機械設計とは?仕事内容・設計プロセス・使うツールを実務目線で解説

作業台に置かれたアルミ製の直動ユニット試作品とノギス

機械設計は、機械や部品の構造・形・寸法・材料を決め、図面として形にする仕事です。製造業では、製品の品質とコストの8割はこの設計段階で決まると言われてきました(経済産業省「2020年版ものづくり白書」)。

そのため設計者は、どの材料でどう加工するか、いくらでつくれるか、安全に使えるかまで見通して形を決めます。その結論を誰が読んでも同じものがつくれる図面に落とし込むところまでが、機械設計の役割です。

設計者が働く場所の種類、仕様確認から量産移行までの設計プロセス、図面に込める検討項目、使うツール、他部門との関わり、必要なスキルと資格、向いている人です。

目次
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機械設計とは

トレーシングペーパーの下書きと機械加工部品を真上から見た机

機械設計とは、機械や装置、その部品について、求められる機能を満たす構造・形状・寸法・材料を決め、図面として形にする仕事です。自動車や家電のような量産品から、工場で使われる生産設備、工作機械、ロボットまで、動くものや力を受けるものの多くに機械設計者が関わっています。

設計の出発点は「何をしたいか」という要求で、1時間に何個を搬送したい、この重さに耐えたい、この大きさに収めたい、といった条件を受け取り、それを満たす仕組みを考えます。

ここで決めた内容が、後工程の加工、組立、検査、保守のすべての前提になるため、設計の良し悪しは製品全体に大きく響きます。

経済産業省の2020年版ものづくり白書でも、製造業では製品の品質とコストの8割は設計段階で決まると言われてきたと紹介されています。仕様変更の自由度が高い設計段階で、品質とコストの8割程度が決まるという説明です。

後から直すほど手戻りが大きくなるため、設計者には最初の段階で先の工程まで見通す力が求められます。

図1:機械設計が決める4つのこと

図面を描く前に、これらをすべて決めておく必要があります。

機能と構造要求を満たす動き方と仕組み。駆動方式、機構、ユニットの分け方など
形状と寸法部品ごとの形と大きさ、許容できるばらつき(公差)、部品どうしのはめあい
材料と表面処理強度・重さ・耐食性・価格のバランスで材料を選び、必要な処理を指定する
つくり方とコストどの加工法でつくり、どう組み立てるか。標準部品を使うか、特注するか

※安全性や保守のしやすさも、この4つを決める中で同時に検討します。

研究開発・生産技術との違い

機械設計と混同されやすい職種に、研究開発と生産技術があり、3つとも技術職ですが、担当する範囲が異なります。

研究開発の仕事は、新しい原理や材料、技術の種を見つけて、使えることを確かめるところまでが中心で、機械設計はその成果を受け取り、製品として成り立つ形に具体化する役割を担います。

一方の生産技術は、設計された製品を「どうやって量産するか」を決める職種で、工程や設備、治具を考えて量産ラインを立ち上げます。

生産技術の仕事内容と比べると、機械設計が「何をつくるか」を決め、生産技術が「どうつくるか」を決める関係といえます。ただし生産設備そのものを設計する機械設計者もいるため、境界は会社によって変わります。

機械設計の種類と働く場所

同じ機械設計でも、何を設計するかによって仕事の進め方はかなり違います。大きく分けると、量産品の設計、生産設備や装置の設計、そして設計業務を請け負う受託設計の3つです。

図2:機械設計の3つの働き方の違い

設計する対象によって、1件の期間も求められる力も変わります。

量産品の設計
設備・装置の設計
受託設計・派遣
主な対象
自動車、家電、精密機器、機械部品など
生産設備、自動機、工作機械、搬送装置など
顧客メーカーの製品や設備の一部
つくる台数
同じものを数千〜数百万個
1台〜数台。案件ごとに仕様が違う
顧客の案件次第
重視されること
1個あたりのコスト、品質の安定、量産性
納期、顧客の要求への適合、立ち上げの確実さ
早く正確に図面を仕上げる力、適応力
1件の期間
数年に及ぶことが多い
数か月〜1年程度が多い
数か月単位の契約が多い
働く場所
完成品・部品メーカーの設計開発部門
装置メーカー、FA機器メーカー、設備部門
設計会社、技術派遣会社から顧客先へ

