圧力の単位換算表|kPa・MPa・kgf/cm²と「キロ」の違い

配管に接続された圧力計の背面

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圧力の単位は、SI(国際単位系)ではPa(パスカル)を使い、1 MPa=1,000 kPaです。現場で「1キロ」と呼ぶ1 kgf/cm²は98.0665 kPaなので、1 kPaとは約98倍も違います。

配管や空気圧機器の引継ぎでは、数値が合っていても単位の省略が行き違いを生みます。さらに大気圧を基準にするゲージ圧と、絶対真空を基準にする絶対圧では、同じ圧力でも表示の数字が変わります。

圧力の単位換算表を中心に、kPa・MPaの読み替え、kgf/cm²の由来、bar・atm・psiとの関係を整理します。水柱と真空の計算例まで追うと、仕様書と現場の言葉を同じ条件で照合できます。

目次

圧力の単位

圧力は、ある面に垂直に加わる力を、その面積で割った量です。1 m²の面に1 Nの力が一様に働くときの圧力が1 Paです。力だけでも、載っている物の質量だけでも圧力は決まりません。

N(ニュートン)は力の単位で、kg(キログラム)は質量の単位です。同じ力を加える場合も、受ける面積が小さくなるほど圧力は大きくなり、面積が2倍なら圧力は半分になります。

逆に圧力と面積が分かれば、面に加わる力を計算できます。たとえば0.5 MPaの圧力差が面積10 cm²に一様にかかる場合、力は500 Nです。圧力だけを見て「小さい力」と判断せず、受圧面積も含めて考えます。

例:圧力差から受圧面に働く力を求める
F = ΔpA
= (0.5 × 106) × (10 × 10−4)
= 500 N
F:圧力差による力[N] Δp:面の両側の圧力差[Pa] A:面積[m²]。摩擦などは含まず、圧力差による力だけの計算例です。

図1:同じ力でも、受ける面積で圧力が変わる

力を100 Nにそろえると、受圧面積0.01 m²では10 kPaになります。

押す力 F=100 N受圧面積 A=0.01 m²p=100 ÷ 0.01=10,000 Pa=10 kPa

模式図の横幅は面積の比を表しません。板の下に加わる平均の圧力を計算しています。

配管の内側では、水や空気が壁を押す力を圧力として読み取ります。正圧と負圧を一つの目盛りで扱う計器は、連成計と圧力計・真空計の違いで、目盛りの読み方や設置場所を整理しています。

圧力の定義
p = FA
1 Pa = 1 N/m2
p:圧力[Pa] F:面に垂直な力[N] A:受圧面積[m²]。一様でない場合は面全体の平均圧力です。

Paは工業設備の圧力を表すには小さいため、通常はkPaやMPaにまとめます。kとMは単位の倍率を示す接頭語で、kPaとMPaは圧力の種類が違うのではなく、数字の桁を変える表記です。

k(キロ)は1,000倍、M(メガ)は1,000,000倍を表します。天気予報で使うh(ヘクト)は100倍なので、1 kPaは10 hPaです。hPaからkPaへ直すときは数字を10で割ります。

接頭語による単位の倍率
1,000 Pa = 1 kPa
1,000 kPa = 1 MPa
1 MPa = 10,000 hPa
Pa:パスカル kPa:キロパスカル MPa:メガパスカル hPa:ヘクトパスカル。各式は接頭語の定義による正確な関係です。

図2:0.35 MPaを違う桁で書く

下に進むほど単位が小さくなり、同じ圧力を表す数字は大きくなります。

MPa
0.35 MPa
kPa
350 kPa 上の数字の1,000倍
hPa
3,500 hPa 上の数字の10倍
Pa
350,000 Pa 上の数字の100倍

単位を変えても配管内の状態は変わりません。この図はゲージ圧・絶対圧のどちらにも使えます。

単位の記号は大文字と小文字で意味が分かれるため、kPa・MPa・hPaと書きます。KPaやMpaという表記は避けます。図面や表計算でも、元資料と転記先の単位記号までそろえると桁の誤りを減らせます。

