターの電力と、使ったエネルギーを分ける

電力が一定で2,000 W、運転時間が10分という計算上の例です。実在製品の性能表示ではありません。

動いている間:2,000 W10分=600 sその間の積算エネルギー1,200,000 J

橙の線:ヒーターの発熱部 時計:運転時間 青い枠:積算したエネルギー。電気配線は省略しています。

電力の値が途中で変わる場合は、時間ごとの電力を足し合わせます。後の図5で区間積算を示します。

日常では消費電力がW、電気の使用量がkWhで表示されるため、kWhも能力のように見えることがあります。しかしkWhはkWと時間の積であり、Jと同じくエネルギーの量を表します。

また、同じ単位が付いていることと、同じ対象を測っていることも別です。電気入力のkW、モータの軸出力のkW、冷凍機が取り去る熱のkWは、単位は同じでも、どのエネルギーの流れかが異なります。

ワット

ワットは仕事率の単位で、1 Wは1秒あたり1 Jのエネルギーが移る大きさです。BIPMのSI文書では、WはJ/s、基本単位ではkg・m²・s⁻³と表され、電気に限らず仕事率に使われます。[1]

Wの単位としての関係
1 W=1 Js=1 kg・m2s3
Wはワット、Jはジュール、sは秒、kgはキログラム、mはメートルです。ここでWやJは数量を表す文字ではなく、単位記号です。

機器の能力を比べるときには、単位時間あたりの量が便利です。熱交換器の伝熱能力や発電機の出力、ポンプを回すための電力などは、「何秒使ったか」を先に決めなくても、その時点の大きさを表せます。

一方、銘板の定格電力が2 kWだからといって、1時間に必ず2 kWhを使うとは限りません。定格条件と実際の負荷が違ったり、温度調節で通電を止めたりする機器では、時間内の平均電力が変わるためです。

電力計で見た一瞬の数値も、そのまま1日の使用量にはできません。一定だったと仮定してよいのか、対象時間の平均値なのかを分けると、後から時間を掛ける計算の意味が明確になります。

交流機器では、電圧と電流を単純に掛けたVAと、有効電力のWの区別にも注意します。電力量を求めたいときに、VAをそのままWとして積算しない理由は、皮相電力と有効電力の違いとつながります。

冷凍能力も、単位時間あたりに低温側から取り去る熱量としてkWで表します。暖房能力なら高温側へ渡す熱、消費電力なら機器への電気入力なので、仕様書では数値と一緒に項目名を読むことが重要です。

冷凍サイクルでは、低温側から受け取る熱と、圧縮機などへ入れる仕事を区別します。電力から熱の速度を知りたい場合は、単位換算だけでは足りず、機器の性能と運転条件も必要になります。

ジュール

ジュールはエネルギー、仕事、熱量に用いる単位で、1 Jは1 Nの力の向きに物体を1 m動かすときの仕事に対応します。一定の力が移動方向に働く場合には、力と距離の積で仕事を求められます。[1]

Jの単位としての関係
1 J=1 N・m=1 kg・m2s2
Nは力の単位ニュートンで、1 N=1 kg・m/s²です。力が移動方向と異なる場合は、移動方向の成分で仕事を考えます。

重力加速度を9.8 m/s²と仮定すると、およそ102 gの物体を1 m持ち上げる仕事が約1 Jです。ここではゆっくり持ち上げ、速度の変化や摩擦などを除いた、位置エネルギーの増加だけを考えます。

図2 同じ高さまで上げる仕事と、上げる速さ

質量0.102 kg、上昇高さ1 m、g=9.8 m/s²の例です。矢印は力または移動方向で、電気や熱の流れではありません。

1 m0.102 kg上へ仕事:約1 J時間が違えば、平均のWは変わる

薄灰:持ち上げる前 青:持ち上げた後と上向きの移動。高さの括弧は左に離して示しています。

同じ物体を同じ高さまで上げるなら、必要な仕事はほぼ同じでも、ゆっくり上げるか素早く上げるかで平均仕事率は変わります。Jが合計量、Wがその量を時間で割った大きさだと考えると、二つの役割を区別できます。