※期間や台数は一般的な傾向です。製品や会社の規模によって大きく異なります。

量産品の設計

自動車や家電のように、同じものを大量につくる製品の設計です。1個あたり数円のコスト差が、生産数を掛けると大きな金額になるため、部品点数を減らす、加工しやすい形にするといった工夫が重視されます。

1つの製品を多くの設計者で分担するのも特徴で、自分の担当はドアの開閉機構だけ、ということも珍しくありません。その分、1つの分野を深く掘り下げられる働き方です。

生産設備・装置の設計

工場で使う自動機や搬送装置、検査装置などを、顧客の注文に合わせて1台ずつ設計する仕事で、装置メーカーやFA関連の企業が中心で、ユーザー企業の設備部門で設計する場合もあります。

案件ごとに仕様がまったく違うため、1人の設計者が装置全体の構想から詳細まで担当することが多いのが特徴です。標準部品を組み合わせて短期間でまとめる力や、据付・立ち上げで現場に出る機会も多くなります。

受託設計・技術派遣

メーカーから設計業務を請け負う設計会社や、技術者を顧客先に派遣する会社で働く形で、さまざまな業界の製品に関われるため、経験の幅を広げやすい働き方です。

一方で、担当範囲が詳細設計や図面作成に限られる案件もあり、構想段階から関われるかどうかは案件や契約によって変わるため、キャリアの方向性に合わせて案件を選ぶ意識が大切です。

機械設計の仕事の流れ

試作した搬送装置の組付けを確認する技術者2人

機械設計の仕事は、次のような流れで進みます。量産品か装置かで細部は変わりますが、大まかな順番は共通です。

図3:機械設計の仕事の流れ

考える段階、図面にする段階、確かめて量産へ渡す段階に分かれます。

考える
01仕様の確認要求される機能・性能・コスト・納期を整理し、仕様書にまとめる
02構想設計実現方法の案を複数出し、全体の構成と主要な計算で方針を決める
03計画設計ユニットごとに機構や構造を具体化し、配置と主要寸法を固める
図面にする
04詳細設計部品1つずつの形状・寸法・公差・材料を決め、部品図と組立図を作る
05検図・デザインレビュー図面の誤りを確認し、関係部門を交えて設計の妥当性を審査する
06出図・手配承認済みの図面を製造や購買に渡し、部品を加工・調達する
確かめて渡す
07試作・評価組み立てて動かし、性能・耐久性・組みやすさを確かめて図面を直す
08量産移行・立ち上げ量産図面を確定し、量産工場や顧客先での立ち上げを支援する
09設計変更・改良不具合や原価低減、部品の廃番に合わせて図面を改訂する

※装置の設計では、07の代わりに社内での組立・調整と顧客先での据付・試運転が入ります。

日本機械設計工業会が実施する機械設計技術者試験では、級ごとに能力の目安を定めています。1級は「基本設計業務」、2級は「計画設計業務」、3級は「詳細設計の補佐、ならびに関連する製図等の業務」を行える能力です。

設計の段階が上流に行くほど、より多くの経験と判断力が求められることが、この区分からも読み取れます。

仕様の確認と構想設計

最初に、製品や装置に何が求められているかを整理します。洗い出す主な項目は次のとおりです。

  • 性能
  • 大きさ
  • 重さ
  • 使用環境
  • コスト
  • 納期
  • 準拠すべき規格

これらを仕様書の形で関係者と合意します。ここがあいまいなまま進むと、後で「思っていたものと違う」という手戻りが起きます。

仕様が固まったら構想設計に入ります。モーターで動かすか空気圧で動かすか、どんな機構で位置決めするか、といった実現方法の案を複数出して比べ、全体の構成と主要な計算で設計の方針を決める段階です。構想図と呼ばれるラフな図面や、簡単な3Dモデルで検討することが多くなります。