圧力はPaのほか、bar(バール)、atm(標準気圧)、Torr(トル)でも表されます。kgf/cm²は工学気圧、psiは重量ポンド毎平方インチを表し、海外の機器や古い設備図面を読む場面で登場します。

日本の計量法で使える単位と、SIの単位という分類は同じではありません。barやatmも日本では法定計量単位であり、Pa以外の表示を見ただけで、法律に違反しているとは判断できません。

圧力の単位換算表

よく使う圧力の単位を、kPaとMPaにそろえると次の表の関係になります。表の換算係数は単位の大きさだけを比べた値で、大気圧を加えたり引いたりする処理は含みません。

元の値kPaに換算MPaに換算定義・丸めの扱い
1 Pa0.0010.000001SI単位
1 hPa0.10.0001100 Pa
1 kPa10.0011,000 Pa
1 MPa1,00011,000,000 Pa
1 kgf/cm²98.06650.0980665標準重力に基づく換算
1 bar1000.1100,000 Pa、正確な値
1 atm101.3250.101325101,325 Pa、正確な値
1 Torr約0.133322約0.000133322101,325 Paの760分の1
1 mmHg約0.133322約0.000133322日本の法定定義ではTorrと同じ
1 psi約6.89476約0.00689476実用上の丸め値
1 mH₂O9.806650.00980665慣用水柱、密度1,000 kg/m³・標準重力
表の小数桁数は換算係数を示すためのものです。測定結果がその桁まで正確という意味ではありません。

表は「元の値1あたりの換算値」なので、実際の数値に係数を掛けて使います。たとえば2.5 barなら100を掛けて250 kPa、さらに1,000で割れば0.25 MPaです。途中で圧力の基準は変わりません。

逆向きの換算では、表の係数で数値を割ります。350 kPaをkgf/cm²に直す場合は98.0665で割り、約3.57 kgf/cm²となります。換算後に元へ掛け戻すと、計算の向きも点検できます。

例:350 kPaをkgf/cm²に直す
換算値 = kPaでの値98.0665
= 35098.0665 = 3.569006…
350 kPa ≒ 3.57 kgf/cm2
98.0665:1 kgf/cm²あたりのkPa換算値。答えは有効数字3桁に丸めた例です。

換算したい単位の組合せが表にないときは、いったんkPaにそろえてから目的の単位へ進みます。たとえばkgf/cm²からpsiへは、98.0665を掛けてkPaへ直し、次に6.89476で割る順序です。

一度に暗算で処理するより、元の値と単位を残して途中の換算値を書くほうが、第三者も検算できます。計算書では係数を十分な桁数で保持し、最後に測定器の分解能や用途に合わせて丸めます。

以下の計算例では、換算の手順を示すために入力値を与え、答えを3桁などに丸めて示します。350や0.7といった入力の書き方だけで、実際の測定値の有効数字や不確かさを決めるものではありません。

換算表を表計算に入れる場合は、数値の欄と単位の欄を分けておくと便利です。単位の文字を数値に直接含めると計算しにくいため、係数の参照先と出力単位を隣に表示し、入力した元の値も残します。

計算式の点検には、1や100など暗算しやすい値を一つ入れてみます。1 MPaが1,000 kPaに、1 barが100 kPaになるかを先に試すと、係数を逆に使った式や、1,000倍の処理を二重にした式を見つけやすくなります。

「1キロ」は1 kgf/cm²なのか、1 kPaなのか

現場の「圧力は何キロ」という言葉は、kgf/cm²を省略した呼び方として残っています。一方でkPaもキロパスカルと読むため、数字だけを口頭で伝えると、同じ「キロ」に二つの意味が入り込みます。

kgfのfはforce(力)を表し、標準重力のもとで1 kgの質量に働く重さに対応します。1 kgf=9.80665 Nです。kgf/cm²を単にkgと書くと、質量と力と圧力の区別が失われます。

