電気・電子設計とは?回路設計・制御盤設計の仕事内容と違い

作業台に並ぶプリント基板とリレー・ブレーカーなどの制御機器

家電やセンサーの中の小さな電子回路を設計する仕事と、工場の装置を動かす制御盤を設計する仕事は、どちらも「電気設計」の求人に並びます。ただ、扱う電圧も、設計してできあがるものも、働く場所も大きく異なります。

電気・電子設計とは、製品や装置の中で電気をどう流し、どう制御するかを決める仕事です。制御盤は装置を動かすための電気機器や配線をまとめた箱のことで、電気設計は、機械とソフトウェアの間をつなぐ「電源と信号の通り道」を受け持ちます。

目次
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電気・電子設計とは

電気・電子設計とは、製品や装置の中で電気をどう流し、どう制御するかを決める仕事です。電源をどこから取り、どの部品を通して、どの信号でモーターやランプを動かすかを図面にまとめ、製造や工事の担当者が同じものを再現できるようにします。

ものづくりの設計は、大きく機械・電気・ソフトウェアの3つに分かれます。機械設計が形や強度、動く仕組みを決め、ソフトウェアが動作の手順を書くのに対し、電気設計はその間をつなぐ「電源と信号の通り道」を受け持ちます。

図1:1台の装置を分担する3つの設計

電気設計は、機械の「形」とソフトの「手順」をつなぐ役割を持ちます。

製品・装置の要求仕様何を、どれだけの速さと精度で、どんな環境で動かすか
3つの設計に分担
機械設計形・強度・機構・材料を決める
電気・電子設計電源・回路・配線・制御盤を決める
ソフトウェア動作の手順をプログラムにする
試作・組立で統合
動く製品・装置評価で不具合が出れば、3者で原因を切り分ける

※会社によっては、制御盤設計者がPLCのプログラムまで担当するなど、電気とソフトの境界は一定ではありません。

3つの設計は独立して進むわけではありません。たとえば機械設計がモーターの大きさを決めると、電気設計はその容量に合わせてブレーカーや配線の太さを選び直します。電気設計は、ほかの2つの設計の変更を最も受けやすい立場にあるともいえます。

なお、製品に組み込まれるマイコンのプログラムを書く組込みソフトウェア開発は、多くの会社で別の職種として扱われます。電気・電子設計はその土台となるハードウェア側を受け持ち、両者は同じチームで密に連携します。

回路設計と制御盤設計の違い

電気・電子設計は、何を設計するかによって大きく2つに分かれます。製品の中に入る電子回路を設計する回路設計(電子回路設計)と、工場の生産設備や装置を動かすための盤を設計する制御盤設計(制御設計)です。

どちらも回路図を描く点は同じですが、つくるものの数、扱う電圧、成果物の中身がまったく異なります。まずは比較表で全体像をつかんでください。

図2:回路設計と制御盤設計の比較

同じ電気設計でも、設計対象から働く場所までが異なります。

回路設計(電子回路)
制御盤設計(制御設計)
設計するもの
家電、車載機器、計測器、FA機器などの中に入る電子回路とプリント基板
工作機械、搬送装置、生産ラインなどを動かす制御盤と装置全体の配線
つくる数
量産品が中心。1つの設計が数千〜数百万台に展開されることも
一品一様が中心。顧客ごとに仕様が変わる受注設計が多い
扱う電気
主に低電圧の電源と、微小な信号・高速なデジタル信号
モーターやヒーターを動かす動力と、スイッチ・センサーの制御信号
主な成果物
回路図、部品表、基板データ、評価報告書
電気回路図、盤内配置図、部品表、I/O表、PLCプログラム
よく出る課題
ノイズ、発熱、部品の供給停止、消費電力
配線ミス、安全回路、納期、現地での仕様変更
仕事の場所
設計室と評価ラボが中心
設計室に加え、盤製作の工場や顧客の現場にも出る
主な勤務先
電機・電子部品・自動車部品・精密機器メーカー
装置メーカー、FA機器メーカー、制御盤メーカー、エンジニアリング会社