計画設計

構想で決めた方針をもとに、ユニットごとに機構や構造を具体化します。モーターや減速機、軸受などの主要部品の選定、全体の配置、主要寸法の決定、強度や寿命の計算がこの段階の中心です。

計画図と呼ばれる組立状態の図面で、部品どうしが干渉しないか、組み立てや保守の手が入るかを確かめていき、ここで決めた配置と寸法が、詳細設計の枠組みになります。

詳細設計と出図

詳細設計では、部品1つずつの形状、寸法、公差、材料、表面処理を決め、部品図と組立図を作成し、部品表(BOM)もこの段階で整えます。加工する人が図面だけを見て正しくつくれるよう、必要な情報を漏れなく、1通りにしか読めない形で書くことが求められます。

完成した図面は、上司や担当者による検図で誤記や寸法の抜けを確認し、承認を経て出図されます。出図とは、正式な図面として製造部門や購買部門、外部の加工先へ渡すことです。

デザインレビュー

設計の節目では、デザインレビュー(DR)と呼ばれる審査を行います。JIS Z 8115では、設計活動に対する「文書化された計画的な審査」と定義されています。設計者だけでなく、品質保証、生産技術、製造、購買などの関係部門が参加し、それぞれの立場から問題がないかを確かめます。

DRでは、故障モードとその影響を洗い出すFMEA(故障モード・影響解析)や、望ましくない事象の原因をさかのぼるFTA(故障の木解析)といった手法も使われます。問題を図面の段階で見つけておくほど、修正にかかる費用と時間は小さく済みます。

試作・評価

図面どおりにつくった試作品を組み立て、実際に動かして評価し、狙った性能が出るか、繰り返し動かしても壊れないか、組み立てやすいかを確かめ、問題があれば原因を調べて図面を直します。

量産品では、試作と評価を何度か繰り返してから量産図面を確定させるのが一般的です。評価で見つかった不具合の原因をたどると、計算の前提や公差の決め方に行き着くことも多く、設計者として最も学びが多い工程といえます。

量産移行と設計変更

評価を終えると、量産図面を確定させて量産工場へ引き継ぎ、装置の設計であれば、顧客先での据付や立ち上げに立ち会うこともあります。

仕事は出図で終わりではなく、設計変更は製品が売られている間ずっと続きます。主な例は次の3つです。

  • 量産中の不具合への対応
  • 原価低減のための形状変更
  • 使っていた部品の生産終了に伴う代替品の選定

変更の影響範囲を調べ、関係部門と調整しながら図面を改訂するのも、機械設計者の大切な仕事です。

図面に込める情報と設計の検討項目

機械の図面は、形を描くだけのものではありません。日本では機械製図のルールがJIS B 0001で定められており、部品図と組立図の描き方が規定されています。そのルールに沿って、つくる人と検査する人に伝える情報をすべて図面に書き込みます。

図4:部品図に書き込む3種類の情報

形と寸法だけでなく、材料やつくり方の指示までが図面の役割です。

SIZE寸法と公差各部の寸法と、許されるばらつきの幅。はめあいや幾何公差で、部品どうしの組み合わせと形の精度を指定する
MATERIAL材料と表面処理鋼、アルミ合金、樹脂などの材料記号。焼入れなどの熱処理、めっきや塗装などの表面処理
PROCESS加工と組立の指示表面の粗さ、面取り、溶接記号、注記。組立図では部品の位置関係や締め付けの条件
図面は、社内外の加工先に「この通りにつくってください」と伝える正式な指示書。書かれていないことは、つくる側の判断に委ねられてしまう。

図面に書く内容を決めるまでに、設計者は次のような項目を検討しています。

強度と剛性

部品が受ける力を見積もり、壊れないか(強度)、たわみすぎないか(剛性)を計算します。材料力学の公式で手計算することもあれば、後述するCAEで解析することもあります。