熱の計算では、温める対象へ移った熱量をJやkJで表します。ただし比熱そのものの単位はJだけではなくJ/(kg・K)などであり、質量と温度差を掛けて初めて必要な熱量になります。

熱量と仕事はエネルギーの移り方を表しますが、内部エネルギーなどの状態量と同じ意味ではありません。同じJで書けても何を表すかは別なので、単位を確認したうえで対象の量の名前を読みます。

カロリーもエネルギーを表す単位ですが、定義や使う換算値をそろえる必要があります。kcal/hのような熱の速度とWの関係は、ワットとカロリーの換算で詳しく整理しています。

ワットとジュールの変換は?

一定の電力Pを時間tだけ使うとき、エネルギーEはE=Ptで求められます。電力をW、時間をsにそろえると、W・s=Jとなり、答えをジュールで表せます。[1・2]

ここでP、E、tは量を表す記号で、W、J、sは単位記号です。「W=J×s」のように単位の関係を誤って書くと、何を掛けたのか分からなくなるので、式と単位を対応させて使います。

一定電力でのエネルギー・電力・時間
E=P t
P=Et、t=EP
E:エネルギー[J]、P:一定の電力[W]、t:運転時間[s]。E/tは、その時間内の平均電力としても使えます。

JからWを求める場合にも、どれだけの時間で使ったエネルギーかが必要です。600 Jを1秒で使えば平均600 W、10秒で使えば平均60 Wなので、「600 Jは何Wか」という問いだけでは答えが一つに決まりません。

一方、JとkWhはどちらもエネルギーなので、運転時間が分からなくても単位だけを換算できます。時間が必要なのは電力とエネルギーを行き来するときであり、エネルギーの表示単位を変える操作とは区別しましょう。

図3 一定電力なら、グラフの長方形がエネルギー

縦軸は電力kW、横軸は時間minです。青い面積の数値はkW・minなので、kWhへ直すときは60で割ります。

P[kW]20010時間[min]2 kW × 10 min=1,200 kJ

青線:一定の電力 青い面積:その時間のエネルギー。横幅は時間、縦の高さは電力を表します。

1 kWhが3,600 kJになる理由

kはキロで1,000倍、hは時間で3,600秒なので、1 kWhは1,000 Wを3,600秒使ったエネルギーです。この二つの倍率を別々に入れると、1 kWh=3,600,000 J=3,600 kJ=3.6 MJと導けます。

NISTの公式換算表にも、1 Wh=3,600 J、1 W・s=1 Jが掲載されています。最初からkWhだけを暗記するより、W・sとWhの間に時間の3,600倍が入ることを押さえると、接頭語を変えても対応できます。[2]

kWhからJ・kJ・MJへ
1 kWh=1,000 W × 3,600 s
=3,600,000 J
=3,600 kJ=3.6 MJ
1 kW=1,000 W、1 kJ=1,000 J、1 MJ=1,000,000 J、1 h=3,600 sです。これらの接頭語と時間の換算に機器効率は関係しません。

図4 1,000倍と3,600倍を一緒にしない

単位をJへそろえる道筋です。縦にたどると、接頭語の換算と時間の換算が別の操作だと分かります。

出発:1 kWhまずkWをWへ直す。kの分だけ1,000倍。
途中:1,000 Wh次にhをsへ直す。時間の分だけ3,600倍。
到着:3,600,000 W・sW・s=Jなので3,600,000 J。kJなら1,000で割り、MJなら1,000,000で割る。

kWhからkJなら、kの倍率が双方にあるため数値は3,600倍です。kWhからJなら3,600,000倍になります。

逆に1 kJをkWhへ直すときは、3,600で割ります。1 kJ≒0.0002778 kWh、または約0.2778 Whとなるので、大きな単位のkWhへ直した答えが小さい数になることも確かめられます。

