化学プラントの暴走反応事故から学ぶ|原因の型と再発防止の仕組み

断熱された容器の壁に取り付けた温度計のフランジ接写

暴走反応とは、反応の熱で温度が上がり、上がった温度でさらに反応が速まって、制御できなくなる現象です。2014年に国がまとめた報告書は、死者を伴う国内の4件の重大事故(この記事の3件と三重県四日市の事故)がいずれも緊急停止や保守などの「非定常作業」で起きていたと分析しています。

この記事で読むのは、消防庁が2012年の通知で再発防止を呼びかけた国内の3件と、冷却の喪失が原因とされた米国の1件です。経過を公開資料で確かめられる事故を選びました。誰が悪かったかではなく、どの仕組みがあれば止められたかを探す読み方をします。

最初に4つの事故を比べ、次に反応が止まらなくなる仕組みを説明します。そのうえで原因を5つの型に分け、設計・運転・変更管理の対策と、自分の現場で確かめる確認リストまで整理します。

目次

公開報告書で読む4つの事故

まず4件を同じ観点で並べます。発端はどれも反応そのものの異常ではなく、用役の停止や弁の故障、運転条件の変化といった周辺の出来事でした。国内の3件は発端と爆発のあいだに時間があり、その間に見逃した変化があります。

事故発端見逃した変化爆発に至った仕組み報告書が示す主な対策
南陽(2011年11月)緊急放出弁の故障で負荷が100%から45%へ塔頂温度の上昇と、還流槽への塩化ビニル混入封止した槽で発熱反応が進み、温度で加速インターロック追加、警報強化、反応の教育
岩国大竹(2012年4月)用役停止による緊急停止撹拌の停止と、上部の温度上昇コイルのない上部で過酸化物の分解が加速冷却範囲の拡大、解除条件の明確化、温度計の多点化
姫路(2012年9月)下流の塔のテスト前に液を溜めたコイルより上の液の温度上昇二量化の熱で重合が始まり圧力が上昇変更管理の徹底(Beaconの教訓)
T2(2007年12月、米国)冷却の喪失(配管閉塞か弁の故障の可能性)以前の生産時のヒヤリハット温度が上がると第2の発熱反応が始まり暴走反応危険性の教育(CSBの勧告)

緊急停止の解除で撹拌が止まった(岩国大竹、2012年)

山口県の三井化学岩国大竹工場で2012年4月22日に起きた事故は、死者1名、負傷者25名、家屋損傷999軒という被害を出しました。起点の酸化反応器は、原料を約40時間かけて空気で酸化し、レゾルシンの中間体である有機過酸化物をつくる設備です。

この工程はクメン法を応用した反応で、撹拌機は使わず、吹き込んだガスの泡で液を循環させるエアリフト方式でした。泡が止まれば液の流れも止まる構造で、冷却コイルも容器の下側にしかありません。

工場内の蒸気供給が止まり、反応器は緊急停止に入りました。インターロック(異常時に設備を自動で安全側へ動かす仕組み)は正しく働き、ここまでは安全に停止しています。ところが冷却が遅いと感じた運転員が、通常の冷却の経験から循環水へ戻そうと解除すると、撹拌用の窒素まで一緒に止まりました。

図1:緊急停止から破裂までの2時間43分

操作と計器の表示を追うと、容器の中の変化が運転員に見えていなかったと分かります。

時刻
操作・判断
計器が示したこと
容器の中
23:32
緊急停止スイッチを操作。空気を止めて窒素に替え、冷却水を緊急用へ切り替える
インターロックは正常に作動した
窒素の泡が液を撹拌し、全体が冷やされる
0:40
冷却が遅いと感じ、循環水へ戻すためインターロックを解除する
下部の温度は96.1℃で、低下を続ける
窒素が止まり撹拌も停止する。この時点では気付かない
1:33
上がっているのは気相部だと思い込み、水の注入を始める
上部が104℃になり高温アラームが鳴る
コイルのない上部に分解の熱がたまる
1:45
水で温度が下がらず、撹拌停止に気付く
酸素0%、圧力0.52MPaGで正常と判断する
上部の温度は上がり続ける
2:11
撹拌を戻すため空気圧縮機を起動する
圧力0.56MPaGに気付き、調節弁を手動で全開にする
分解ガスの発生に脱圧が追いつかない
2:15
(操作の余地なし)
圧力が設計値の0.8MPaGを超える
容器が破裂する。破裂時の内圧は8MPa以上と推定