※企業によっては、1人の設計者が両方を担当することもあります。

回路設計と制御盤設計を仕事選びの目線で比べ、規格や道具、向いている人を表に整理すると次のとおりです。

観点回路設計制御盤設計
つくる数量産品が中心一品一様の受注設計が中心
主な規格電気用品安全法(PSE)、ノイズの規格JIS B 9960-1、北米向けはUL 508A
主な道具電子回路CAD、オシロスコープ電気CAD、テスター、絶縁抵抗計
時間のかかる作業試作・評価とノイズ対策現地での立ち上げと調整
向いている人見えない現象を突き詰めたい人装置全体を動かすのが楽しい人
※実際に適用される規格は、製品の種類や出荷先の国・地域、顧客の要求によって変わります。

いちばん大きな違いは「同じものを大量につくるか、一台ずつつくるか」です。量産品の回路設計では、部品1個の単価や不良率が全体のコストに直結するため、細部を詰める時間が長くなります。

一方、制御盤設計は顧客ごとに仕様が違い、限られた納期の中で確実に動くものを仕上げる力が問われます。

扱う電気の性質も異なります。回路設計では、数ボルトの電源の上を流れる微小な信号や高速のデジタル信号をノイズから守ることが課題です。

制御盤設計では、モーターを動かす動力と、その動力を入り切りする制御信号の両方を扱い、感電や火災を防ぐ安全の考え方が設計の中心になります。

図3:規模で並べた電気設計の4つの領域

左ほど小さく精密に、右ほど大きな電力と設備を扱います。

基板の上の電子回路建物・工場の電気設備
回路設計電子回路の設計電源回路、アナログ回路、デジタル回路、マイコン周りの回路を設計する
基板設計プリント基板の設計回路図をもとに部品配置と配線パターンを決める。アートワークとも呼ぶ
制御盤設計装置の制御設計装置を動かす電気回路図、盤内の配置、PLCのプログラムを設計する
電気設備設計建物・工場の電気設備受変電設備、幹線、照明、コンセントなど建物側の電気を設計する

※この記事では、色の濃い回路設計と制御盤設計を中心に比較します。

隣り合う領域:基板設計と電気設備設計

基板設計は、回路設計者が描いた回路図をもとに、プリント基板の上で部品をどこに置き、配線パターンをどう引くかを決める仕事です。

同じ回路図でも、パターンの引き方しだいでノイズや発熱の出方が変わるため、回路設計と一体で進めます。回路設計者が自ら行う会社もあれば、専門の基板設計会社に外注する会社もあります。

電気設備設計は、建物や工場そのものに電気を引き込み、受変電設備から各フロアや各装置まで電気を配る仕組みを設計する仕事です。

建設会社や設備設計事務所、プラント会社が主な勤務先で、製造業の職種というより建設分野の職種に近い位置づけです。制御盤設計とは、装置の電源をどこから取るかという接点で関わります。

回路設計の仕事内容

試作基板のテストポイントにプローブを当てて波形を確認する手元

回路設計は、製品の企画で決まった機能と性能を、電子部品の組み合わせで実現する仕事です。量産品が中心のため、試作と評価を何度か繰り返してから量産に移るのが一般的な流れです。

図4:回路設計の仕事の流れ

構想、詳細設計、検証と量産の3段階で進みます。

構想
01仕様の確認機能、電源、サイズ、コスト、使用環境を企画・機械設計とすり合わせる
02ブロック図電源、マイコン、センサー、通信などの構成と信号の流れを決める
03部品選定性能、価格、供給の安定性、入手のしやすさで主要部品を選ぶ
詳細設計
04回路図の作成定数を計算し、必要に応じてシミュレーションで動作を確かめる
05基板設計部品配置と配線パターンを決め、基板データと部品表を出す
06デザインレビュー品質保証や製造部門を交え、抜け漏れを確認する
検証・量産
07試作・評価波形、温度、ノイズ、耐久性を測り、不具合を修正する
08認証・規格試験安全規格やノイズの規格に適合するかを確かめる
09量産・設計変更部品の供給停止や不具合に合わせて設計を変更する