図3:kgf/cm²が98.0665 kPaになる理由

分子の力と分母の面積を、それぞれNとm²へそろえます。

力の換算1 kgf=9.80665 N標準重力gₙ=9.80665 m/s²
面積の換算1 cm²=0.0001 m²長さの100倍を2方向に掛ける
9.80665 N0.0001 m2 = 98,066.5 Pa
1 kgf/cm2 = 98.0665 kPa

面積の換算で大切なのは、1 m=100 cmをそのまま使わず、長さの比を二乗する点です。1 m²は100 cm×100 cmなので10,000 cm²です。逆に1 cm²は0.0001 m²に相当します。

面積をそろえてから圧力を求める
1 m2 = 10,000 cm2
1 kgf/cm2 = 9.80665 N10−4 m2
= 98,066.5 Pa = 0.0980665 MPa
標準重力を使ったkgfの定義による換算です。実際の土地で測った重力加速度を代入して換算係数を変更するものではありません。

「1キロは約0.1 MPa」という暗算は、設備の圧力帯をつかむには便利です。ただし0.1 MPaは1 kgf/cm²より約1.97%大きいため、試験圧力や設定値の正式な換算には98.0665を使います。

たとえば「7キロ」を7 kgf/cm²として換算すると0.6864655 MPaで、概算では約0.69 MPaです。これを0.7 MPaと読み替えると、0.0135345 MPaの差が出ます。既存の設定票を転記する際は、丸め方も記録します。

新しい計器を選ぶときは、古い計器の目盛りの数字だけで判断しません。表示単位を合わせ、物理量としての範囲をそろえます。たとえば旧10 kgf/cm²は0.980665 MPaであり、1 MPaと厳密には異なる範囲です。

安全弁の設定圧力や機器の耐圧は、運転時の目安とは別に指定されています。安全弁の選び方のように、適用する仕様書の単位と基準をそろえて扱うことが、安全上の数値を誤読しない出発点です。

bar・atm・psiを取り違えない換算例

barは100 kPa、atmは101.325 kPaなので、両者は近いものの同じ単位ではありません。「1気圧だから1 bar」と置き換えると1.325 kPaの差があり、真空や精度を扱う計算では省略できません。

atmは標準気圧という単位の大きさを表し、いま現場で実測した大気圧を指す言葉ではありません。気象や標高によって周囲の圧力は変わるため、絶対圧への補正にいつも1 atmを加えるとは限りません。

psiは、1平方インチに1重量ポンドの力が働く圧力を表す単位です。海外製の空気圧機器ではpsigやpsiaの表示もあり、gはゲージ、aは絶対圧の区別として、数値と一緒に読み取ります。

例:100 psiをkPa・MPaに換算する
p = 100 × 6.89476 = 689.476 kPa
p = 689.4761,000 = 0.689476 MPa
100 psi ≒ 689 kPa ≒ 0.689 MPa
係数は1 psi≒6.89476 kPaを使用。答えは有効数字3桁の例です。100 psigなら結果もゲージ圧、100 psiaなら結果も絶対圧になります。

圧力が0.5 MPaと書かれた仕様をbarへ直すと5 barで、psiへは約72.5 psiになります。どちらも同じ基準での換算です。0.5 MPaに大気圧を加えてから換算すると、別の数値を求めたことになります。

比較する資料の片方にだけgやabsの注記がある場合は、先に基準を合わせます。単位がそろっていても基準が違えば比較できないため、カタログでは表の欄外や仕様条件にある注記まで含めて読みます。

TorrとmmHgは定義の文脈まで読む

Torrは、1 atmを760等分した圧力で、1 Torr=101,325/760 Paです。日本の計量単位令では、生体内圧力や血圧に用いるmmHgもこの値です。その法定定義では1 mmHg=1 Torrです。