kJからkWhへの逆換算
1 kJ × 1 kWh3,600 kJ=約0.0002778 kWh
3,600 kJ × 1 kWh3,600 kJ=1 kWh
換算係数は同じ量どうしの比なので1です。分子・分母のkJが消え、kWhだけが残ることを確かめます。
Wh・kWhJkJMJ
1 Wh3,6003.60.0036
0.1 kWh360,0003600.36
1 kWh3,600,0003,6003.6
10 kWh36,000,00036,00036

kWhとkW/hは別の量

kWhはkWに時間を掛けたエネルギーですが、kW/hはkWを時間で割った電力の変化率です。hが付いているから同じと読まず、掛け算か割り算かによって意味が逆になる点を押さえます。

たとえば電力が0 kWから2 kWまで1時間で直線的に増えたなら、増える速さは2 kW/hです。その間の平均電力は1 kWなのでエネルギーは1 kWhとなり、2 kWを1時間一定で使った2 kWhとは違います。

また「1時間あたり2 kWhを使う」という表現は、その区間の平均電力が2 kWであることに対応します。文章では時間を強調しても、電力量の単位をkW/hへ書き換えることはできません。

電力が変わるときは、区間ごとに積算する

途中で電力が変わる場合は、各区間の電力と時間の積を足してエネルギーを求めます。細かい変化まで含めると、電力P(t)を時間について積分した値であり、電力対時間グラフの面積に対応します。

区間積算と変動する電力の一般形
E=P1Δt1+P2Δt2+…
E=∫t₀t₁ P(t) dt
P平均=Et1−t0
Δt:各区間の時間[s]、P:各区間で一定とみなす電力[W]、P(t):時間ごとの電力[W]。t₀からt₁まで積算したEの単位はJです。

平均電力は時間で重みを付けた値なので、長さが違う区間の電力を単純に平均すると誤ります。2 kWが10分、1 kWが20分なら、2と1の平均1.5 kWではなく、長く続いた1 kW側へ寄った値になります。

図5 高さだけでなく、続いた時間も含めて足す

最初の10分が2 kW、次の20分が1 kWの例です。横軸の幅は時間に比例しており、二つの面積は等しくなります。

P[kW]21001030時間[min]前半後半

青線:電力 青い面積:最初の区間 淡い茶の面積:次の区間。それぞれ20 kW・minで、合計40 kW・minです。

測定データを使う場合も、同じ時間間隔で記録したかどうかが重要です。間隔が不ぞろいなら各値が代表する時間を含めて扱い、ある瞬間の値しかない場合に、その前後も同じだったと勝手に仮定しないようにします。

電力量計の積算値を使うなら、開始時と終了時の差から対象区間の使用量を求められます。kWhの積算値とkWの瞬時値を同じ列に混ぜず、日時、単位、値が表す区間を一緒に残すと計算を追いやすくなります。

JやWが基本単位のどんな組合せでできているかは、SI基本単位と組立単位の違いで確かめられます。

実際に計算してみよう

計算を始める前に、求めたいものがエネルギー、平均電力、所要時間のどれかを決めます。次に、与えられた電力が一定値なのか、区間の平均値なのかを読み、時間の単位を式の出口に合わせます。

以下では電力が負にならない消費側の例を使い、回生や売電は含めません。運転中に値が変わる例は区間を分け、加熱の例では電気入力と対象へ移った熱を区別して、同じ記号で混ぜないようにします。

2 kWのヒーターを10分使うと何kJ?