※試作と評価は1回で終わらず、2〜3回繰り返すことも珍しくありません。

仕様の確認とブロック図

最初に、次のような条件を確認します。

  • 製品が満たすべき機能
  • 電源の種類
  • 筐体のサイズ
  • 目標コスト
  • 使われる温度や湿度

電池で動くのかコンセントから電源を取るのかだけでも、回路の構成は大きく変わります。

条件が固まったら、電源、マイコン、センサー、通信、表示などをブロックとして並べ、信号の流れを描いたブロック図をつくります。この段階で機械設計と基板の大きさや発熱の逃がし方を話し合っておくと、あとの手戻りが減ります。

部品選定

回路の性能とコストは、どの部品を使うかでほぼ決まります。性能や価格に加えて、量産期間を通じて同じ部品を買い続けられるか、複数の仕入れ先があるかといった供給の安定性も重要な判断材料です。

部品の供給が逼迫すると、手に入る代替品に合わせて回路を変更する対応が必要になります。部品の知識が広い設計者ほど、こうした場面で選択肢を多く持てます。

回路図の作成とシミュレーション

ブロックごとに具体的な回路を描き、抵抗やコンデンサーの値を計算して決めていきます。電源回路なら効率と発熱、アナログ回路なら精度と雑音、デジタル回路なら信号のタイミングといったように、回路の種類ごとに注意点が異なります。

回路図の描き方は、JIS C 0617(電気用図記号)などの規格で記号が定められています。社内で記号や書式を統一しておくことで、ほかの設計者や製造・保守の担当者が同じように図面を読めるようになります。

試作・評価とノイズ対策

試作基板ができたら、オシロスコープなどの測定器で電圧や波形を測り、設計どおりに動くかを確かめます。高温・低温での動作、長時間の連続運転、電源の変動に対する強さなども評価項目です。

評価の中で特に時間がかかりやすいのが、ノイズ(電磁妨害)の対策です。

機器から出るノイズがほかの機器を妨害しないか、外からのノイズで誤動作しないかを確かめ、基準を超えれば部品の追加やパターンの引き直しで対処します。

ノイズ対策は理論だけでは解決しきれず、経験の差が出やすい分野です。

量産後の設計変更

量産が始まっても回路設計の仕事は終わりません。部品の生産終了、市場で見つかった不具合、コストダウンの要求などに応じて、回路を変更し、再評価する作業が続きます。

1つの製品に長く関わるため、過去の設計意図を記録に残しておくことが後の自分を助けます。

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制御盤設計の仕事内容

扉を開けた制御盤の内部配線を確認する作業者

制御盤設計は、生産設備や装置を狙いどおりに動かすための電気の仕組みを設計する仕事です。

制御盤とは、ブレーカー、電磁接触器、リレー、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)などを1つの箱に収めたものです。これは、装置の「頭脳」と「電源の配電盤」を兼ねる存在です。

仕様確認から検査・海外規格対応までの具体的な手順は制御盤設計の進め方で解説しています。

制御盤の中には、性質の違う2つの回路があります。モーターやヒーターに大きな電力を送る動力回路(主回路)と、押しボタンやセンサーの計測の仕組みを使って装置の状態を読み取り、動力の入り切りを指示する制御回路です。

図5:制御盤の中を流れる信号と動力

入力を読み、判断し、動力を入り切りする流れを設計します。

入力機器押しボタン、切替スイッチ、リミットスイッチ、各種センサー
装置の状態を信号で伝える
PLC(制御回路)プログラムに従って入力を判断し、どの機器を動かすかを決める
出力の指令
電磁接触器・リレー動力の入り切り
インバータモーターの速度を制御
表示灯・ブザー状態や異常を知らせる
動力回路(主回路)
負荷モーター、ヒーター、電磁弁、ポンプなど実際に仕事をする機器
動力回路はブレーカーから負荷までの太い電線の系統。制御盤設計では、この動力回路と制御回路の両方を1枚の電気回路図にまとめる。