一方、海外資料にあるconventional mmHgは、所定の水銀密度と標準重力から計算する慣用単位です。約133.322387 Paとなり、Torrの約133.322368 Paとはわずかに異なります。精密な校正では資料の定義を読み分けます。

通常の工業換算を小数数桁で示す場合、この差は表示上ほぼ現れません。実用表では1 mmHg≒0.133322 kPaと扱えます。定義まで世界共通で完全に同じだと説明することとは区別します。

760 Torrは定義から正確に1 atmですが、水銀柱の実測高さ760 mmを読む場面では条件が増えます。液温による密度変化や設置場所の重力などを扱うため、定義された単位の換算と実際の柱の測定は別の作業です。

たとえば20 Torrという絶対圧は、係数を掛けると約2.66645 kPaです。ゲージ圧へ変える場合は、この値から周囲大気圧を引くため、単位を変えるだけの処理とは計算を分けます。

水柱の高さをkPaへ直すときの条件

水柱メートルは、水がつくる圧力を高さに対応させた表し方です。慣用換算では1 mH₂O=9.80665 kPaですが、実際のタンクの水深を圧力に変えるときは水の密度と重力を使います。

密度1,000 kg/m³、重力加速度9.80665 m/s²とすれば、高さ1 mの圧力差は9,806.65 Paです。温水や別の液体では密度が変わるため、「液深1 mならいつも同じ圧力」とは扱いません。

この慣用水柱は密度を指定した換算で、特定温度の実際の水そのものを表す値ではありません。NISTの表でも4 ℃の水柱と慣用水柱は分かれており、温度が付く資料ではその条件の係数を使います。

図4:開放水槽では液面からの高さが圧力差になる

密度1,000 kg/m³、水深5 mの計算例では底のゲージ圧が約49.0 kPaです。

液面は大気開放液面のゲージ圧=0ρ=1,000 kg/m³5 m底の圧力差 ρgh=49.03325 kPa

図は静止した液体の計算です。ポンプや流れによる圧力変化は含みません。

例:大気開放水槽の深さ5 mで生じる圧力差
Δp = ρgh
= 1,000 × 9.80665 × 5
= 49,033.25 Pa
Δp ≒ 49.0 kPa = 0.0490 MPa
Δp:液面と測定点の圧力差[Pa] ρ:液体密度[kg/m³] g:重力加速度[m/s²] h:液面からの深さ[m]。答えは3桁に丸めた例です。

この条件では水深10 mで約98.1 kPaとなり、「約0.1 MPa」という現場の目安の根拠になります。密閉水槽では、液面の上に圧力がかかる場合もあります。その圧力に水深による増加分を足すと、底の圧力を計算できます。

ポンプで使う揚程も、流体が受け取るエネルギーを高さに置き換えた指標です。圧力と揚程を混ぜないために、ポンプの性能曲線と揚程を読む際は、扱う液体の密度と運転条件を対応させます。

U字管では片側からの深さではなく、両側の液面高さの差を読みます。マノメーターの原理でも、使用する液体の密度と圧力をかける側の関係が、目盛りを圧力差へ変える基本になります。

ゲージ圧と絶対圧(MPaG・MPaA)

ゲージ圧は周囲の圧力をゼロとして表した値で、通常は大気圧を基準にします。絶対圧は絶対真空をゼロにするため、同じ配管を測っても、二つの表示には大気圧の分だけ差が生じます。

仕様書のMPaG、MPaA、MPa absは、この基準を見分けるための表記です。GやA自体はSI接頭語ではありません。正式な記録では「ゲージ圧0.7 MPa」のように、物理量の条件も併記できます。

