電動弁のリレー付きは、操作信号とモーターの駆動回路を中継するリレーを内蔵した仕様です。制御装置の出力と弁の入力を合わせるときや、複数台を連動させるときに選びます。
選定の出発点は、駆動電源、操作信号、接点容量を結線図で照合することです。リレー付きという名称だけでは、接続できる信号の形式や電圧は決まりません。
同じ電動弁でも、盤内に中継リレーを置く構成と、弁側へ内蔵する構成があります。リレーの仕組みから両者の使い分けをたどり、配線前の確認事項や動作が不安定になる原因を整理します。
動画でもリレーと電動弁の関係を紹介しています。電圧の使い分けは具体的な定格値で読み、チャタリングはリレーの追加だけで解消せず、電源や入力信号から原因を調べるのが基本です。
リレーとは
リレーは、外部から受けた電気信号によって、別の回路を開閉する機器で、継電器とも呼びます。電動弁では、制御装置の指令を受けてモーター側の回路を切り替える中継役になります。
代表的なのは、電磁石で接点を動かす有接点リレーと、半導体で電流を制御する無接点リレーです。操作する側の仕様と、開閉される負荷側の仕様を分けて読むことが、どちらにも共通します。
コイルが作る磁力で可動片を引き、離れた位置の接点を動かします。
※動作原理の模式図。実機の端子配列や結線方法を示す図ではありません。
有接点リレーの仕組みと定格
有接点リレーは、コイルへ通電して生じる磁力で可動片を引き、接点を開閉する構造です。コイルの電流でモーターを直接回すのではなく、モーターにつながる別の電源回路を接点で操作します。
コイルにはAC用とDC用があり、指定された電源と定格電圧で使います。接点が交流負荷を開閉できることと、コイルを交流電源へつなげることは別なので、両方の表示を読み分けます。
接点の寿命には、負荷を流さずに動かす機械的耐久性と、実際の負荷を開閉する電気的耐久性があります。電動弁のモーターでは始動時の電流も関わるため、開閉回数だけでは寿命を決められません。
ソケット式なら部品交換がしやすく、制御盤の保守にも向いています。基板に実装する製品もあるので、仕様書には取付方式と交換単位を残しておきます。
無接点リレーとの違い
無接点リレーの代表が、SSRと呼ばれるソリッドステートリレーです。接点を機械的に動かさないため接点摩耗がなく、頻繁な開閉に適しますが、発熱と放熱の条件を含めた選定が必要です。
SSRは、負荷電源が交流か直流かに対応した出力方式を選んで使います。入力の信号電圧と負荷の電源電圧は別の定格であり、定格電流以内でも周囲温度や放熱条件によって使える電流が変わります。
SSRはオフでも漏れ電流が流れる製品があり、短絡故障では負荷を切れなくなります。異常時はコンタクタやブレーカーで負荷電源を遮断する構成とし、短絡保護との協調も設計します。
有接点をSSRへ交換する場合は、外形や電流値が同じでも、そのまま置き換えられません。電動弁の正逆転回路との適合や漏れ電流を調べ、メーカーが示す駆動条件に合わせて回路を決めます。
リレーの目的

リレーの主な目的は、指令を出す側と、動かされる機器側の電気的な条件を合わせることです。制御盤では信号の分配や電源系統の切り分けにも使い、回路全体の保守性を整える役割を持ちます。
- 一つの指令を複数の独立した接点へ分配する
- 直流で受けた指令によって、交流電源側の回路を開閉する
- 操作回路とモーターの駆動回路で電圧や電流を使い分ける
直流から交流へ信号を渡す場合も、リレー自身が電圧や周波数を変換するわけではありません。交流側には別途電源があり、その回路を接点が開閉することで、直流の指令を動作へつなげています。
リレーは電力を変換せず、それぞれの電源で成立する二つの回路を中継します。
※この電圧の組合せに対応したリレーと電動弁を使う仮想例。すべてのリレー内蔵弁の仕様を示していません。
信号の分配と異なる電源の中継
複数の接点を持つリレーなら、一つの指令から別々の回路へ動作を伝えられます。例えば、電動弁への指令と監視用の信号を分ける場合は、それぞれに必要な接点数と負荷条件を決めます。
このとき、指令を分配した接点の動作は、弁が全開になった証拠にはなりません。実際の到達位置は、弁側のリミットスイッチから取り出す全開・全閉信号で判断します。
制御装置の出力を読む際は、DI・DOなどの信号の方向も整理すると、接続の誤りを減らせます。弁へ出す開閉指令と、弁から受ける位置信号は、別々の入出力として扱います。
無電圧接点の出力なら、接点自体が電圧を供給するのではなく、相手側の回路を開閉します。無電圧接点と有電圧接点の違いを押さえ、端子に外部電圧を加える仕様かどうかを読み分けます。
安全性と保守性をどう考えるか
操作側を低い電圧で構成できれば、操作盤へ引き回す回路を整理しやすくなります。ただし、一般リレーの採用だけで機械の安全が成立するわけではなく、絶縁や遮断、誤動作時の扱いは別に設計します。
透明ケースや動作表示灯は、異常を探す手掛かりになりますが、目視だけでは接触不良を判定できません。コイルが動いていても接点の抵抗増大や溶着が起こるため、指令と実際の出力を分けて調べます。
端子や配線を扱う前には、駆動・操作の関係電源を隔離し、無電圧を確認します。施錠や通電禁止の表示などで誤通電を防ぎ、残留電荷にも対処します。SSRのオフ指令だけでは電源隔離になりません。
SSRは電源を切った直後も、内部回路に電荷が残るため端子に触れません。点検は停電作業を基本とし、通電測定が必要な場合は、設備の手順に従って適切な資格・技能を持つ担当者が実施します。
電動弁にリレーは必要?