電力が2 kWで一定なら、10分を600秒に直して掛けます。kWはkJ/sと同じ大きさなので、kWのまま秒を掛けるとkJになり、いったんWへ戻さなくても計算できます。

一定の電力を時間にわたって使う
t=10 min × 60 smin=600 s
E=P t=2 kW × 600 s
=1,200 kJ=1.2 MJ
P=2 kW=2 kJ/s、t=600 sとした電気入力エネルギーです。水など特定の対象へ1,200 kJすべてが移るとは、ここでは仮定していません。

Wにそろえるなら、2,000 W×600 s=1,200,000 Jとなり、同じ量になります。時間をhにそろえた場合は2 kW×1/6 h=1/3 kWhで、これに3,600 kJ/kWhを掛けても1,200 kJです。

2と10だけを掛けて20 kJとすると、分を秒へ直す60倍が抜けています。計算途中の2 kW×10 min=20 kW・minまでは正しいため、そこで答えの単位をkJへ無断で置き換えないことが大切です。

600 kJを5分で使ったときの平均電力は?

エネルギーを時間で割れば、その区間の平均電力を求められます。600 kJを使った時間が5分なら300秒なので、kJ/sの形にしてから、同じ単位のkWへ読み替えます。

エネルギーから平均電力を求める
P平均=Et=600 kJ5 × 60 s
=2 kJ/s=2 kW
Eは5分間の合計エネルギーです。瞬間ごとに2 kWだったことまでは、この合計量だけから分かりません。

同じ600 kJでも、1 kWなら600秒、2 kWなら300秒で使います。エネルギーが同じなら電力を大きくすると時間は短くなりますが、電力が大きいという理由だけで合計の消費量も増えるとは言えません。

ただし、実機を比べるなら同じ仕事や加熱を達成できたか、効率が同じかも条件になります。単に運転時間が短い機械を選べば省エネになるという結論は、この単位の計算だけでは出せません。

運転途中で2 kWから1 kWへ変わったら?

図5の例では、最初の10分と次の20分を別々に積算します。どちらも20 kW・minなので、合計は40 kW・minとなり、全30分の平均電力もそのエネルギーから求められます。

時間が異なる二つの区間を足す
E=2 kW × 1060 h +1 kW × 2060 h
=23 kWh=2,400 kJ
P平均=40 kW・min30 min=約1.333 kW
各区間内の電力は一定、全時間は30分=0.5 hです。途中の2/3は丸めずに計算し、平均電力を最後に丸めています。

単純平均の1.5 kWを30分に掛けると0.75 kWhとなり、本来の2/3 kWhより大きくなります。区間の長さが同じ場合にだけ単純平均が使えるので、記録の時刻を見ずに数値だけ平均しないようにしましょう。

工場の残り20分の平均電力を求める

14時から15時までの1時間の平均電力を500 kW以下にしたい工場を考えます。14時40分の時点ですでに350 kWhを使っているとき、残り20分で使える電力量と、許される平均電力を求めます。

先に1時間全体の電力量の枠を求めると、500 kW×1 h=500 kWhです。すでに使った350 kWhを引けば残り150 kWhとなり、これを残り時間の1/3 hで割るのが、kWhを使う解き方です。

図6 500 kWは「1時間で500 kWh」の枠に直す

上は時刻、下は電力量の配分です。時間の40:20と、電力量の350:150は別の比率なので、棒の意味を分けて示します。

対象の時間:合計60分14:0014:4015:0040分20分電力量の枠:500 kWh使用済み350 kWh残り150 kWh残り時間の平均電力450 kW以下

灰の線:時間軸 青い棒:使用済み電力量 淡い茶の棒:残り電力量。下の棒の横幅は時間ではなく電力量に比例します。

解き方A:kWhのまま電力量を差し引く
E上限=500 kW × 1 h=500 kWh
E残り=500 kWh −350 kWh=150 kWh
P残り平均=150 kWh13 h=450 kW
残りの枠を使い切る場合が450 kWです。全体の平均を500 kW以下にする条件なら、残り20分の平均は450 kW以下に抑えます。

この引き算は500 kWh−350 kWhであり、500 kW−350 kWではありません。500という数字は1時間を掛けた結果として偶然同じままですが、量はすでに電力から電力量へ変わっています。