繰り返し力を受ける部品では、1回では壊れない力でも少しずつ傷んで破断する疲労も考える必要があります。安全率をどれだけ取るかは、設計者の判断が問われる場面です。大きく取れば安心ですが、そのぶん重く高くなります。

公差とはめあい

どんな加工でも、寸法には必ずばらつきが出るため、図面には、許容できるばらつきの幅として公差を書き込みます。

穴と軸のはまり具合は、JIS B 0401-1に定められた記号で「すきまばめ」「しまりばめ」などを指定します。平面度や直角度といった形や姿勢の精度は、JIS B 0021の幾何公差で指定します。

公差を厳しくすれば精度は上がりますが、加工と検査の手間が増えてコストが上がります。機能に必要な場所だけを厳しくし、それ以外は緩めるのが、実務で求められる公差の決め方です。

材料と加工方法

材料は、強度、重さ、耐食性、加工のしやすさ、価格のバランスで選びます。同じ形の部品でも、鋼にするかアルミ合金にするか、樹脂にするかで重さも価格も大きく変わります。材料技術の基本を押さえておくと、選択肢を比べやすくなります。

形状を決めるときは、どう加工するかも同時に考えます。削り出すのか、板金で曲げるのか、鋳造や樹脂成形でつくるのかによって、適した形はまったく違います。切削・溶接・熱処理などの加工技術を知っている設計者ほど、加工しやすく安い図面を描けます。

安全

機械による労働災害を防ぐため、厚生労働省は「機械の包括的な安全基準に関する指針」を定めています。この指針は、機械の設計段階でリスクアセスメントを行い、危険をできるだけ取り除くことを求めるものです。

危険を減らす方策には優先順位があり、機械安全の基本規格であるJIS B 9700(ISO 12100)では3ステップメソッドと呼ばれています。まず設計そのもので危険をなくし、それでも残るものを安全装置で防ぎ、最後に残ったリスクを使う人に伝えるという順番です。

図5:機械の危険を減らす3ステップメソッド

上の段ほど優先度が高く、設計者が最初に取り組むべき方策です。

ステップ1 本質的安全設計方策設計そのもので危険をなくす。挟まれない隙間にする、力や速度を必要最小限にする、鋭い角をなくす
それでも残る危険には
ステップ2 安全防護・付加保護方策カバーや柵で近づけないようにする。インターロック、非常停止装置を付ける
それでも残るリスクは
ステップ3 使用上の情報の提供警告表示や取扱説明書で、残留リスクと安全な使い方を使用者に伝える

※厚生労働省「機械の包括的な安全基準に関する指針」の保護方策の優先順位をもとに作成。

取扱説明書の注意書きで済ませるのは最後の手段です。安全の考え方は設計の最初から組み込むもので、後から付け足すほどコストも手間もかかります。

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機械設計で使うツール

機械設計者が日常的に使うツールは、描くためのもの、確かめるためのもの、管理するためのものに分けられます。

図6:機械設計で使う主なツールと役割

CADだけでなく、確かめる道具と管理する道具を組み合わせて使います。

2D CAD
描く平面の図面を作成する。既存図面の修正や、簡単な部品・レイアウト図で今も多く使われる
3D CAD
描く立体モデルで部品と組立品を作る。干渉の確認や重さの計算ができ、2D図面もモデルから作れる
CAE
確かめる強度・振動・熱・流れなどをコンピュータで解析する。試作前に弱点を見つけられる
計算書・表計算
確かめるモーター容量、軸の強度、ボルトの締結、寿命などの計算を記録し、根拠として残す
PDM・PLM
管理する図面や3Dデータ、部品表、変更履歴をまとめて管理し、関係部門と共有する
部品カタログ
管理する軸受、ねじ、直動部品、モーターなど標準部品の仕様と3Dデータ。選定と手配を早める

※どのソフトを使うかは会社や業界によって異なります。

現在の設計現場では、3D CADで立体モデルを作り、そこから2Dの図面を起こす流れが広がっています。

代表的なソフトには、SOLIDWORKS、CATIA、NX、Creo、Inventor、iCADなどがあります。業界や会社ごとに使うソフトがほぼ決まっていることが多く、取引先とデータをやり取りする都合から、求人で使用ソフトの経験が条件になることもあります。