電動弁にリレーが必要かは、制御装置の出力形式と、電動弁の入力仕様の組合せで決まります。電圧が違う場合に限らず、接点容量や並列運転の条件が合わない場合にも、中継回路が選択肢になります。
例えばPLCという制御装置の出力がDC24Vでも、弁の操作入力がその信号を受けられれば直接接続できます。反対に、弁が交流の操作回路を要求する場合は、適合する中継リレーなどを介して指令を渡します。
リレー内蔵型と盤内リレーの使い分け
リレーを弁のアクチュエータ側に内蔵すると、メーカーが設計した駆動回路と組み合わせて使えます。盤内へ中継リレーを置く構成では、端子や部品を盤へ集約し、現場に行かずに点検しやすくなります。
同じ中継機能でも、内蔵型は弁側、外付け型は盤側が点検対象になります。
※機能配置の比較図。線数・端子・電源の取り方は機種ごとの結線図で決まります。
内蔵型は、盤内の取付スペースや盤内配線を減らせる点が利点です。弁の追加価格、交換部品の入手性、現場での作業性も含めて、盤内へ置く構成と比較します。
高所や立入りに制約のある場所では、リレーの交換に足場や設備停止が必要になることもあります。反対に、多数の小型弁を分散配置する設備では、弁側へ機能をまとめた方が盤を小さくしやすくなります。
配線費を比べるときは、制御線の電圧だけでなく、必要な芯数と距離、接続箱の数を図面から拾います。コモン線のまとめ方や電源系統の分離条件も関わるため、信号線一本だけで判断しません。
並列運転と入力信号を結線図で確かめる
KITZの小型電動式EAシリーズには、AC100V・200Vのリレー内蔵型EAL/EALBがあります。同社カタログは、一つの切替スイッチで複数のアクチュエータやリレー・ポンプ等を並列駆動する場合に、EAL型を指定しています。
標準EA/EAB型の回路図では、異常電流の回り込みを防ぐため、共通スイッチと各アクチュエータの間にリレー接点を介すよう指示しています。対象はこの製品系列です。他メーカーや別形式には、それぞれの指定回路を使います。
したがって、内蔵リレーの有無は、DC24VとAC100Vを分離するかどうかだけで決まりません。同じ電源電圧で使う設備でも、共通の操作接点から複数台へ指令を渡すために内蔵型を選ぶ場合があります。
また、弁の操作方式には、開と閉の二つの指令を使うものや、一つの接点の入切で切り替えるものがあります。接点がオンの間だけ動かすのか、短い指令を記憶するのかも、製品ごとの入力回路で決まります。
短い指令を送る場合は、パルス信号とステータス信号の違いが選定に直結します。保持を要求する弁へ瞬間的な信号を送ると、必要な位置まで動かない原因になるためです。
開と閉を別々に指令する方式では、両指令を同時に出さない回路も設計に含めます。PLCのシーケンス制御と弁内部の回路の役割を分け、停電復帰後の再始動条件まで決めておきます。
仕様欄の「有・無」だけでなく、制御装置側と弁側の条件を一行ずつ合わせます。
| 照合する項目 | 制御装置・盤側 | 電動弁側 |
|---|---|---|
| 信号の形式 | 接点出力/トランジスタ出力 | 無電圧接点入力/電圧入力 |
| 電源・容量 | 出力定格・同時投入数 | 操作電源・駆動電源・始動電流 |
| 開閉方式 | 保持/パルス、相互禁止 | 入力の成立条件・必要な停止時間 |
| 複数台操作 | 共通指令の作り方 | 並列接続の可否・指定回路 |
| 停止・復帰 | 信号断・電源断・再起動指令 | 停止位置・復帰後の挙動 |
※弁メーカーの結線図と制御装置の出力仕様を対にして確認します。
操作側の電流を計算する例
リレーを追加する場合は、そのコイルも制御電源にとっての負荷になります。例として、定格DC24Vで消費電力0.9Wのコイルを仮定すると、一個あたりの定常電流は次のように求められます。
同じコイルを四個同時に励磁するなら、合計は150mA、消費電力は3.6Wになります。実際の選定では、出力一点の容量とグループ全体の容量を分け、他の負荷も含めて電源容量を見積もります。
この計算で求めたのはコイルの定常電流であり、モーターを開閉する接点容量ではありません。交流コイルの突入や駆動機器の始動電流は、直流の計算例から推定せず、メーカーの値を使います。
チャタリングは原因を分けて対策する
リレーが繰り返し動いたり、電動弁が細かく動いたりする場合は、何が変動しているかを切り分けます。コイル電圧の不足と、制御指令の入切の繰返しでは、対策する回路や設定が異なります。
短時間の機械的な跳ね返りと、電圧低下による反復動作では原因が違います。