同じ問題をkJと秒にそろえて解くこともできます。全体の枠は1,800,000 kJ、使用済みは1,260,000 kJで、残り540,000 kJを1,200秒で使う平均電力が450 kWです。

解き方B:kJと秒にそろえる
E上限=500 kW ×3,600 s=1,800,000 kJ
E使用済み=350 kWh ×3,600 kJkWh
=1,260,000 kJ
E残り=1,800,000−1,260,000=540,000 kJ
P残り平均=540,000 kJ1,200 s=450 kW
20分=1,200秒です。350 kWhの換算では、電力量を表すhを落として350 kWと書かないようにします。

検算すると、最初の40分の平均電力は350 kWh÷2/3 h=525 kWです。これに残り20分の450 kWを時間で重み付けすると、1時間全体が500 kWとなり、単純平均の487.5 kWではないことも分かります。

ここで制限しているのは、指定した1時間の平均値です。残りの平均が450 kWでも、途中の瞬間に450 kWを超えることはあり得るため、瞬時の上限まで守れたという意味にはなりません。

もし14時40分までに全体の500 kWhをすでに超えていたら、その後の消費をゼロにしても、使った分を取り消せません。残りの平均を計算する式に負の値が出た場合は、消費だけの前提では達成できない条件だと読み取ります。

加熱に必要な時間は、電気入力と有効熱量を分ける

次に、10 kgの水を20 Kだけ温める計算例を考えます。比熱を一定の4.18 kJ/(kg・K)と仮定し、蒸発や相変化を含めなければ、水の温度上昇に必要な熱量は836 kJです。

この比熱は計算のために与えた近似値で、温度や圧力が違っても完全に一定という意味ではありません。容器を温める熱や周囲への放熱を詳しく扱う場合は、それらの条件も別に加えます。

水の温度上昇に必要な有効熱量
Q=m c ΔT
=10 kg ×4.18 kJkg・K ×20 K
=836 kJ
Q:水に必要な熱量[kJ]、m:水の質量[kg]、c:仮定した比熱[kJ/(kg・K)]、ΔT:温度差[K]。温度差20 Kは20℃の温度差と同じ大きさです。

電気入力が2 kWで一定でも、水へ入る熱の速さがそのまま2 kWとは限りません。ここでは、運転中の電気入力の80%が水の温度上昇に有効に使われるという、一定の割合η=0.80を仮定します。

図7 電気入力の全部が、水の昇温に使われるわけではない

電気入力2 kW、水への有効割合80%という例です。橙の矢印の太さはエネルギー量の厳密な縮尺ではありません。

電気入力:2 kW水の昇温:1.6 kWその他:0.4 kW容器や周囲などへ移る分水へ必要な熱量:836 kJ2 kWと836 kJを直に比べない

青矢印:電気入力 青緑の線:水面 橙:発熱部と水の昇温以外へ移る熱。灰の線:容器です。

この条件では、水を温める速さは2 kW×0.80=1.6 kWです。必要な836 kJを1.6 kJ/sで割ると522.5秒、約8.71分となり、入力電力だけで割った418秒とは異なります。

有効割合を含めた所要時間
P有効=η P入力=0.80 ×2 kW=1.6 kW
t=Qη P入力=836 kJ1.6 kJ/s
=522.5 s≒8.71 min
ηはこの加熱例で水の昇温に使われる割合で、0.80=80%と仮定した無次元の値です。実在ヒーターの効率を一律80%とするものではありません。

同じ条件の電気入力エネルギーは、836 kJ÷0.80=1,045 kJです。水へ836 kJ、その他へ209 kJが移る収支になり、単位換算で減ったのではなく、どこへ移ったかという対象の違いを表しています。

加熱の入力エネルギーを確認する
E入力=Qη=836 kJ0.80=1,045 kJ
=約0.2903 kWh
Eその他=1,045−836=209 kJ
同じηを一定としたモデルで、2 kW×522.5 s=1,045 kJとも一致します。実際の放熱や容器への蓄熱を詳しく扱う場合は、一定ηだけでは表せないことがあります。