CAEは、試作品をつくる前にコンピュータ上で強度や振動を確かめる道具で、試作の回数を減らせるため、開発期間の短縮に欠かせない存在になっています。CAD・CAEの仕組みを理解しておくと、解析結果をうのみにせず、前提条件の妥当性まで判断できるようになります。

見落とされがちですが、標準部品のカタログも重要な道具です。軸受やねじ、直動部品などを自分で一から設計することはほとんどなく、メーカーのカタログから適切な型式を選ぶ力が、設計の速さと確かさを左右します。

他部門との関わり

機械設計者は、1人で黙々と図面を描いているわけではありません。上流からは要求を受け取り、下流には図面を渡し、横では電気や制御の設計者と調整します。仕事時間のかなりの部分が、他部門との打ち合わせや調整に使われるのが実態です。

図7:機械設計と関係部門のつながり

上流から要求を受け、下流の部門が図面をもとに動きます。

上流:企画・営業・研究開発・顧客製品の狙い、要求仕様、新しい技術の種を受け取る
要求・仕様
機械設計構造・形状・材料・つくり方を決め、図面と部品表にまとめる
電気・制御設計モーターやセンサーの配置、配線スペースを一緒に決める
ソフトウェア設計動作の順序や制御の条件をすり合わせる
図面・部品表
生産技術・製造工程と設備を決め、量産する
購買・調達部品や加工品を手配する
品質保証検査基準を決め、品質を確かめる

※下流の部門からの意見は、DRや試作評価を通じて設計に戻されます。

特に関わりが深いのが、生産技術と品質保証です。生産技術からは「この形では量産しにくい」、品質保証からは「この寸法は検査できない」といった指摘が入ります。品質保証・品質管理の役割を知っておくと、指摘の背景が分かり、議論がかみ合いやすくなります。

購買との関係も欠かせません。図面で指定した部品が長納期だったり、生産終了が近かったりすると、スケジュールに大きく影響します。部品を選ぶ段階で入手性まで確認しておくのが、手戻りを防ぐ実務上のコツです。

機械設計に必要なスキルと資格

旋削したシャフトの外径をノギスで測る手元

機械設計に必要なスキルは、工学の基礎知識、図面とツールを扱う力、ものづくりの現場の知識、そして人と調整する力の4つに整理できます。

工学の基礎知識

土台になるのは、材料力学、機械力学、熱力学、流体力学のいわゆる4力学です。加えて、機構学、機械要素、制御工学の知識も使います。学生時代に学んだ内容が、そのまま計算の根拠として使われるのが機械設計の特徴です。

ただし、すべてを完璧に理解している必要はなく、実務では、よく使う計算を繰り返すうちに理解が深まっていく部分も大きく、入社後に学び直す人も多い分野です。

図面とツールを扱う力

JISの製図ルールに沿って、正確で読みやすい図面を描く力は欠かせません。CADの操作は慣れで身につきますが、公差の決め方や寸法の入れ方は、加工や検査の知識と結びついて初めて身につきます。

ものづくりの現場の知識

加工方法、組立の手順、検査の方法を知っていると、つくりやすく壊れにくい設計ができます。加工現場や組立現場に足を運び、自分の図面がどうつくられているかを見ることが、設計者として伸びる近道です。

人と調整する力

前の章で見たとおり、設計者は多くの部門と関わります。自分の設計意図を分かりやすく説明し、相手の指摘をくみ取って落としどころを探る力は、経験を積むほど重要になります。