図5:ゼロの位置が違う二つの圧力

大気圧101.325 kPaの例では、ゲージ圧700 kPaは絶対圧801.325 kPaです。

測定対象絶対圧801.325 kPa絶対圧801.325kPaゲージ圧700 kPa周囲大気圧101.325 kPaゲージ圧のゼロ絶対真空=絶対圧のゼロ

関係を示す模式図で、線の間隔は圧力に比例していません。青矢印は絶対真空から、橙矢印は大気圧から測定対象までです。

圧力の単位を換える処理は掛け算か割り算ですが、基準を換える処理は大気圧の足し算か引き算です。先に両方の値を同じ単位にそろえてから、大気圧を加減すると、桁の違う数値を足す誤りを防げます。

絶対圧とゲージ圧の関係
pabs = pg + patm
= 0.7 + 0.101325
= 0.801325 MPa ≒ 0.801 MPa
pabs:絶対圧[MPa] pg:ゲージ圧[MPa] patm:周囲大気圧[MPa]。この例は周囲大気圧を101.325 kPaと仮定しています。

ボイラーの蒸気圧力0.7 MPaGをおおまかに絶対圧へ直すと、約0.8 MPaAです。蒸気表では絶対圧を使うものが一般的なので、ボイラーの蒸気と圧力を調べるときは、表の圧力欄がどちらの基準かを読みます。

ゲージ圧の数字をそのまま絶対圧の蒸気表へ入れると、違う状態の蒸気を参照します。熱計算で使うエンタルピーは温度や圧力などの状態に対応するため、単位だけでなく基準圧までそろえる必要があります。

負圧と差圧はどちらも「圧力差」を読む

周囲より圧力が低い場所では、ゲージ圧は負の値になります。たとえば周囲大気圧101.325 kPaでゲージ圧−80 kPaなら、絶対圧は21.325 kPaとなり、真空を基準とした圧力自体が負になるわけではありません。

真空設備では低い絶対圧をそのまま表す方法と、大気圧からの差を負のゲージ圧で示す方法があります。復水器の圧力のように、表示の読み方で状態の判断が変わる設備では、absやGの注記が役立ちます。

例:ゲージ圧−80 kPaを絶対圧へ直す
pabs = −80 + 101.325
= 21.325 kPa ≒ 21.3 kPa
周囲大気圧を101.325 kPaとした計算例。大気圧そのものが変われば、同じ−80 kPaGでも絶対圧は変化します。

差圧は、任意の二点の圧力の差を表す言葉で、大気圧との差に限りません。配管の上流と下流を測る場合も、測定点の高さや流速が違えば、読み取った静圧差のすべてが摩擦損失になるわけではありません。

上流0.60 MPaG、下流0.55 MPaGなら、差圧は0.05 MPa、つまり50 kPaです。両方に同じ大気圧を足してから引き算しても、差は変わりません。同じ基準の値同士であれば、余分な補正は要りません。

ただし別の時刻や別の基準で得た二つの値は、単純な引き算には使えません。フィルターや配管の差圧を記録するときは、同じ運転状態、同じ測定点の組合せとして残すと、経時変化を比較しやすくなります。

古い単位の図面を読むときの計量法の整理

日本では1993年11月1日に新しい計量法が施行され、従来単位からの移行に猶予が設けられました。メーカーの圧力表示切替資料には、kgf/cm²からMPaへの切替と、1999年9月30日の猶予期限が示されています。

この経緯は、古い設備で工学気圧の呼び方が残る背景になります。ただし計量法は、対象となる取引や証明、用途ごとの例外を定めています。「昔の単位はすべての場面で使用禁止」とはまとめられません。

計量単位令ではbarは100,000 Pa、気圧は101,325 Paと定義されています。これに対し、別表第六第十一号のTorr・水銀柱・水柱は、生体内の圧力の計量に用途を限った法定単位です。

同表第十二号には血圧用のmmHgが別に定められ、十一号の水銀柱から換算した値と一致します。血圧計で使えることを根拠に、一般工業の取引や証明にもTorrやmmHgを自由に使えるとは扱いません。