ヒートポンプは周囲から熱を集めて運ぶので、電気入力だけを熱へ変える加熱モデルとは条件が違います。暖房能力を消費電力で割るCOPを、この例のηと同じ上限を持つ変換効率として扱わないようにします。[3]

この違いを知ると、同じkWという表示でも、暖房能力と消費電力を区別して読めます。熱を移す仕組みとCOPの関係は、ヒートポンプの原理と計算で詳しく確認できます。

燃料を使う設備では、入力熱量を高位発熱量と低位発熱量のどちらで定めるかも、効率の数値に関わります。WとJの換算係数が変わるわけではなく、効率の分母となる燃料の発熱量の定義が違うためです。

ポンプとモータが設置された工業用水設備のイメージ
機器の能力と、運転時間を通じたエネルギー使用量を分けて考えます(AI生成画像)。

よくある質問

1 Wは何Jですか?

時間を決めなければ一つに換算できません。1 Wは1 J/sなので、一定の1 Wを1秒使えば1 J、10秒なら10 Jです。Wはエネルギーそのものではなく、時間あたりの大きさを表します。

1 kWhはなぜ3,600 kJになるのですか?

1 kW=1 kJ/s、1時間=3,600秒だからです。1 kJ/s×3,600 s=3,600 kJとなり、Jで書けば3,600,000 J、MJで書けば3.6 MJと、同じエネルギーを表します。

1 kJをkWhに直すといくらですか?

1 kJを3,600で割ると、約0.0002778 kWhになります。kJとkWhはどちらもエネルギーなので、単位を変えるだけなら運転時間の情報は必要ありません。

定格消費電力に運転時間を掛ければ使用電力量になりますか?

その電力が運転中ずっと一定という条件なら計算できます。負荷や温度調節で電力が変わる場合は、実際の平均電力と時間、または電力量計の積算値の差を使い、定格をそのまま平均値にしないようにします。

kWhとkW/hは同じですか?

別の量です。kWhは電力と時間の積でエネルギーを表し、kW/hは時間あたりに電力がどれだけ変わるかを表します。電気の使用量を示すときに、kWhの代わりにkW/hとは書けません。

平均電力が同じなら最大電力も同じですか?

同じではありません。区間全体のエネルギーと時間が同じなら平均電力は一致しますが、途中の電力の変化や瞬間の最大値は異なる場合があります。平均の条件と、瞬時の上限は分けて判断します。

ヒーターの電力量をJへ直すと、そのまま水の熱量になりますか?

電力量をJに直す操作自体は正確ですが、その全量が水の昇温に使われるとは限りません。容器への蓄熱や周囲への放熱などを分け、水へ移った熱量を求める場合は対象と効率の条件を加えます。

まとめ

この記事のまとめ
  • Wはエネルギーが移る速さ、Jはエネルギーそのものの量を表す。
  • 一定電力ではE=Ptとなり、電力に運転時間を掛けてエネルギーを求める。
  • 電力が変わるときは、各区間の電力と時間の積を足し合わせる。
  • 1 kWh=3,600 kJ=3.6 MJ。接頭語と時間をそれぞれ換算する。
  • 時間の単位と平均する区間、入力・出力の対象をそろえて計算する。

関連する単位や量を整理するには、ワットとカロリーの換算、エンタルピーと内部エネルギー、状態量と熱・仕事の違いも参考になります。

熱量の計算に進む場合は、定圧比熱と定容比熱、ジュール・カロリー・ワットの使い分けも合わせて読めます。熱力学の記事一覧から、知りたい量の説明へ進んでください。

換算を復習した後に学ぶ分野を選ぶときは、資格の勉強に使う記事一覧で、熱力学から電気・計装まで読む順に確かめられます。

出典

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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