仕様の打ち合わせとI/O表

最初に確認するのは次の4点です。

  • 装置の動き
  • 使うモーターやセンサーの種類と数
  • 電源の条件
  • 納入先の国や顧客の社内規格

そのうえで、PLCに入る信号と出ていく信号を一覧にしたI/O表(入出力表)をつくります。

I/O表は、機械設計、ソフトウェア、盤製作の担当者が共通で使う台帳になります。ここで信号の抜けや重複があると、後工程すべてに影響が出ます。

電気回路図・盤内配置図・部品表

I/O表をもとに、動力回路と制御回路を電気回路図に描きます。モーターの容量から電線の太さやブレーカーの定格を決め、非常停止や安全扉のスイッチがどう働くかといった安全回路もここで設計します。

回路図ができたら、機器を盤の中にどう並べるかを示す盤内配置図と、使う機器を一覧にした部品表を作成します。熱を出す機器の位置や配線の通り道、将来の増設スペースまで考えて配置するのが、現場で扱いやすい盤をつくるコツです。

PLCとタッチパネルのプログラム

装置の動作手順をPLCのプログラムとして作成します。

PLCのプログラム言語はJIS B 3503(IEC 61131-3と一致)で定められています。リレー回路に似た記号で書くラダー図のほか、ファンクションブロック図、ストラクチャードテキストなどがあります。

あわせて、作業者が装置を操作するタッチパネルの画面も作成します。会社によってはプログラムを専任のソフト担当者が書きますが、制御盤設計者がハードとソフトの両方を受け持つ職場も多いのが実情です。

盤製作と導通チェック

図面が完成すると、社内の製作部門や協力会社の盤メーカーで制御盤が組み立てられます。設計者は製作中の問い合わせに答え、完成した盤が図面どおりに配線されているか、通電前に導通や絶縁を確認する検査に立ち会います。

現地での立ち上げ

装置を顧客の工場に据え付けたら、電源をつないで実際に動かし、プログラムを調整しながら狙った動作とサイクルタイムを出していきます。この立ち上げ作業で、設計の良し悪しが一番はっきり表れます。

引き渡し後に故障が起きたとき、原因を調べる顧客側の設備保全の仕事では、制御盤の図面が頼りになります。誰が見ても追える図面を残すことは、立ち上げ後の顧客への大切な引き継ぎです。

規格・ツール・働き方で比べる

回路設計と制御盤設計は、守るべき規格や日々使う道具、1日の時間の使い方も異なります。仕事選びの判断材料として、この3つの軸で比べてみます。

図6:電気・電子設計で関わる主な規格と法規

製品向けか装置向けかで、意識する規格が変わります。

電気用品安全法(PSE)
製品向け家電などの電気用品の安全を定める法律。技術基準への適合とPSEマークの表示が必要
ノイズ(EMC)の規格
製品向け機器が出すノイズの上限と測定方法を定める。マルチメディア機器ではCISPR 32に基づく基準がある
JIS B 9960-1(IEC 60204-1)
装置向け機械の電気装置の安全規格。感電保護、制御回路、配線、技術文書などを定める
UL 508A
装置向け北米向けの産業用制御盤の規格。構造や使う部品、表示などを定める
JIS B 3503(IEC 61131-3)
装置向けPLCのプログラム言語の規格。ラダー図やストラクチャードテキストなどを定める
JIS C 0617(電気用図記号)
共通回路図に使う記号の規格。IEC 60617に対応し、分野ごとに部が分かれている

※実際に適用される規格は、製品の種類や出荷先の国・地域、顧客の要求によって変わります。

守る規格

回路設計で扱う家電などの製品は、日本では電気用品安全法の対象になるものが多くあります。対象となる電気用品は技術上の基準に適合させる必要があり、PSEマークがないものは販売や陳列ができません。