※事故調査委員会報告書の時系列から抜粋。1:33の注入開始は1:33〜1:38の幅で記載されています。

調査委員会は、解除で窒素が止まることがマニュアルにも教育資料にも書かれておらず、窒素停止を知らせるアラームや画面表示もなかったと指摘しています。停止後の目標温度と目標の冷却速度も定められていなかったため、「遅い」という感覚を確かめる基準がありませんでした。

図2:撹拌が止まった容器の上下で起きたこと

冷やす場所と測る場所が下側に寄っていたため、上側の変化が止める判断に届きませんでした。

上部:コイルなし下部:コイルあり液が動かず温度が上がる冷やされて温度が下がる停止用の温度計

※岩国大竹の反応器をもとにした模式図で、寸法は実物と異なります。姫路の中間タンクでも、冷却コイルより上の液が混ざらず冷えない状態になっていました。

見逃せないのは、物質の性質に対する見積もりの差です。従来のデータでは急激な温度上昇は150℃以上で起きるとされていましたが、労働安全衛生総合研究所の断熱試験では95℃から発熱が始まり、加速して暴走に至りました。運転温度は96℃なので、撹拌と冷却が止まれば余裕はほとんどありません。

小さな変更が重なったタンク(姫路、2012年)

2012年9月29日、兵庫県の日本触媒姫路製造所で、アクリル酸の中間タンク(70立方メートル)が爆発しました。消火活動中の消防隊員1名が亡くなり、36名が負傷しています。反応器ではなく、精製の途中で液を一時的に受けるタンクで起きた点が特徴です。

図3:姫路のタンクに重なった4つの変更

1つずつは小さく見えますが、4つ目の時点で当初の前提が失われていました。

01通常の液面を下げる設置当初は満液で使っていたタンクの液面を、冷却コイルより低くした
02頂部への循環をやめる底部から頂部へ戻すポンプ循環が、底部近くのノズルでの循環に変わった
03供給配管の加熱を変える温水ジャケットをスチームジャケットに替え、温調トラップも取り外した
04テストのため液を溜める下流の塔の能力テストを前に液を溜め、液面が当初の高さまで上がった
液面は当初の高さに戻ったのに、頂部への循環は戻っていない。コイルより上の液は混ざらず冷えない状態になった。

※CCPS Process Safety Beacon 2018年11月号の整理による。実際の順序は上の番号と一致するとは限りません。

アクリル酸には重合禁止剤が入っており、流入する液の温度も重合開始温度より低いと考えられていました。ただし禁止剤は二量化という別の発熱反応を止められず、その熱で液温が重合の始まる温度まで上がったことが、実験で確かめられています。

CCPS(米国化学工学会の化学プロセス安全センター)のBeaconの整理では、二量化の熱の危険性が認識されておらず、タンクには温度計もありませんでした。異常に気付いたのは、タンク頂部のベントから出る蒸気を見たときだったとされています。

通常の停止手順で閉じ込めた槽(南陽、2011年)

2011年11月13日、山口県の東ソー南陽事業所の塩化ビニルモノマー製造施設で還流槽が破裂し、従業員1名が亡くなりました。発端は緊急放出弁の故障です。

負荷を急に下げる操作の中で管理点の1つの温度だけを見ていたため、塔頂の温度が通常のマイナス24℃から38℃まで上がり、塩化水素の中に塩化ビニルが混ざりました。緊急措置のマニュアルにも、具体的な数値の目安は書かれていませんでした。