法定値は、水銀柱メートルが101,325/0.76 Pa、水柱メートルが9,806.65 Paです。ここでは実液柱の温度から定義値を再計算せず、単位の法定定義と測定時の温度補正を分けて読みます。

海外製品のpsi表示にも、輸出入や航空などの規定が関わるケースもあります。正式な検査成績書や取引文書を作る際は、計量法と計量単位令の対象条項に照らし、国内向けの数値は適用する法定単位で明記します。

同令別表第七では重量ポンド毎平方インチを6,894.76 Paと定めています。国際的なポンドとインチから導く約6,894.757293 Paとは桁の扱いが違うため、適用する定義に従って係数を選びます。

古い図面の数値を現行の仕様書へ写すときは、原記載を消さず、換算値と係数を併記すると追跡できます。「旧図面7 kgf/cm²、換算0.6864655 MPa」のように残すと、後から丸めや設定変更の有無を調べられます。

引継ぎでは値・単位・基準・場所を一緒に残す

配管に取り付けた圧力計と支持金具
圧力計の取付位置が分かる配管設備のイメージ。AI生成画像で、特定の設備や計器の仕様を示す写真ではありません。

「圧力は7」とだけ伝えると、単位だけでなく、どこを測った値なのかも分かりません。数値、単位、基準圧、測定場所を一組にすると、計器の表示から報告書まで同じ情報を引き継げます。

図6:「7キロ」を測定記録に直す

曖昧な口頭表現は、元の単位を確定してから記録の形に直します。

記入例:運転圧力
元記載
7 kgf/cm²
基準
ゲージ圧
換算値
約0.686 MPa
測定場所
空気槽出口の計器
運転条件
負荷運転中・記録時刻を併記
kgf/cm²を意味すると確定した場合の例です。換算で圧力設定そのものを変更したわけではありません。

まず計器の盤面や仕様書から単位を拾い、ゲージ圧か絶対圧かを読み取ります。次に元の値を残したまま換算し、同じ測定点と同じ負荷で過去の記録と比較すると、単位の変更と運転変化を分けられます。

圧力発信器の表示と制御盤の表示が違う場合は、単位のほかに入力レンジも調べます。4-20mA信号は上下限の圧力を割り当てて使うため、機器交換で範囲が変わると、同じ電流でも指示する圧力が変わります。

たとえば0〜1 MPaの測定範囲と0〜1,000 kPaの範囲は、基準圧も同じなら一致します。しかし0〜10 barにそろえる処理と、ゲージ圧から絶対圧へ切り替える処理では、ゼロ点の扱いが違います。

0〜1 MPaを4〜20 mAに割り当てた発信器で、12 mAは測定範囲の50%に当たります。圧力は0.5 MPa、表示をkPaへ変えれば500 kPaです。単位を変えても、12 mAが意味する物理的な圧力は変わりません。

例:4〜20 mA=0〜1 MPaで12 mAを読む
割合 = 12 − 420 − 4 = 0.5
p = 0 + (1 − 0) × 0.5
= 0.5 MPa = 500 kPa
電流の単位はmA、圧力の単位はMPa。発信器の特性を直線とし、測定上下限と基準圧が受信側と一致する場合の例です。

一方、発信器だけを0〜2 MPaの機種に交換すると、12 mAに対応する圧力は1 MPaになります。受信側が旧範囲のままだと0.5 MPaと表示します。単位の桁を直すだけでは、表示の不一致は解消しません。

交換前後の比較票には、表示単位に加えて測定の上下限と基準圧も残します。機器側と制御盤側の両方を照合すると、換算ミスなのか、測定範囲の不一致なのかを、運転状態の変化とは分けて追えます。

計算結果の桁数は、測定の精度と目的に合わせて決めます。換算係数を詳しく使って小数を増やしても、目盛りの粗い圧力計で読んだ値の精度が上がるわけではなく、元の読み取り誤差も換算後へ引き継がれます。