経済産業省によると、特に危険の多い特定電気用品は116品目、それ以外の電気用品は341品目が指定されています。

制御盤設計では、JIS B 9960-1(IEC 60204-1と一致)が基本の規格になります。

交流1,000V以下・直流1,500V以下の機械の電気装置を対象に、感電からの保護、非常停止などの制御機能、配線や表示、用意すべき技術文書までを定めています。

北米向けの装置であれば、1,000V以下の産業用制御盤を対象とするUL 508Aへの対応を求められることもあります。

使うツール

どちらの仕事でも、図面は電気系のCAD・CAEの仕組みを使ったツールで作成します。回路設計では回路図と基板を一体で扱える電子回路CADや回路シミュレーター、制御盤設計では電気回路図と盤内配置図、部品表を連動させられる電気CADが使われます。

測定器も異なります。回路設計はオシロスコープやスペクトラムアナライザーなど精密な測定器を使います。制御盤設計はテスターや絶縁抵抗計を使い、PLCのプログラムを書き込むノートパソコンが現場の必需品になります。

働く場所と時間の使い方

回路設計は、設計室での図面作成と評価ラボでの測定を行き来する働き方が中心です。量産品の開発スケジュールに沿って仕事が進むため、繁忙期は試作と評価が重なる時期に集中しやすい傾向があります。

制御盤設計は、設計室に加えて盤製作の現場や顧客の工場にも出向きます。特に装置メーカーやFA業界の企業では、装置の立ち上げで数日から数週間、顧客先に通うこともあります。現場で装置が動く瞬間に立ち会えるのは、制御盤設計ならではのやりがいです。

電気・電子設計で役立つ資格

技術書とテスター、電気図面が置かれた設計者のデスク

電気・電子設計は、資格がなければ就けない仕事ではありません。ただし電気の基礎知識を客観的に示せるため、転職や社内での評価で役立つ資格はいくつかあります。

  • 電気主任技術者(電験)
  • 電気工事士(第一種・第二種)
  • 技術士(電気電子部門)
  • シーケンス制御や電気機器組立ての技能検定

電気主任技術者は、ビルや工場などの事業用電気工作物の保安を監督する国家資格です。第一種から第三種まであり、第三種は電圧5万ボルト未満の設備(出力5千キロワット以上の発電所を除く)を扱えます。

第三種の試験は理論・電力・機械・法規の4科目で、電気の基礎を体系的に学び直すのに向いた資格として、設計者にも取得を勧める会社があります。

電気工事士は、電気工事の作業に従事するための国家資格です。第二種は住宅や小規模な店舗などの一般用電気工作物、第一種はそれに加えて最大電力500kW未満の工場やビルなどの工事が範囲です。

制御盤設計者が現地で配線に関わる場面もあるため、現場寄りの職場ほど評価されやすい資格です。

技術士の電気電子部門には、次の5つの選択科目があります。

  • 電力・エネルギーシステム
  • 電気応用
  • 電子応用
  • 情報通信
  • 電気設備

技術系の国家資格の中でも上位に位置づけられ、中堅以降の設計者が専門性を示す目標になります。資格ごとの難易度や取り方は、製造業で役立つ資格の一覧にまとめています。

どちらを選ぶか:向いている人

新設ラインの立ち上げで制御盤の前に立つ技術者の後ろ姿

回路設計と制御盤設計のどちらが向いているかは、得意な電気の分野よりも、仕事の進め方の好みで決まる部分が大きいと感じる人が多いようです。次の問いに答えると、自分の傾向が見えてきます。

図7:4つの問いで見る向き・不向き

左の問いに対して、より当てはまるほうを選んでみてください。

問い
回路設計寄り
制御盤設計寄り
どんな場所で働きたいか
回路設計寄り設計室とラボで腰を据えて取り組みたい
制御盤設計寄り現場に出て、動く装置を見ながら仕事をしたい
どんな達成感がほしいか
回路設計寄り自分の回路が大量の製品に載って世に出る
制御盤設計寄り顧客の工場で、ラインが動き出す瞬間に立ち会う
どんな課題が好きか
回路設計寄りノイズや発熱など、目に見えない現象を突き詰める
制御盤設計寄り機械・ソフト・顧客の要望を束ねて全体を動かす
仕事のリズムの好み
回路設計寄り1つの製品に長く関わり、完成度を高めたい
制御盤設計寄り案件ごとに違う装置を次々と手がけたい