全停止後、管理職は混入の可能性に気付いていましたが、その混合液が危険な反応を起こすという知識がなく、通常の停止基準どおりに槽を切り離して封止しました。鉄錆由来の塩化鉄が触媒となって発熱反応が進み、約6時間後に圧力が急上昇しています。

手順を守っていても、想定外の反応は防げないという事例です。撹拌や冷却の喪失とは異なりますが、発熱反応が温度の上昇で指数関数的に速くなった点で、暴走反応と同じ仕組みの例として取り上げました。

報告書は、初期の温度上昇が緩やかで運転員が気付かなかったこと、重要な警報が他の多くの警報に埋もれたことも記しています。発端から爆発まで約12時間あり、その間に複数の要因が絡み合っていました。

175バッチ目の爆発(T2 Laboratories、2007年)

米国フロリダ州の化学工場で2007年12月19日に起きた爆発は、従業員4名が死亡し、周辺事業所の28名を含む負傷者を出しました。米国化学物質安全性委員会(CSB)は、反応器の冷却が不足し、通常の製造温度を少し超えると始まる第2の発熱反応が暴走した可能性が高いとしています。

事故が起きたのは同社の175バッチ目で、それ以前の生産でもヒヤリハットがあったとCSBは述べています。ヒヤリハット報告は件数を集めるだけでなく、反応の異常が混じっていないかという目で読み返す価値があります。

暴走反応はなぜ止められなくなるのか

開放した容器の中に見えるステンレスの冷却コイル

発熱反応は普段から熱を出しており、冷却がそれを奪うことで温度が保たれています。英国安全衛生庁(HSE)は、反応の発熱が放熱を上回ると熱暴走が始まると説明しており、問題は反応があるかどうかではなく、発熱と除熱のどちらが勝つかにあります。

図4:暴走反応が自分を加速する流れ

熱が熱を呼ぶ循環に入り、発生したガスが圧力を押し上げます。

反応で発熱温度が上がる反応が速まる圧力が上がるさらに発熱するガスの発生

厄介なのは、増え方の違いです。温度が上がると除熱は直線的に増えますが、反応の発熱は指数関数的に増えます。そのため、ある温度を超えると冷却が追いつかなくなり、反応で発生したガスが容器の圧力を一気に押し上げます。

図5:発熱の速さと除熱の速さの関係

曲線が直線を超えた先には、冷却で戻れる温度がありません。除熱が弱まると、その限界は低い側へ動きます。

発熱の速さ除熱の速さ運転点限界の温度除熱が弱まる温度熱の速さ

※傾向を示す模式図で、数値はありません。EUの事故教訓集(JRC、2016年)が示す「除熱は直線的、発熱は指数関数的に増える」という説明をもとに作図しました。

この関係は、撹拌が重要な理由も説明します。液が混ざらなければ、冷却コイルから離れた場所の除熱は大きく落ちます。EUの事故教訓集は、熱暴走の原因は冷却系の故障が最も多いとしたうえで、撹拌機の故障が局所的な加熱を招くと述べており、岩国大竹の経過とも一致します。

事故に共通する原因の5つの型

4つの事故は物質も設備も違いますが、報告書の記述を並べると同じ形の弱点が繰り返し現れます。ここで大切なのは、発端になった弁の故障や蒸気の停止を原因と呼ばないことで、故障が起きても事故に進まない仕組みが働かなかった点を見ます。