役立つ資格

機械設計は資格がなくても就ける仕事ですが、知識の証明やスキルアップの目標として次のような資格があります。

  • 機械設計技術者試験(日本機械設計工業会):3級・2級・1級の3段階。3級は実務経験不要で学生も受験でき、機構学・機械要素設計、材料力学、機械製図など8分野から出題されます
  • 3次元CAD利用技術者試験(コンピュータ教育振興協会):筆記の2級と、実技の準1級・1級があります。1級はパーツとアセンブリのモデリングを120分で行う実技試験です
  • 技術士(機械部門):日本技術士会が「科学技術における最高位の国家資格」と位置づける資格。選択科目「機械設計」では設計工学、機械要素、CAD・CAE、PLMなどが範囲です。令和7年度の第二次試験では、機械部門の受験者884人に対し合格者は143人(合格率16.2%)でした

このほか、職種全般で役立つ資格は製造業で役立つ資格一覧で難易度とあわせて整理しています。まずは3級や2級で基礎を固め、実務経験を積みながら上位資格を目指す、という順番が現実的です。

機械設計に向いている人

組立中の大型工作機械のベッドを見る技術者

ここまで見てきた仕事の中身から、機械設計に向いているのは次のような人です。いずれも最初から備わっている必要はなく、仕事を通じて伸ばしていける資質です。

仕組みを考えるのが好きな人

機械がなぜそう動くのか、どうすればもっと簡単にできるのかを考えるのが好きな人には、日々の仕事そのものが面白く感じられるはずです。自分が考えた機構が実物になって動く瞬間は、機械設計ならではのやりがいです。

細かい確認をいとわない人

図面の寸法を1か所間違えるだけで、部品がはまらない、組み立てられないといった問題が起きます。数字や記号を丁寧に確かめ、抜けや漏れがないかを繰り返し見直す地道な作業が苦にならない人は、信頼される設計者になれます。

制約の中で落としどころを探せる人

設計には、性能、コスト、納期、つくりやすさ、安全といった互いにぶつかり合う条件がつきものです。理想だけを追うのではなく、条件の優先順位を整理し、関係者が納得できる答えを出せる人が、機械設計では活躍します。

機械設計の求人や、ほかの会社での働き方も知りたい方へ、転職・キャリアガイドを用意しています。

機械設計のよくある質問

機械設計は英語で何といいますか?

一般に機械設計はメカニカルデザイン(Mechanical Design)、設計者はメカニカルエンジニアと呼ばれることが多い言葉です。求人や社内では、機構設計や設計開発など別の呼び方が使われることもあります。

機械設計で使うCADはどれを覚えればよいですか?

代表的なソフトにはSOLIDWORKS、CATIA、NX、Creo、Inventor、iCADなどがあり、業界や会社ごとにほぼ決まっています。取引先とのデータのやり取りから、求人で使用ソフトの経験が条件になることもあるため、志望する業界で多いものから覚えると効率的です。

機械設計の仕事に資格は必要ですか?

機械設計は資格がなくても就ける仕事で、資格は知識の証明やスキルアップの目標として役立ちます。機械設計技術者試験の3級は実務経験不要で学生も受験でき、基礎を固めてから上位の級や技術士を目指す順番が現実的です。

機械設計者にも電気や制御の知識は必要ですか?

機械設計では機構学や機械要素に加えて制御工学の知識も使い、電気・制御設計の担当者とモーターやセンサーの配置、配線スペースを一緒に決めます。深い専門知識までは要らなくても、基本を知っているほど調整がかみ合いやすくなります。

まとめ

この記事のまとめ
  • 機械設計は、機能を満たす構造・形状・材料・つくり方を決め、図面にする仕事
  • 量産品の設計、設備・装置の設計、受託設計で進め方と求められる力が違う
  • 仕事は仕様確認から構想・計画・詳細設計、DR、試作評価、量産移行、設計変更まで続く
  • 図面には寸法だけでなく公差・材料・加工の指示を込め、安全は設計段階から組み込む
  • 3D CADやCAEを使いこなしつつ、他部門と調整する力が欠かせない

機械設計は、ものづくりの上流で製品の品質とコストの多くを決める、責任とやりがいの大きい仕事です。製造業のほかの技術職との違いは製造業の職種一覧で、設計者としての将来の歩み方は製造業のキャリアパスで詳しく紹介しています。

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MONOSCOPEの運営者

プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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