※原因を区別するための概念波形。青線の上段が接点閉、下段が接点開です。動作・復帰のしきい値や時間を定量的に示す図ではありません。
オムロンの資料では、モーターの始動時などの電圧低下が、リレーの不完全動作の原因として挙げられています。電源容量や配線での電圧降下を調べ、コイル端子で必要な電圧が得られる構成に直します。
一方、接点バウンスは、接点が切り替わる瞬間に機械的な衝突で短い入切が生じる現象です。入力回路で除去する場合は、必要な応答時間との関係を決め、異常信号まで消さない条件で設計します。
液面などが設定値の近くで揺れ、開閉指令そのものが頻繁に変わる場合もあります。この場合は二位置制御の動作すき間を検討し、センサーの変動と制御条件を調べるのが先です。
ノイズが疑われる場合は、動力配線との経路や接地、サージの発生源を調べてから対策を選びます。ノイズフィルターの役割と電源容量不足への対策を分けると、原因に合った処置を選べます。
発注前と試運転で残しておく情報
発注時には、弁本体だけでなくアクチュエータの形式と電源仕様、リレーの有無を明記します。端子番号付きの結線図を納入仕様書に含めると、盤メーカーとの照合を進めやすくなります。
試運転では、指令の成立、弁の移動、全開・全閉信号の順番を、実際の動きと照らし合わせます。通常の開閉に加えて、信号が切れた場合と電源が切れた場合を区別し、仕様どおりの挙動を記録します。
電動弁が動かないときも、すぐにリレーの故障と決めず、電源と指令から順に追います。保護装置が動作していれば、ヒューズが切れた原因を調べてから復旧し、原因を残したまま再投入しません。
電動弁のリレーのよくある質問
リレー付きならDC24Vで操作できる?
リレー付きという名称だけでは、DC24V入力かどうかは決まりません。弁の駆動電源と操作入力の定格は別に読み、入力端子へ接続する回路を、メーカーの結線図と制御装置の仕様で照合します。
リレーなしの電動弁はPLCで制御できない?
入力形式と出力容量が適合すれば、リレーなしの弁もPLCから制御できます。適合しない場合は中継リレーなどを設けますが、その構成でもモーター負荷や開閉方式に合う出力仕様が必要です。
リレー付きなら停電時に自動で閉まる?
停電時の動作は、ばねや蓄電機構など、アクチュエータが持つ機能で決まります。リレー内蔵という条件だけでは閉動作を保証せず、必要な停止位置と電源喪失時の動作を発注仕様に明記します。
同じスイッチで複数の電動弁を動かせる?
メーカーが指定する並列運転対応の回路であれば、一つの指令から複数台を操作できます。内蔵型の指定や台数の条件を結線図で読み、非対応の弁の操作線をまとめて接続することは避けます。
リレーの音がすれば正常に開閉している?
動作音で分かるのは可動部が動いた可能性までで、接点の導通や弁の移動は別の確認事項です。指令と出力の状態を切り分け、弁の位置表示や全開・全閉信号まで追って判断します。
まとめ
- リレーは、外部から受けた信号によって別の回路を開閉する中継機器
- コイルの操作電源と、接点で開閉する負荷電源は別の定格として読む
- 電動弁では電圧・出力容量の適合に加え、並列運転の条件も選定に関わる
- 内蔵型と盤内リレーは、配線費・設置場所・部品交換のしやすさで比較する
- 繰返し動作は電圧不足・接点バウンス・指令変動を区別して対策する
電動弁を選ぶ際は、リレーの有無より先に、弁が何を受けてどう動くかを整理すると判断しやすくなります。盤と現場の結線図を一組でそろえ、操作から位置確認までのつながりを追って選定しましょう。
出典
リレーの基本構造はオムロン「一般リレー 概要」、動作すき間は同「温度調節器 用語解説」を参照しています。停電作業の措置は厚生労働省掲載「労働安全衛生規則」第339条で確認できます。
- オムロン「一般リレー 用語解説」:定格・耐久性・接点バウンスの定義。
- オムロン「ソリッドステート・リレー 参考資料」:故障モード、保護、モーター負荷の注意事項。
- オムロン「ソリッドステート・リレー 共通の注意事項」:漏れ電流、定格、負荷条件。
- オムロン「一般リレー トラブルシューティング」:入力電圧、配線、接触不良、始動時の電圧低下。
- KITZ「小型自動操作バルブ」J-301=59:小型電動式の選定注意事項、EAL型と並列駆動。
- ケイヒン「リレー内蔵型電動ボール弁 MVBシリーズ」:リレー内蔵製品の仕様例。
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