図6:4つの事故から見える原因の5つの型

1つの事故に複数の型が重なっています。どれか1つが原因という読み方はできません。

型1 止める操作で状態が変わる岩国大竹の解除で撹拌が止まり、南陽の封止で混合液が閉じ込められた
型2 混ざらない場所に熱がたまる岩国大竹と姫路は、ともに冷却コイルより上の液で温度が上がった
型3 想定外の反応が進む南陽の1,1-二塩化エタン生成、姫路の二量化、T2の第2反応は、危険性の把握が足りなかった
型4 小さな変更が重なる姫路では液面・循環・配管の変更が積み重なり、岩国大竹でも運転条件の変更時に緊急停止の問題を摘出できなかった
型5 計器と警報が状態を映さない岩国大竹は窒素流量の表示なし、南陽は警報が埋没、姫路はタンクに温度計なし

※5つの型は、各報告書の記述をもとにこの記事で整理したものです。

5つの中で見落とされやすいのは型1です。緊急停止は安全な操作だと考えがちですが、止めた瞬間に流量も温度も通常とは別の状態へ移ります。岩国大竹では止める操作そのものは成功しており、危険が生じたのはその後の、停止手順で規定していない操作の段階でした。

型2と型5は裏表の関係です。温度計の値は「その温度計がある場所の温度」でしかなく、撹拌が止まると1点の値で全体を推定する前提が崩れます。計器の位置はP&ID(配管計装図)で確かめられるので、混ざらない状態でも意味を持つ位置かを一緒に考えます。

型3の範囲は反応器の主反応に限りません。三重労働局が関係団体に出した文書は、貯蔵槽でも異常反応が起こりうると注意を促しています。2014年の四日市の事故をふまえた3省の留意事項は、保守作業で扱う残留物や副生成物の危険性を把握するよう挙げています。

なぜ弱点が残ったのか:報告書が指摘する背景

型が技術の話だとすると、その弱点が長く残った理由は組織の話です。2014年の国の報告書は、国内の重大事故4件に共通する背景を3つに整理しました。岩国大竹の委員会も深層原因として、リスクアセスメントの不足、技術伝承の不足、ルールの軽視などを挙げています。

図7:国の報告書が挙げた3つの共通点

消防庁・厚生労働省・経済産業省と内閣官房の2014年報告書が、国内の重大事故4件(この記事の3件と四日市の事故)を分析した結果です。

リスク評価が足りない緊急停止や変更時の想定、物質の反応の理解が不十分だった
人材と技術が継がれない設計思想や反応の理由(know-why)が伝わらず、経験者も減った
情報が届かず形骸化する設計条件が運転部署へ届かず、他社を含む事例も生かせなかった

同じ委員会の委員長は、安全の弱点があっても補う機能が働いていれば事故は起きないが、過信があると状況が変わったときに事故になると総括しています。長く無事故だった事実は、弱点がないことの証明になりません。だから弱点を定期的に洗い出す仕組みが、設備の対策と同じくらい大切です。

再発防止は設計・運転・変更管理の3層で

報告書の対策を読むと、設備か教育かの二択ではなく、複数の層で手を打っていると分かります。運転員の注意だけに頼らず、誤った判断があっても危険へ進まない構造をつくる考え方です。

図8:原因の型と3層の対策の対応

1つの型に3層で手を打つと、どこかが抜けても次で止められます。

原因の型
設計
運転
変更管理
型1 止める操作
解除しても窒素が止まらない方式にする
解除条件を数値で決める(例:80℃以下かつ酸素1%以下)。チェックリストと係長の確認を通す
緊急停止時のリスク評価を、変更の判定に組み込む
型2 たまる熱
冷却コイルを静置液面まで広げる
撹拌の停止をアラームで知らせる
液面を変えたら、冷却と混合の範囲も評価し直す
型3 想定外の反応
断熱熱量計のデータで温度管理を見直す
反応の危険性と分解が始まる温度を教える
原料・不純物・残留物の変化でも反応を再確認する
型4 重なる変更
運転実績だけで反応条件を想定しない
手順と違う場面では管理者に確認する
補修・ソフトウェア・体制の変更も、関連設備まで評価する
型5 映らない状態
停止判定の温度計を複数にする(1点から液相4点へ)
停止中の専用画面で傾向を見る。重要な警報を埋もれさせない
センサの位置と設定値が前提に合うか確かめる