※どちらにも共通するのは、図面の細部を確認し、測って確かめる作業をいとわない姿勢です。

回路設計に向いている人

回路設計に向いているのは、目に見えない電気の振る舞いを、測定と理論の両方から地道に突き詰められる人です。ノイズの原因が1つの部品の置き方だった、という発見を面白いと感じられるかどうかが分かれ目になります。

量産品は1つの製品に数年単位で関わることも多く、完成度を少しずつ高めていく仕事にやりがいを感じる人に合っています。電子回路や電磁気学を大学で学んだ人が、その知識を最も直接的に活かせる分野でもあります。

制御盤設計に向いている人

制御盤設計に向いているのは、機械やソフト、顧客など立場の違う相手と話しながら、装置全体を動かすことに楽しさを感じる人です。電気の知識だけでなく、機械の動きや生産現場の事情を理解する力も求められます。

案件ごとに装置が変わるため、新しい機械に次々と触れたい人には飽きの来ない仕事です。その一方で、立ち上げの時期は現場での対応が続くため、出張や納期前の忙しさを受け入れられるかも考えておきたい点です。

未経験から目指すには

新卒では、電気・電子系の学科の出身者が採用の中心になることが多いです。ただし制御盤設計では、盤の組立や配線、装置の保全の経験を積んだ人が設計に移るケースも見られます。

現場経験は、図面が実際にどう組み立てられ、どこで間違えやすいかを知っているという強みになります。シーケンス制御の技能検定や第二種電気工事士は、現場から設計を目指す人の足がかりとして取り組みやすい資格です。

回路設計・制御盤設計の求人や、ほかの会社での働き方も知りたい方へ、転職・キャリアガイドを用意しています。

電気・電子設計のよくある質問

電気設計と電子設計はどう違いますか?

求人ではまとめて「電気設計」と呼ばれることが多いものの、製品の中の電子回路を扱う回路設計と、装置を動かす制御盤設計では中身が大きく違います。扱う電圧もつくる数も異なるため、求人では設計の対象を確かめるのが確実です。

電気・電子設計に資格は必要ですか?

資格がなければ就けない仕事ではありませんが、電気の基礎知識を客観的に示せる資格は転職や社内評価で役立ちます。電気主任技術者や電気工事士、技術士の電気電子部門が代表的で、職場の性格に合わせて選ぶ人が多いです。

電気・電子設計は未経験からでもなれますか?

新卒では電気・電子系の学科の出身者が中心ですが、制御盤設計では盤の組立や配線、装置の保全を経験した人が設計に移るケースも見られます。第二種電気工事士やシーケンス制御の技能検定は、現場から設計を目指す足がかりになります。

電気・電子設計では何のCADを使いますか?

回路設計では回路図と基板を一体で扱える電子回路CADや回路シミュレーターを使います。制御盤設計では、電気回路図と盤内配置図、部品表を連動させられる電気CADが中心で、PLCのプログラムを書き込むノートパソコンも欠かせません。

まとめ

この記事のまとめ
  • 電気・電子設計は、製品や装置の中の電源と信号の通り道を決める仕事
  • 製品の中の電子回路を扱う回路設計と、装置を動かす制御盤設計に大きく分かれる
  • 回路設計は量産品が中心で、部品選定・評価・ノイズ対策に時間をかける
  • 制御盤設計は一品一様が中心で、回路図・盤内配置・PLCから現地の立ち上げまで担う
  • 守る規格や働く場所も違うため、仕事の進め方の好みで選ぶのが近道

電気・電子設計は、同じ職種名でも会社と扱う製品によって中身が大きく変わる仕事です。ほかの技術職との違いは製造業の職種一覧で、装置を工場に導入する側の仕事は生産技術の仕事内容で紹介しています。

回路設計者が多く働く業界の構造を知りたい方は、電子部品・半導体業界の全体像もあわせてご覧ください。

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プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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