たとえば表示の最小刻みが0.01 MPaなら、単位を変えた最小刻みは10 kPaです。換算後に1 kPa刻みで書いても、元の表示からその細かさを読み取ったことにはなりません。記録の分解能は元と対応させます。

F.S.を測定範囲の幅とする仕様なら、±1%F.S.は読み値の1%とは意味が違います。0〜1 MPaの例では±0.01 MPa、換算後は±10 kPaとなり、誤差の幅も値と同じ倍率で換算します。

この誤差幅は仕様で定めた温度などの条件に対応し、追加の温度誤差や表示桁の項目があれば別に扱います。絶対圧へ直すため大気圧の測定値を足す場合は、その測定の不確かさも結果に関わります。

圧力計の最大目盛りと設備の最高使用圧力は、仕様書でも別の情報として扱います。読める範囲の広さを運転してよい上限と解釈せず、設定変更や昇圧の操作は、設備の管理手順に沿って進めます。

圧力の単位換算のよくある質問

1 MPaは何kPa、何キロですか?

1 MPaは正確に1,000 kPaで、kgf/cm²では約10.1972、実用的には約10.2です。「何キロ」がkgf/cm²を意味するかを先に確定し、数値と単位をそろえて伝えると、kPaとの混同を防げます。

1 kgf/cm²と0.1 MPaは同じですか?

1 kgf/cm²は0.0980665 MPaで、これを基準にすると0.1 MPaは約1.97%大きい値です。仕様値や試験値を転記する場合は換算係数から計算し、必要な桁で最後に丸めます。

kPaからMPaへ換算するとき、大気圧を足しますか?

単位を変えるだけなら1,000で割り、大気圧を足す処理はしません。ゲージ圧を絶対圧へ変える作業を合わせて行う場合にだけ、同じ単位にそろえた周囲大気圧を加えて、圧力の基準も変更します。

ゲージ圧0 MPaは真空ですか?

ゲージ圧0 MPaは、測定対象が周囲と同じ圧力という意味であり、絶対真空ではありません。大気を基準にした計器なら大気開放時にほぼゼロとなり、絶対圧ではその時点の大気圧に相当する値です。

barは日本で使用禁止の単位ですか?

barは日本の計量単位令で100,000 Paと定義された法定計量単位です。SIの圧力単位であるPaとは分類が異なりますが、単に外国由来の単位だから日本で使えない、と判断するのは誤りです。

TorrとmmHgは換算で区別する必要がありますか?

日本の計量単位令で定義するmmHgとTorrは、いずれも101,325/760 Paで同じ大きさです。海外校正資料の慣用mmHgには別の定義があるため、精密な計算では資料の定義に合わせ、通常の概算では必要な桁までを使います。

まとめ

この記事のまとめ
  • Paは1 m²あたりに働くNで表す圧力のSI単位で、1 MPa=1,000 kPa
  • 1 kgf/cm²=98.0665 kPaで、現場の「キロ」はkPaかkgf/cm²かを明記する
  • 1 bar=100 kPa、1 atm=101.325 kPaで、近い数値でも単位の定義は異なる
  • 単位換算は倍率の計算、ゲージ圧と絶対圧の変換は大気圧を加減する計算
  • 記録には値・単位・基準・測定場所を残し、最後に必要な桁数で丸める

圧力を「何キロ」と省略せず、単位と基準をセットにすると、古い図面と新しい計器を照合できます。換算の数字だけを暗記するより、元の値を残して計算過程を追える形にすると、引継ぎの誤りを見つけやすくなります。

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MONOSCOPEの運営者

プラント機器メーカーとプラントメーカーで約10年、設備の提案・設計・試運転に携わったのち、Webマーケターに転身。現在はBtoB製造業専門のWebコンサルタントとして、メーカーの情報発信を支援しています。エネルギー管理士/第三種電気主任技術者。工業技術ブログを2017年から運営(500本以上執筆)、YouTube登録者約2万人、Xフォロワー約1万人。

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