※報告書と国の通知に書かれた対策を、この記事で型ごとに並べ直したものです。事故ごとに条件が違うため、同じ対策で一律には防げません。

設計:誤った操作でも危険に進ませない

保温配管に取り付けたばね式の安全弁の接写

出発点は反応の危険性を測ることです。HSEは、文献や計算は試験の代わりにならないとしています。DSC(少量の試料で発熱を調べる装置)で分解温度をふるい分け、断熱熱量計でプラントに近い条件を再現して、発生する圧力が容器を壊すかを判断する流れです。

インターロックのような安全機能は、解除も含めて設計の対象です。岩国大竹の再発防止策では、解除しても窒素が止まらない方式へ変えました。安全機能の考え方は機能安全の分野でも整理されており、労働安全衛生総合研究所は、冷却に失敗した場合に備える緊急抜き出しタンクの検討も挙げています。

安全弁には限界があります。岩国大竹では安全弁が作動しても圧力上昇が続いており、安全弁の選定で想定する吹出し量に、暴走時のガス発生が入っているかを確かめなければなりません。HSEも、緊急放出や反応を止める急冷の設備について、要否を明記するよう示しています。

運転:判断の基準を数値で持つ

「冷えるのが遅い」という判断が揺れたのは、基準がなかったためです。岩国大竹の対策は、解除できる安定状態を温度80℃以下かつ酸素濃度1%以下と定め、チェックリストと係長の確認を通す形にしました。研究所も、何分で何度下がれば想定どおりかの判断基準を示すよう提言しています。

監視では、重要な値を見落とさない画面にすることが中心になります。岩国大竹は停止時専用の画面と撹拌停止アラームを、南陽は警報の強化を対策に挙げました。傾向をとらえる考え方はプラントの故障予兆監視とも共通しますが、停止中は通常時の管理点だけでは足りないと考えておきます。

三重労働局の文書は、休日や深夜でも異常反応の状況把握と指示ができる人員配置を挙げています。岩国大竹の事故は深夜に進行しており、訓練の想定も日中の通常体制だけにしないことが大切です。

変更管理:小さな変更を組み合わせで見る

手袋をした手で配管の系統図を鉛筆でたどる様子

変更管理とは、設備や運転方法を変えるときに、リスクを評価してから実施する仕組みです。Beaconの教訓は、些細に見える変更でも手順を通すことでした。

三重労働局の文書は範囲をさらに広げ、補修やソフトウェア、組織と人員の変更でもリスクは変わるとして、関連設備までの評価を要請しています。

実務で難しいのは、過去の変更との組み合わせです。姫路のように液面の変更と循環の変更が積み重なると、今回の変更だけを見る審査では問題が見えにくくなります。審査では変更の中身に加えて、当初の安全の前提がまだ成り立つかを設計時の資料に戻って確かめます。

自分の現場で確かめる確認リスト

ここまでの内容を、持ち帰って確認できる問いに直しました。報告書の文言そのものではなく、この記事で整理した項目です。消防庁の2012年の通知も、安全に制御する条件と、異常を判断する指標の再確認を求めています。

設計・プロセス担当が確かめる問いは、容器の中で何が起きるかを具体的に想像するためにあります。

  • 撹拌や冷却が止まったとき、容器のどこが冷えなくなるか
  • 緊急停止やその解除で、何が自動で止まり何が動き続けるか
  • 断熱条件のデータで、運転温度と自己発熱の開始温度の差を確かめているか

運転担当が確かめる問いは、深夜の異常時でも同じ判断ができるかを見ています。

  • 停止後に何分で何度まで下がれば正常か、数値で言えるか
  • インターロックを解除できる条件と承認者は決まっているか
  • 撹拌の停止など、状態の異常を画面とアラームで知ることができるか

変更管理の担当が確かめる問いは、審査の対象と範囲が狭くなっていないかに向けたものです。

  • 液面・循環先・加熱源の変更で、冷却と混合の範囲まで評価したか
  • 過去の変更を含めて、設計時の前提がまだ成り立つか
  • 補修やソフトウェア、体制の変更も審査の対象に入っているか

暴走反応事故のよくある質問

安全弁があれば暴走反応の事故は防げますか?

安全弁だけでは防げません。安全弁は圧力を逃がす装置で、反応の発熱そのものを止めないからです。発生するガスの速さが放出能力を超えれば、岩国大竹のように作動後も圧力は上がり続けます。

重合禁止剤を入れていれば安全ですか?

禁止剤が抑えるのは対象の反応だけなので、それだけでは安全と判断できません。姫路の事故では、禁止剤で止められない二量化の熱が重合の引き金になったと実験で確かめられています。温度や液の滞留の条件も合わせて管理します。

危険物に当たらない原料なら暴走の心配はありませんか?

心配がないとは言えません。消防庁は2018年の事務連絡で、個々の原料や触媒が危険物に該当しなくても、濃度や粒度、投入や撹拌の速度、温度や圧力、不純物の影響で危険性が高まるおそれがあると注意を促しています。

化学プラントの事故事例はどこで読めますか?

事業者が公開した事故調査報告書のほか、消防庁が公開している「火災・事故防止に資する防災情報データベース」で探せます。労働安全衛生総合研究所の災害調査報告書や、米国CSBの調査結果も公開されています。

まとめ

この記事のまとめ
  • 暴走反応は、発熱が除熱を上回り、温度の上昇で反応がさらに速まって起きる
  • 国の報告書が分析した国内の重大事故4件は、いずれも非定常作業で発生した
  • 原因の型は、止める操作、たまる熱、想定外の反応、重なる変更、映らない状態の5つ
  • 背景には、リスク評価の不足、技術伝承の不足、情報共有の不足と取り組みの形骸化がある
  • 対策は設計・運転・変更管理の3層で重ね、当初の前提が今も成り立つか確かめる

暴走反応の防止は、運転、保全、設計の担当が前提を共有して初めて機能します。関連する職種は設備保全や生産技術、業界全体の動きはプラントエンジニアリングの業種ページからたどれます。

化学プラントで扱う危険物の資格なら、危険物取扱者の受講料と学び方を通信講座 SAT の紹介ページで確かめられます。

出典

出典・参考資料(13件)を開く出典・参考資料を閉じる

TOOLS & SERVICES

製造業で働く人の、仕事の道具・サービス紹介

これからの働き方、資格の勉強、打合せの記録。MONOSCOPE で紹介している3つです。

仕事の道具・サービス紹介をすべて見る ›

NEWSLETTER

生産技術・プラントエンジニアリングの記事を、週1回まとめてメールで受け取る

週刊MONOSCOPEは、登録時に選んだ職種・業種に合わせた記事を週1回お届けする無料のメルマガです。

実際に届くメールの例を見る

件名:今週のあなた向け記事|週刊MONOSCOPE 10/9号
登録内容:生産技術 × 自動車・輸送機器

週刊MONOSCOPEの見本(生産技術 × 自動車・輸送機器)

職種3本・業種3本・製造業で働くすべての方へ2本・今週よく読まれた記事3本が届きます。記事は毎週入れ替わります。ほかの見本を見る

生産技術を選んだ状態で登録へ ›

無料・週1回。登録後に届く確認メールのリンクを押すと登録が完了します。配信はメール内のリンクからいつでも停止できます。

WEEKLY NEWS

今週の製造業ニュース10選

メルマガは職種・業種に合わせた記事。LINEとnoteでは、全員共通の10本を毎週土曜の朝にお届けします。

LINEでニュース10選を受け取るnote今週のニュース10選をnoteで読む ›
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

MONOSCOPEの運営者

プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

▶ お仕事のご依頼はこちら

目次